モンゴルのミドリヒョウモンの謎と北海道におけるミドリヒョウモンの減少。
当初は、モンゴルは草原と砂漠の国といった呪縛のような固定概念があったため、森林性のチョウの代表ともいうべきミドリヒョウモンはモンゴルにはいないだろうと考えていましたが、それは大きな誤りでした。
1994-7-20 にウランバートル北西の避暑地ボルガンのボルガン山の森でモンゴルで初めてのミドリヒョウモン1オス1メスを採集して感激しましたが、それら以外は見られなかった。
その後もミドリヒョウモンを見ることはなく、毎年のモンゴル各地での採集が続きました。この間、やはりミドリヒョウモンは全く見かけることがなく、本種はモンゴルではとても珍しいチョウとの認識のままでした。
ところが 2000-7-2 に久しぶりにボルガン山を訪れた時、林道の道沿いの草地に、おびただしい数のミドリヒョウモンが発生しており我が目を疑ってしまいました。これは一体どうしたことだろう。
日本のミドリヒョウモンの生態を思い出すと、その謎はすぐに解けました。ヒョウモンチョウ属のチョウにしばしば見られる夏眠です。
初夏、一斉に羽化した多数のミドリヒョウモンたちは夏の高温環境を感じると、涼しい高山帯へ移動したり、あるいは夏眠状態に入って動かなくなり、夏の終わりから初秋にかけて涼しくなると夏眠から覚めて活動を再開します。
おそらく最初に1オス1メスを採集した 1994-7-20 には多くの個体がすでに夏眠に入っていたのだと思います。 2000-7-2 に見られたおびただしい数のミドリヒョウモンは夏眠に入る前の個体たちだったのではないでしょうか。
本種は温帯域の森林地帯を中心に世界各地に分布しています。 我が国では特に珍しいチョウではないと考えられてきましたが最近ではどうでしょうか。
温暖化のせいか、近年、南方系のチョウが北上する傾向が見られます。北海道オホーツクでは、かってはほとんど見られなかったメスグロヒョウモンが急速に勢力を拡大して、今ではごく普通にみられるチョウになってしまいました。
一方、本来オホーツクでは全くの普通種であったミドリヒョウモンは、いつの間にか明らかに減少していると感じています。
ミドリヒョウモンのオス裏面は、とても美しく、うっとりしてしまいます。 メスは明るい翅表と、暗い色調の翅表2型がありますが モンゴルでも同様で、外見は北海道産個体群と比べてあまり違いはないように思われます。
表示したミドリヒョウモンは全て、モンゴル産です。 ミドリヒョウモンメスの生態写真はウランバートル近郊の山地で吉田嘉男氏が撮影しました。
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