山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

ロンドンブリッジ……

2012-12-02 | なんとなく報告

ロンドンブリッジ(通称ロンドばし)が落ちることは誰もが予測している。いつ落ちるかいつ落ちるかとびくびくしながらも通る。
(わらべ歌の話です)
けれど本当の橋は、いつか落ちるかもしれないと思いながらも、それが今このときだとはあまり思っていない。まさかないだろうと思っている。

私は普通の人と同じなのか違うのか分からないけど、わりと恒常的にそういうリスクを思い浮かべている。ホテルに泊まるとき非常口を確認するのはもちろんのこと、東日本の震災が来る以前から、海辺の宿に泊まるときは、ここに津波が来たらどこに逃げようといつも思っていたし(そもそも海辺のあまり低いところは避けていた)、高層ビルの横を歩くときはガラスが落ちてきたらどうしようと思う。ただし、これは思うだけで対処もしようがないので、思わないほうがましかもしれない。小さな居酒屋に入ると、入口以外に裏口へ出られるか確認し(入口から火事になったときの対策)、どうみても出入り口が1つしかない店からはなるべく早く出たいと思う。
ホテルの3階以上に泊まるときは、もしドア側が火事などでふさがれたら、窓からどのように逃げられるか、あるいは飛び降りたらあの当たりに落ちて死ぬわとか考えるし(これも対処のしようがないので、考えるだけ無駄である)、どこかの建物に入れば、地震が来たとき上から物が落ちてこない場所はどこかと、ささっと目を走らせる。
マンションのベランダの手すりや塀の上に植木鉢を置く大胆な人がいるが、そういうところからは離れて歩く。駐車場では人が乗ったまま停車している車の前後は歩かないようにする。船に乗るときはもちろん救命胴衣や浮き輪のあり場所を確認する。しかし本当の話、その数が全然足りない船も少なくないので、最近は自分で持ち込んで乗るという手段に出ることすらある。少なくとも「この空のペットボトルが役立つわ」ぐらいのことは考えている。
最近では、エスカレーターも落ちることがあるし、エレベーターも危ない。はさまれないように気をつけるし、エスカレーターはなるべく避けるがやむを得ず乗る場合は上を見る(見たってムダだってば)。
こういうこと考える人ってどれぐらいいるのだろう。

私なんかよりもっと念のいった人がいて、交差点や踏切では絶対最前列で待たないと言っていた。車や電車がハンドルを切り損ねて、交差点に突っ込んでくるのを怖れるためである。
私はどちらもなるべく前のほうで待ち、信号が変わるや否や歩き出すせっかちな人間であるので、その話を聞いて最近少々考え直しつつある。

で、私は橋を渡るとき、常に、この橋落ちたらどうしよう、という思いが頭をかすめる。どんな橋でもいつか落ちる可能性がある。落ちない保証はないのだ。これも、どうしようと思うだけで対処のしようがないので、ただびくびくしながら渡るのみである。


先日出合ったスイス人に、もうすぐ三連動地震が来るので日本人はそれに備えていろいろ考えている、と言ったら、そんなこと考えていてみんなノイローゼにならないのかと何度も何度も聞かれた。備えるのと不安になるのとは違うでしょうと言ってもよく分からないようだった。
私は橋が落ちるかもと思っていてもけっしてノイローゼにはなっていない。不思議だ。


当然のことながら、高速道路の天井に取り付けられている巨大な長い換気扇みたいなヤツがいつか落ちてくるのではないかと、通るたび怖い。あれだって重そうだからいつか落ちるだろう。が、これも自分の力でどうにかできたり備えたりできることではないので、「落ちてきたら終わりだわね」と思いながら通るしかないのだ。怖がっても何のメリットもない。同時に、その下を通りながら、私と同じように感じている人は何割ぐらいいるのだろう、ということも必ず考える。何割ぐらいいるのだろう……???

その換気扇は意外にもなかなか落ちたという話は聞いたことがないのでよいのだが、
天井自体が落ちてくるということは、考えたことがなかった。換気扇に目を奪われて、天井のことを忘れていたのである。

換気扇だって、忘れた頃に落ちてくるかもしれない。天井だって落ちるんだから換気扇が落ちないほうがおかしい。いや、落ちたらおかしい、というべきだが、実際落ちない保証はない。

災害に遭われた方は本当に気の毒としかいいようがない。宝くじなんかよりずっと低い確率で、遭ってしまったのだ。その犠牲のおかげでほかのトンネルも早急にメンテがされるだろう(してください)。数年前に韓国で同時期にできた橋がバタバタ落ちたことが思い出される。

うちの近所の中央道恵那山トンネルも同タイプ同時期らしく大変だし、
なにより今回の事故が、山梨県だから遠い話のように思っていたけど、
私が愛している新宿行き高速バスが走る場所なのだったと気付いてぞっとした。
おそらく、東京から帰ってくるとき、トンネルを抜けるとなだらかな山裾に勝沼のブドウ畑が広がっているところだ。

こういう、自力で備えることのできない、設備設置者まかせの怖い事故、起きないでほしい。助かった方は、ほんとによかった。


写真/ゲンノショウコ(2012年11月)

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