北海道昆虫同好会ブログ

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孫にエゾヒメギフチョウを採らせる話 その壱

2015-05-02 20:43:19 | エゾヒメギフチョウ
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2014-5-6(火)  晴 のち雨 のち曇り のちゲリラ豪雨 のち曇り

孫にエゾヒメギフチョウを採らせる話 その壱


朝から天候は不穏だがこの時期ではよくあることだ。今日は最高気温17℃の予報。陽がかげるとみるみる気温が下がり蝶は飛ばなくなる。 

この時期、オホーツクの北見市界隈では早春の美麗蝶エゾヒメギフチョウ Leudorfia puziloi yessoensis が舞い始める。かっては、かなりの発生量を誇っていたが開発やマニアの乱獲のせいで近年、往年の面影は無くなり、激減していることはオショロコマと同じだ。

発生地もとても狭くなりピンポイント的に奇跡的に残っているに過ぎない。

そこに多数の採集者が集中する。日本産蝶類のなかでは人気度がトップクラスであるため、北見市の蝶愛好家以外にも全道各地から、しばしば本州からの採集者もやってきて減少に拍車をかける。

一般的に蝶採集者は目につく蝶がいなくなるまで徹底的に採る。

本州産の近縁種ギフチョウやヒメギフチョウは同様の理由でさらに激減しており、絶滅産地が増え続けている。

ただ、この蝶を乱獲する採集者を非難することは私には出来ない。

私自身もこの蝶の生態、分布、変異、本州産ヒメギフチョウとの関係等に興味を持つこと半世紀におよび、一体何千匹のこの蝶を殺してきたのかわからないほどだ。

ただかってはいくら採集してもこの蝶が減るようなことはまったくなかった。それらを生み出す自然が今とは比較にならないほど豊かであったからだ。

しかし今現在はまったく事情が違う。生息環境が極端に狭くなっており、乱獲は即絶滅につながる。

オショロコマと同じく、殺して持ち帰ることは出来るだけ控えるべき生き物だと最近つくづく思うようになった。

最近の10年ほどは、新産地の標本を多少つくるくらいで、それ以外ではエゾヒメギフチョウを殺したことはほとんどない。せいぜい写真撮影をするくらいだ。

しかしデジカメが急速に発達したとはいえ写真撮影はネットで採集するより10倍100倍難しく困難を伴う。

最近では、ありふれた産地のありふれた翅形斑紋の標本を山のように作りズラリ並べるよりは(かっての私自身がそうだった)、ばっちりきまった写真の方がはるかに価値があるとおもう。






                  この項、続く。


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