山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

「山のアスパラ」と言われるタチシオデは野原に生える

2021-05-30 | 植物

久しぶりの快晴。気持ちのいい青空。

雨の日が好きだけど、こういう天気だとやっぱり気持ちが良く、やる気が増進する。きっと日の光が強いのでセロトニンがいっぱい出るのだろう。けど真夏のギラギラの日はちっとも気持ちが良くないのはどうしたことだろう。

いつもの道を朝散歩していたらタチシオデを発見。

タチシオデ Smilax nipponica 3本生えていた 2021年5月末 岐阜県中津川市

この新芽をポキッと折ってゆでておひたしにしたりして食べる。けど私は自分で採って食べたことはない。うちの方では食べるほどたくさん生えてないからで、たまに1本あれば、なくならないように大事にそこに生やしておくものである。

シオデは山のアスパラと言われるが、その中にはタチシオデも含まれている。シオデもタチシオデも同じ味で同様に食べられるということ。山菜王国秋田の方が体験から来た知見を非常に詳しく書いておられるので敬意を表して紹介する。 シオデとタチシオデの違い - 花好きじじい (goo.ne.jp)

なので、食べようと思ったら、シオデとタチシオデを見分ける必要はない。シオデもタチシオデもわりと似ていて、茎の節々に細いバネ状のつるがあって、それで巻き付く。うちの地方ではシオデに出会った記憶がない(あるらしいけど)。いつもタチシオデだ。だからシオデについてはあまり自分の言葉で語れない。

この記事をわざわざ見ているいる人はたいてい、見つけて食べたいと思っているのだろうから言っておくが、もしほかの何かと見間違うとしたら、サルトリイバラかサルマメである。それらはどちらも茎に小さいトゲがある。また有毒ではないのでそれほど神経質にならなくていい。

タチシオデは初めは土手の刈り込まれた草地なんかでにょきっと立ち上がっていて、高さ60㎝ぐらいまではまっすぐしているのだが、そのうち自分の重みに耐えかねて倒れてしまう。そうなるとタチシオデではなく寝シオデとなり、立ってないからただのシオデかもなどと思うのである。

そうやってタチシオデとシオデの見分けをスルーしてやもやしてきたが、ズバリ、この時期に花を咲かせているのはタチシオデである(シオデの花は7、8月)。また、タチシオデの花は上向きになっているので目立つ。シオデは下向きにやや垂れ下がり型となるらしい。

タチシオデの花 2021年5月末 岐阜県中津川市

北龍館の野草大図鑑には、タチシオデの方は主に日本海側に生えると書いてあるが、うちは日本海側ではないし、山渓のハンディ図鑑には八王子市の写真が使われている。「主に日本海側」はちょっと違う気がする。また、都市近郊でも日当たりのいい林縁に近い草地で探せばあるだろうと思う。

タチシオデは北海道にはないらしいが、シオデは北海道にあるということ。北日本に多いのかと思ったら、フィリピンにもあると図鑑に書いてある。守備範囲が広い。しかし、ほんとかな、などと思ってしまう。

木曽地方では家の前庭にシオデを栽培しているのをよく見る。これだけつるが伸びればたくさん収穫できる。今は園芸店でも苗を売っている。

シオデ Smilax riparia 2010年7月中旬 長野県木祖村

日本ではつるを食べる野菜はあまりないが、東南アジアではいろいろとつるを食べている。ハヤトウリも、ウリも食べるけどつるもさかんに収穫する。カボチャっぽい黄色い花をつけたもののつる(ヘチマか?)もよく見かける。ツルムラサキもあちらから渡ってきたものだろう。サツマイモや空心菜もつるを食べる。

シオデは山のアスパラと言われるけれど、アスパラガスとは他人。APG体系ではアスパラガスはキジカクシ科(アスパラガス科)で、シオデはシオデ科(サルトリイバラ科)。APG以前の分類体系ではどちらもユリ科だったので、アスパラの日本版がシオデだと思っている人がいるが、違う。葉の形も花の形も全然違い、似ても似つかない。味が似ていると言われるがどうもよく分からない。ただ、タチシオデが土手の草地でにょきっと出ている様子がアスパラガスに似ていると思う。

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