続・弓道の極意

私が一生をかけて極めようとしている弓道について、日々の気づきを積み重ねていくブログ

角見と詰合いは表裏一体 一.

2009年06月11日 | 極意探求
手の内(※)が大事とされる大きな理由の一つに、角見の重要性が挙げられる。つまり、手の内によって角見の利き方が変わってくるという議論である。

これは確かにそのとおりで、いかに最深の引分けと会を持ってしても、最後の最後、手の内から弓に力が充分に伝わらなければ、鋭い離れにはなりようがない。

しかしその点ばかりが注目され、「どうすれば角見を効かせられるか?」といった議論がなされることが多いが、これは枝葉末節といわざるを得ない。なぜなら、「角見が利く」ということは一つの結果であって、射の目的ではないからだ。

射の目的とは、中・貫・久(ちゅう・かん・きゅう)であり、それを実現するのは縦横十文字の詰合いと伸合いである。

詰合いと伸合いの一つの結果(現象)が「角見が利く」ということであって、角見が利くから縦横十文字の規矩(きく)が実現するのでは決してない。

実際、角見に蓄えられる力(圧)は、肩根から手の内に至る一連の詰合いによって、初めて生まれる力である。

このあたりの具体的な仕組みについては次回説明するが、まずは、手の内の技術だけで角見を効かせようとしても、射の本質には近づいていかない、ということを認識することが重要であろう。

※以降、「手の内」と書いたとき「弓手の手の内」を指すこととする。「馬手の手の内」については、「馬手手の内」と記述する。