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山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

イワガラミは岩や木をよじのぼるアジサイ

2021-06-22 | 植物

今日は曇り。まわりの木々がやわらかい色合いできれいだ。雨が多く梅雨らしい梅雨である。

5月末に梅雨に入ってしまったときは、それに順じて早々に梅雨明けするのではと恐れていたが、そうでもなさそうで安心している。梅雨明けの酷暑が怖い。

アカゲラがキョッキョッと鳴き、シジュウカラかなんかの大分育った雛(多分)が歌う練習をしている。親のように正確には歌えないが、声が若い。うらやましい。

梅雨にはいろいろなアジサイが咲く。イワガラミはその名の通り、大きな岩によくへばりついている。ツルアジサイとよく似ているが、うちの方ではイワガラミの方がずっと多い。装飾花という花びらに見えるところが、(がく片なのだが)、1枚なのがイワガラミ、4枚ぐらいで普通のアジサイみたいなのがツルアジサイだ。装飾花のせいだけではなく、なぜかツルアジサイの方がデラックスに見える。

一口にツルと言ってもいろいろ種類がある。キュウリみたいに、バネのようなつるが茎からピョコピョコ伸びてきて巻き付くものもある。アサガオみたいに茎そのものが、ほかの木などをぐるぐる巻きにしていく、蛇タイプのもある。バネ型と蛇型は巻き付く力(巻き付いちゃった後の固定力というか)がすごく強くて、一度巻き付くとそれをひっぺがすのに苦労する。これらのつるの先が伸びている姿は、風に揺れたりしてなかなか優雅で美しい。

イワガラミは伸びていく茎のあちこちから小さな根を出して、木や岩のすきまなどにその根を入れて、しがみついていくタイプ。一応つる性とはいうのだけど、巻き付くわけではない。これをひっぺがすときには、音はしないけど、ベリベリベリ、といった感じだ。

こんな花をずっと楽しんでいたい。梅雨明けはなるべく後にしてもらいたい。農作物への被害を考えないとすれば、できれば梅雨明けせずに秋雨に突入してほしいものだ。

イワガラミ(中央)アジサイ科 白い花が咲いている


ナギナタガヤ 銀色に光る草の群れ

2021-06-19 | 植物

イネ科の草は「まあ、きれい」と言ってもらえるのはおそらくススキやオギぐらいで、それ以外は一般的な人々にはほとんど無視されていると思うが、私から見るとイネ科の草はほかの科の草とは違った魅力がある。

ナギナタガヤも見るたびに写真を撮りたくなる草の一つ。さらさらと細かい線が流れるように続き、それがうねると銀色に輝く。草丈が同じぐらいでそろうので、その均一性がもたらす集団としての美しさが、それはもう、きれいにそろったそうめんのようで、心地よいのである。

田んぼの横のあぜ道なんかでよく見かける。舗装してないところで、わだちの間やその横なんかにずーっと続いていることがある。単独で生えていることはなくて、必ず群落になっており、その群落の中にはほかの草がほとんど見えない。「ナギナタガヤばっか」なので、その群落のかたまりそのものが、ナギナタガヤであると感じる。それでも地下茎などはなくて1、2年草らしい。地中海方面から来た外来種で、海岸や河原にある、ということが山渓ハンディ図鑑に書いてあるので、乾燥に強い植物だと見える。

この写真のものはちょっと水っぽいところにあるが、一般的に言われるのは、乾燥に強い植物というのは水がキライとか欲しくないわけではなく、そのほかの「水がいっぱいないと生きられない植物」が生きられないところでも、生きていける植物だということだ。

こういうイネ科の植物も、「きれいかもしれない」と思って見てみることで、そのきれいさが発見できる。出穂前から出穂後、実が熟す頃と、だんだんに見た目が変わっていくのも特徴だし、枯れた後の姿も独特で、よく見ていると面白い。


アマチャとヤマアジサイと天城赤 色が変わること

2021-06-18 | 植物

よその家のアジサイ Hydrangea.seratta  アジサイ科

〔記事大幅修正〕

数年前に岐阜県西部のアジサイが名物のお寺で買って来た「アマチャ」がようやくしっかり根付いてきれいな花を咲かせるようになった。

最初の1、2年は白っぽい花でいかにもアマチャらしかった。アマチャというのは小ぶりで白くてアジサイとは違った楚々とした花を咲かせるものだと思っていた(だから買ってきた)。なのに今年は青い花が咲いている。

よって、近所のこの家に咲いているアジサイもアマチャなんだろうと思っていた。うちにある「アマチャ」とそっくりだ。

と思ったら大分違ってて、こちらはエゾアジサイに似ている。北国に行くと道端にエゾアジサイがたくさん咲いている。それを見たのが山形だったのか秋田だったのか北海道だったのか記憶が定かではない。

アマチャは周りの装飾花がもっと小さくて、うなだれる。装飾花を支える花茎が長いのか細いのか、多分その両方で、花が垂れるのである。もうちょっと楚々とした、弱弱しい風情。

このアジサイはしっかりしている。

 

よその家のアジサイ(ヤマアジサイの園芸品種のよう)

図鑑で調べると、アマチャというのは中心部が赤っぽくて回りの装飾花が白いもの。うちのアマチャが青い花なのは、園芸品種として何かを掛け合わせてあるに違いない。

そして、アマチャもエゾアジサイも、ヤマアジサイの変種扱いなのだった。

2年前に伊豆半島・南伊豆町の高原の天神原という戦後開拓地にある広大な植物園に行ったところ、真っ赤なアジサイがたくさん植えてあった。赤と言ってもやや青み系の赤なので嫌味ではない。そこで苗を買って来た。ポットには「天城赤」と品種名が書いてあった。

昨年花を咲かせたのだが、青かった。

買ってきたポットのままである。よく、アジサイは土が変わると色が変わると言われるが、土が変わってないのに色が変わったのだ。「天城赤」で青い花が咲いたら詐欺のようなものかもしれないが、別に腹も立たない。

図鑑で見るとベニガクという赤いアジサイが、ヤマアジサイの一品種として掲載されていた。「天城赤」=ベニガクなのか、ベニガクをさらに改良して別の品種にしたものなのかよく分からないが、別のところに持っていくと色が変わるということになると、品種として固定するのはなかなか難しい気がする。ただ、天神原植物園はほんとうにすばらしいところで、多くの人に訪れてほしいと思ったことを書き添えておく。

どちらかと言うと、「アマチャ」の名で青いアジサイを売るのはやめてほしいと思う。


ノアザミとゴボウは同類 葉は食べられる

2021-06-16 | 植物

田んぼの畦にノアザミが群れ咲いていた。

こうしてみるととてもきれいなのだけど、田んぼの管理者にとっては「草ぼうぼう、いやだなあ」って感じだろう。農家は5月から9月まで、草刈りに追われる。大体3回刈ると言われるけど、田んぼがたくさんあれば、今日はここ、明日はここ、とやっているうちに一巡してまた戻って刈らなければならなくなる。本当に大変だ。

ノアザミは種子に綿毛があって自由に飛んでいき、あっという間にあちこちから生えてくるようになる。抜こうとして引っ張ると大抵根元で切れてしまう。そして放置すると根がどんどん太くなって本当に抜けなくなる。ゴボウはアザミの一種であり、この仲間はみんな根がゴボウのように太くなると考えてよいと思う。ノアザミの根もおそらく食べられるだろう。が、抜くのが大変なのでゴボウを買ってきた方が楽だと思う。

アザミの葉は食べられる。どのアザミでもいけると思うがすべてのアザミで試したわけではないので無責任なことは言えない。

ノアザミも株が大きくなると、春先の葉も肉厚の大きなのが出てくる。それをもぎ取って食べる。天ぷらにするのが一番簡単でいいのだけど、1枚の葉でもかなり大きいので、なかなか食べでがある。味はほとんど無味。ただ、肉厚、つまり炭水化物が多い感じだ。

採るときに葉っぱの縁のとげでチクチクするのが欠点だけど、春先の葉は今の時期のほどチクチクが硬くない。今の時期の葉はもうかなり硬くなっている。まあ、食べれなくはない。

岐阜県の飛騨地方にはヒダアザミという大型の、山梨の方にはフジアザミというもっと大型のがあって、そんな葉は1枚が本当に大きいので、一度に食べることはできないだろう。

この時期に咲くアザミは、うちの地方ではノアザミとキツネアザミだけだ。キツネアザミは花も葉も小型で、花色は青みが強く、すぐに見分けがつく。

アザミの葉は山菜として多用する地方があるらしいが、うちの地方では誰も食べたりしない。刈るべき雑草としか思われていない。

 


木イチゴの旬はまだ終わらず

2021-06-14 | 植物

10日ほど前から食べごろの実が出てきた木イチゴですが、日を追うごとに実が増えていて、また標高が上がるとまだまだあったりして、もう、何がなんだか分からないぐらいなっています。

2日ほど前、山を軽く歩こうと林道を上がっていくと

まずは半日陰のコアジサイの道。ずーっと満開のコアジサイが続いています。

やがて日当たりのいいところに出ると、木イチゴ道になり、道の両側は木イチゴばっかり。

家の横にある木いちごよりもっともっと真丸の、丸々太ったのが鈴なりなのです。

食べるのに忙しくて歩くどころではない。

ガードレールの向こう側、全部木イチゴ。乗り越えて採りたいけど、向こう側は急傾斜で谷に落ちてしまうので、仕方なく手の届く範囲で、枝を引っ張ってもぎとっては口に運ぶ。

中に虫がいることがあると前に書いたけど、今まで1度しかそんなゾッとする虫に合ったことはない。アリはそこそこいるけど。

木イチゴはちょっと強めに押すとプチっとはじけて水が出てきてしまうので、ほんとに繊細にそっと採らないといけない。

むさぼり食べている私の後ろをときおり県外ナンバーの車が走っていく。みんな木いちごのことなんか知らないな……。かわいそう……。とこれみよがしに食べる。歩いているとお得なことがいっぱいある。

夢中になって食べてたら後ろにクマ、みたいなことにならないようときどき鈴を鳴らしたり、まるで悪いことしてるみたいに背後をキョロキョロ見たりする。タケノコ採りしててクマとバッティングして引っかかれた全国各地の事例を教訓としなければ。

しかしこれでは、山に歩きに来たのではなく、木イチゴを食べに来たと言うしかないな……。ふと、西洋の童話の絵本で、女の子が森に木イチゴを採りにバスケットを手に提げて出かけていく光景があったような気がする。あれは何だ? ヘンゼルとグレーテル? 青い鳥? 同じか? それとも気のせいか?

木イチゴを家に持って帰るっていうのは私にはちょっとありえなさそう。採ったら口に直行するので、持って帰る分はない。そもそも繊細だから、持って帰るうちにつぶれそうな気がする。ましてや、ジャムにする? ジャムはおいしそうだけど、その前に口に直行するのでジャムにする分はない。ジャムにしたら量が減りそうだ。だってほとんど水だもの。だからジャムにしなくていい。生で十分おいしい。

さんざん木イチゴを食べ、帰りにふと上を見ると、なんとすごい!

見たことないほど鈴なりの木イチゴ。お盆とかお祭りとか花見シーズンとかの商店街の飾り的なもの? あるいは景気良すぎる餅花?

おそらく下から見るからよけいに鈴なり状態が目立つのだろうけど、ほんとにすごい。

けど、高いところにあるから手が届かない。はしごを持ってこないと。

この山のクマは木イチゴを食べないのだろうか。それとも全部撃たれていなくなっちゃったか? これだけ山に木イチゴがあるとクマも糖分採りすぎになるかもしれない。

いったいこの木イチゴの旬はいつまで続くのか。今日から数日の雨で落ちてしまうかもしれない。

 

動画で紹介しています→https://youtu.be/f3Cv9GvAQB0


マタタビの葉が白くなるのは虫を呼ぶため?

2021-06-12 | 植物

マタタビ 2021年6月中旬 岐阜県中津川市

マタタビが咲き出した。梅みたいなかわいい花。葉陰に隠れているので、よく見ないと気付かない。

葉が白くなり出したのはもう半月以上も前。やっと咲いた、という感じだ。

マタタビの葉が白くなるのは、虫に花のありかを知らせるためだという説があるが、本当なんだろうか?

5月下旬のマタタビ、小さなつぼみがある。

5月下旬、葉が白くなったので、花を探したら、全然咲いていなかった。半月後まで花が咲かないのに、早々と虫に知らせるだろうか?

虫の方にしてみれば、行って見たらまだ全然咲いてなくて蜜ももらえず何日も待たされるということになったら、マタタビへの信頼も失い、待つ気もなくなってしまうだろう。やっぱり、そのときに花がなかったらだめだと思う。

そもそも虫はそんなに長生きか? ミツバチなんかはよく知らないけどそれなりに数週間生きるのかもしれないけど、蝶なんかは2週間も待てないだろう。毎日マタタビに通っては裏切られる蝶がかわいそうだ。

それにそもそも虫はそんなに遠く、高いところから飛んでくるのか? 鳥じゃないんだし。遠くから来る蝶などを狙っているのか? 木の下から来るのも多いんじゃないのか?下から見たら葉の白いのは見えない。

人間側の話をすれば、「葉が白くなるのは虫を呼ぶためだ」と断言するお気楽な自然観察指導者もいなくはないが、ネットを見ても「と言われている」と書いてあるのが多数で、一体誰がそう言っているのかはどこにも書いてない。「と言われている」というのは誠に万能な言葉である。

よって、「マタタビの葉が白くなるのは虫を呼ぶためだ」というのは都市伝説ならぬ山伝説であると断言したい。のだが、どこかにそういう論文がないとは断言できない。ただ、私はその説を今のところ信じる気になれない。

マタタビの壁

マタタビは木の葉や枝につかまってどんどんよじ登り、こんな風に林縁に壁を作っている。こうなると林内に入る風もかなり防がれて、林内の環境がかなり変わってくるだろうと思う。

結構びっしり葉を茂らせて、林の側面からもれなく光を受けて光合成に励んでいる。

 

猫はマタタビの枝にもゴロゴロするが、とりわけつぼみには狂喜乱舞して、見ていて心配になる。マタタビ中毒で廃人ならぬ廃猫になるんじゃないかと不安になる。けどそういう話も聞かないので、きっと依存性はないのだろう。友達が猫を飼っているので送ってあげたい。今は猫ブームなので、こういう枝を道の駅なんかで売ったりするとバカ売れしそうな気がする。

 

動画で紹介しています→https://youtu.be/jaws0lvOOpM


牧場によくあるヒメスイバ

2021-06-10 | 植物

栗の木とヒメスイバの野原

ヒメスイバもまた、何度見ても撮りたくなる草。逆光で見たときのサラサラ透ける繊細な感じが好みだ。

まあ、大方の人はただの草だと思って見向きもしないだろう。というところで、自分が少数派でありそうだというだけのことで無駄にかすかな優越感を抱いたりする。こんな人に見向きもされないものが好きな自分って、スゴイ……。みたいな。別にすごくはない。ただの変わり者である。

ヒメスイバ Rumex acetosella ギシギシ属 タデ科

(2021年6月岐阜県中津川市)

前にも記事にした気がするが、牧場のふちなんかに一面に生えていることがある。帰化植物なので山の奥深くにはない。人里の農地の刈り込まれたところ、すなわち日当たりの良いところである。このヒメスイバも4月の終わりごろから出てきて、5月中頃一度きれいに刈られたのだが、また伸びてきた。刈りこまれてもすぐにまた伸びて咲けるのだから多年草というのは根に結構な養分を蓄えていられるものだと感心する。人間で言うとお金が全部なくなっても何らかの資産を元手にすぐまた生活費をふんだんに捻出していい暮らしができるような感じである。このヒメスイバに対して人間が奪ったのは地上部だけであり、地下に埋蔵資産があるのである。スバラシイ。

しかしもう数年もすれば地上部の財産を奪い取る人間もいなくなってしまうかもしれない。そうするとほかの草が生い茂ってヒメスイバも衰退する危険をはらんでいる。

 

ところで数日前に書いていたキイチゴ(モミジイチゴ)のことだけど、毎日食べても次の日には新しいいい実が生産されているので、散歩の合間にキイチゴを食べるのが忙しい。林道を歩くと道端にずーっとキイチゴが鈴なりになって続いているのである。夢中になって食べている自分にふと我に返り、クマってこういう感じかなと思う。

うちの横のキイチゴ藪は奥の方にすばらしい実がいっぱいあるのだけど、とげがあって奥に入れない。今日は葉の上にチャドクガの幼虫が2匹いたので、もう明日からは手を出すのをやめたほうがいいかもしれない。


ヒメジョオンの季節到来 ハルジオンとの違い

2021-06-09 | 植物

ヒメジョオン Erigeron annus  2021年6月上旬

ムカシヨモギ属 キク科

今の時期、ハルジオン→ヒメジョオンに移り変わっている。

すなわち、終わりかけのハルジオンと、始まりかけのヒメジョオン、どちらも咲いている。

何かの図鑑に「いつのまにかハルジオンとヒメジョオンが入れ替わっていて、ずっと同じものが咲いていると思っている人がいる」という趣旨のことが書いてあったけど、ほんとうにその通り。ずっと同じものだとは思ってないけど、「あら、いつのまにかヒメジョオンばっかり」みたいになっている。そんな感想にはたいてい「暑ぅ……」を伴う。

で、これってどっち?と花をポッと持ってこられて、しばし迷うこともある。もし誰かに植物の名前を聞くときは、できるだけ地上部全体を持っていった方がいい。

自分ではパッと見で感覚的にどっちか分かるのだけど、その違いを説明するのに苦慮することもある。そこでうまく説明できるようにいろいろと写真を探していたらめんどくさくなって記事が書けなくなっていた。

気を取り直し。

〇まず、咲く時期。

とある図鑑には、ヒメジョオンが1カ月遅いと書いてあるけど、私の感覚では2カ月遅い。また、ハルジオンは4月から6月の間の2カ月ぐらいしか咲いてないけど、ヒメジョオンは6月から秋までずーっと咲いている。これから先見るのはヒメジョオンばっかりだ。見かける期間としてヒメジョオンの方が圧倒的に長い。

4~6月上旬 ハルジオン | 6~10月頃 ヒメジョオン

咲く時期がずれているので、基本、それだけで分かるのだが、今(6月上旬)の時期だけ混じるから面倒なことになる。

〇とにかく決定打 茎が中空か

ハルヒメ

茎が中空になっているのがハルジオン。中空とは、完全にストローみたいなこと。

茎の中に白い髄があるのがヒメジョオン。上の方では髄の中に小さい穴ができているのだが、こういうのは中空とは言わない。

 

〇花 花びらの幅と長さがもう一つの決定打

見た感じが全然違う しかし人によっては同じに見える

ハルヒメ

ハルジオンは花びらが長くて細くて糸みたい。真ん中の黄色いところよりも花びらが長い。

ヒメジョオンは花びらの幅が1ミリぐらいありへら型になっている。真ん中の黄色いところと同じぐらいか少し短く見える。

ハルジオンの花色濃いタイプ

ハルジオン(上の写真)は淡紅色がかるものが多い。でもかなり白いのもある。

ヒメジョオンは決して赤色がかることはない。真っ白。

ハルジオン(上の写真)の花弁は長くて細いせいか、絡まり合った感じで乱れている場合が多い。蕾の段階でもかなりヨレヨレともつれあってる感がある。ヒメジョオンではそこまでよれよれにならない(少しはなってるものがある)。

 

〇うなだれているか……雰囲気の問題なので説明するには苦しい

ハルはうなだれている。ヒメはうなだれていない。と言われる。

確かにそうなのだ。

ハルは雰囲気的に大きくうなだれていて、ヒメは雰囲気的にうなだれていない。だからそれで分かる。

ハルヒメ

ところがヒメも観察すると、つぼみがうなだれているのだ。「つぼみがうなだれている」という言葉だけで説明することは困難だ。

 

〇立ち姿と雰囲気 

すっくと立って背が高いのがヒメ 夏の空家の庭に生い茂る

ハルヒメ

1枚目(左)ハル、2枚目(右)ヒメ。やはりこの真っ直ぐピンと立ってる感じが一目でヒメジョオン!なのだ。

ただ、まだ小さいヤツはもしかしてハルかも?などと思って目を凝らすことになる。

ハルジオンは軟らかそう。ヒメジョオンは堅そう。(に見える。実際の触感ではない)

ハルジオンは私の観察では70㎝を超えることはない。ヒメジョオンは放っておくと平気で1.2mとかもっととか高くなる。夏の空家の荒れ果てた庭に生い茂っているのはヒメジョオンである。いや、ヒメジョオンが生い茂ると「荒れ果てている」と認定される。

草丈と花の大きさとのバランスで、ハルの方が豪華な感じがする。ヒメは緑が勝つので花は地味に感じる。

 

〇葉……茎を抱くとかなんとか、スルーすべし。

ハルヒメ

ハルジオンは葉の基部が茎を抱く、ヒメは抱かないと言うけれど、ヒメも上の方の葉は結構茎を抱いている。これで見分けるには植物全体の葉を上から下まで見るべきであり、一部だけ見てあーだこーだ言うと間違うことになる。そもそも、茎が中空かどうかと花弁の長さを見れば済むことなので、こんなめんどくさいところで判別しようなどと考えなくて良い。

〇地下茎とか春先の葉

また、春先にロゼットで広がって地下でつながっているのがハルジオン。だから春早いうちにみっしり地上に葉がある。

単独で立ってるのがヒメジョオン。

抜きたくなるのがハルジオン。刈りたくなるのがヒメジョオン。(意見には個人差があります)

上の写真。ハルジオン。何となくやさしい感じ。

ヒメジョオンに失礼を承知で言ってしまうと、写真撮りたくなるのがハルジオン。ならないのがヒメジョオン。


謎のアマドコロナルコユリ

2021-06-08 | 植物

見たことのないものが。

最初ツツジ科の何かかと思いました。

標高700mあたり。

一番近いものはミヤマナルコユリなんだけど、私の知っているミヤマナルコユリとかなり違う。

図鑑(北龍館)によると、ミヤマナルコユリは高さ30~70㎝。これはせいぜい15㎝。

花は2、3個ずつ付くとあるが、片側に1個ずつしかついていない。

なにか、雑種……?

ヒレフシタミヤマナルコユリ?

主三脈がある。ミヤマナルコユリの特徴。茎に稜があるかは調べてないけどこの感じでは何となくありそう。

アマドコロ属(Polygonatum)ではあると思う。

これがクサスギカズラ科(アスパラガス科)なんだから困ってしまう。

いずれにしても庭に植えたいかわいい花。でも採ってきたりはしません、ゼッタイ。

 


展葉のち太陽光発糖 マムシグサとヤマウルシ

2021-06-07 | 植物

オオマムシグサ Arisaema takedae Makino  

テンナンショウ属 サトイモ科(2021年6月中津川市)

 

オオマムシグサの葉が開いた姿が上から見たら意外とかわいい。

なかなか上から見る機会がなかったので気づかなかった。

植物は太陽光を浴びたら葉緑素の働きによって糖を生産している。

光を効率よく取り入れるために、複数の葉を面的に広げることが多い。樹木だと一枝全体が上向きや横向きの面を作っているのをよく見る。

そして、葉が重なり合ったら無駄が出るので、なるべく重ならないように。人間も梅干を干したり洗濯物を干したりするときは重ならないようにする。

ヤマウルシ Rhus trichocarpa  ウルシ属 ウルシ科(2021年6月中津川市)

ヤマウルシっていうのは本当に葉が端正できれいなもので、幼木があるとすぐに撮ってしまう。これが紅葉するとまたきれいなのだけど。今の時期でも葉軸の赤と葉の緑の補色の組み合わせに正統派の美みたいなものを感じる。

中心から周りに向かって丸く葉を拡げていて、中心部分は重なりをうまく避けるように(ということを狙っているのかどうかは知らないけど)葉(小葉)が小さくなっている。

周りをとりまいているのはダンコウバイの葉。

なんてきれいなの!

 

さて、オオマムシグサ。林の中にすっくと立っていた。その姿はバレリーナというか片脚立ちのタンチョウ鶴というか。マムシグサは曲がらない。いつも真っ直ぐだ。これがこの植物の一番の特徴だろう。

マムシグサ(テンナンショウ)は種類が多いけど *(先日の記事)マムシグサも立派に 

うちのあたりで一番よく見かけるのはこのオオマムシグサ。ときどきスルガテンナンショウ。

オオマムシグサ Arisaema takedae Makino  

テンナンショウ属 サトイモ科(2021年6月中津川市)

オオマムシグサは舌みたいなのが上から垂れ下がり、またその部分が長くて、濃い紫茶色に薄緑の縞が入る。中の棍棒は全体赤紫茶色で上の方が太くなっているけど玉にはならない。


薄紫のコアジサイは梅雨の花

2021-06-06 | 植物

うす暗い人工林の林床にもよくあるコアジサイ。あるところには林内一面にコアジサイが咲いている。

具体的に言うならば、恵那市の笠置山の登山道を笠置町方面から登って行くと、あたり一面コアジサイである。

 

ちなみに笠置山の反対側斜面にはマルバノキが一面にある。山頂に近い登山道から北側を見下ろす斜面にマルバノキがある。

話がそれた。

コアジサイ Hydrangea hirta アジサイ科 (2021年6月中津川市)

この薄紫色は、薄いラベンダー色と言ってもよく、本当にやさしいきれいな色で、私の大好きな花だ。赤みと青みのバランスが絶妙で、うっとりするような薄紫。

なんでも、東日本にはないらしい。図鑑を見ると、関東以西と書いてある。東限はどこなのだろう。

そしてさらに、植え替えできないという噂がある。やってみたことがないから分からないけど。日本庭園にはすごく合うと思うので、もっと植えられたらいいと思う。せいぜい山に行ったらタネを採ってくることだ。

今頃はうちよりもうちょっと奥の沢にはヤマアジサイも咲いているだろう。そしてもうすぐタマアジサイの時期。ヤマアジサイはあまりないけどタマアジサイはいやというほどある。

 

そして、ちょっと似た感じだけどこちらはガマズミ。ガマズミ科なので、アジサイとはもはや親戚とは言いづらいが、まあ全くの赤の他人とまで言わなくても、遠い遠い、ちょっと親戚っぽい人って感じ。織田信長と織田信成ぐらいか。いや、もうちょっと濃いか。

ガマズミ Viburnum dilatatum  ガマズミ科 (2021年6月中津川市)

かつてスイカズラ科だったガマズミだが、APG体系の分類でガマズミ科という地位を得た。梅雨時に咲き、葉が大きくて垂れ下がっている、すなわち側面に向いている葉で、横から光を取り入れている。よって林縁によくあり、日当たりのいいところで元気に育つ。

コバノガマズミとミヤマガマズミはこれより1カ月早く咲き、小型でかなり雰囲気が違う。

 

コアジサイの動画あります

 

https://youtu.be/oIafgIke-v8

 


赤いキイチゴのニガイチゴも食べられる。一応。

2021-06-04 | 植物

見るからにおいしそうな赤いイチゴ。

口に入れると、甘っ。と思ったら、その後、かすかに苦い味がタネのところからして、その後、微妙に変な味……。

ニガイチゴと呼ばれてしまうほど苦くはありません。普通に食用にして大丈夫で、平気でこの実をパクパク食べる人もいますが、私は遠慮しておきます。

 

ニガイチゴ Rubus microphyllus  2021年6月上旬 岐阜県中津川市

この種名のラテン語 microphyllus って小腸という意味らしいのだけど、「小腸のキイチゴ」? なぜでしょうか。

実が赤いので、キイチゴの王様のモミジイチゴよりもイチゴらしく感じます。

  モミジイチゴに関する記事→ 今が旬。キイチゴの見つけ方・見分け方   キイチゴの季節

 

葉の縁に鋭い鋸歯があって、鋸歯も葉の周りも赤いのがかなり特徴。

こんな荒れた感じのところに生えています。いや、キイチゴ属が生えていると荒れた感じがするということか。

ソーラーパネルとキイチゴが太陽光による生産性を競い合っているようです。

 


「山のアスパラ」と言われるタチシオデは野原に生える

2021-05-30 | 植物

久しぶりの快晴。気持ちのいい青空。

雨の日が好きだけど、こういう天気だとやっぱり気持ちが良く、やる気が増進する。きっと日の光が強いのでセロトニンがいっぱい出るのだろう。けど真夏のギラギラの日はちっとも気持ちが良くないのはどうしたことだろう。

いつもの道を朝散歩していたらタチシオデを発見。

タチシオデ Smilax nipponica 3本生えていた 2021年5月末 岐阜県中津川市

この新芽をポキッと折ってゆでておひたしにしたりして食べる。けど私は自分で採って食べたことはない。うちの方では食べるほどたくさん生えてないからで、たまに1本あれば、なくならないように大事にそこに生やしておくものである。

シオデは山のアスパラと言われるが、その中にはタチシオデも含まれている。シオデもタチシオデも同じ味で同様に食べられるということ。山菜王国秋田の方が体験から来た知見を非常に詳しく書いておられるので敬意を表して紹介する。 シオデとタチシオデの違い - 花好きじじい (goo.ne.jp)

なので、食べようと思ったら、シオデとタチシオデを見分ける必要はない。シオデもタチシオデもわりと似ていて、茎の節々に細いバネ状のつるがあって、それで巻き付く。うちの地方ではシオデに出会った記憶がない(あるらしいけど)。いつもタチシオデだ。だからシオデについてはあまり自分の言葉で語れない。

この記事をわざわざ見ているいる人はたいてい、見つけて食べたいと思っているのだろうから言っておくが、もしほかの何かと見間違うとしたら、サルトリイバラかサルマメである。それらはどちらも茎に小さいトゲがある。また有毒ではないのでそれほど神経質にならなくていい。

タチシオデは初めは土手の刈り込まれた草地なんかでにょきっと立ち上がっていて、高さ60㎝ぐらいまではまっすぐしているのだが、そのうち自分の重みに耐えかねて倒れてしまう。そうなるとタチシオデではなく寝シオデとなり、立ってないからただのシオデかもなどと思うのである。

そうやってタチシオデとシオデの見分けをスルーしてやもやしてきたが、ズバリ、この時期に花を咲かせているのはタチシオデである(シオデの花は7、8月)。また、タチシオデの花は上向きになっているので目立つ。シオデは下向きにやや垂れ下がり型となるらしい。

タチシオデの花 2021年5月末 岐阜県中津川市

北龍館の野草大図鑑には、タチシオデの方は主に日本海側に生えると書いてあるが、うちは日本海側ではないし、山渓のハンディ図鑑には八王子市の写真が使われている。「主に日本海側」はちょっと違う気がする。また、都市近郊でも日当たりのいい林縁に近い草地で探せばあるだろうと思う。

タチシオデは北海道にはないらしいが、シオデは北海道にあるということ。北日本に多いのかと思ったら、フィリピンにもあると図鑑に書いてある。守備範囲が広い。しかし、ほんとかな、などと思ってしまう。

木曽地方では家の前庭にシオデを栽培しているのをよく見る。これだけつるが伸びればたくさん収穫できる。今は園芸店でも苗を売っている。

シオデ Smilax riparia 2010年7月中旬 長野県木祖村

日本ではつるを食べる野菜はあまりないが、東南アジアではいろいろとつるを食べている。ハヤトウリも、ウリも食べるけどつるもさかんに収穫する。カボチャっぽい黄色い花をつけたもののつる(ヘチマか?)もよく見かける。ツルムラサキもあちらから渡ってきたものだろう。サツマイモや空心菜もつるを食べる。

シオデは山のアスパラと言われるけれど、アスパラガスとは他人。APG体系ではアスパラガスはキジカクシ科(アスパラガス科)で、シオデはシオデ科(サルトリイバラ科)。APG以前の分類体系ではどちらもユリ科だったので、アスパラの日本版がシオデだと思っている人がいるが、違う。葉の形も花の形も全然違い、似ても似つかない。味が似ていると言われるがどうもよく分からない。ただ、タチシオデが土手の草地でにょきっと出ている様子がアスパラガスに似ていると思う。


キイチゴの季節

2021-05-29 | 植物

いつの間にかキイチゴが実っているのを発見。

通称キイチゴだけれども、図鑑での名前(標準和名)モミジイチゴ Rubus palmatus (var.coptophyllus) 。

うちの地方にはナガバノモミジイチゴも多くて、この写真のものも、平凡社の図鑑の写真と比べるとかなり葉の幅が細い。

食べるとおいしいイチゴで、都会からこちらに引っ越したとき、わざわざ苗を取り寄せて植えたことがある。

わざわざ……。

その苗は、手入れが悪くて草に埋もれてなくなってしまった。

近所の人からしたら、そんなもの買って植えるなんて笑いのタネだろう。

 

日当たりの良いところが大好きで、放置された空き地や林縁にある。あるところにはいっぱいある。今年はキイチゴジャムが作れるかもしれない。

今日1個だけ、一番育っているのを採って食べたけど、まだちょっと酸っぱい。完熟するとかなり甘くなるけど、中に虫がいることがあるから注意しないといけない。虫の方も注意しないと……。しようがないけど。

季節が日に日に、どんどんどんどん変わっていく。一日たりとも同じ日がない。

 


ナルコユリの葉はササユリにちょっと似

2021-05-26 | 植物

今日のナルコユリ。

 

5日ほど前見つけた。↓

アマドコロなら葉が飛んでる鳥のように上向きになるし、葉の幅ももっと広いから

これはナルコユリ。

しかし、昨日、↓

あれ? ササユリ? と。

葉の先のとがり方、スッとした感じなど。ササユリは6月に咲く。そろそろこのサイズになって出ていてもいいかも、と。

で、本日。一番上の写真。花が着いていた。拡大↓

ナルコユリでした。 Polygonatum falcatum(クサスギカズラ科)

葉の下、茎にぶらさがっているのが蕾。

 

ナルコユリ、山渓ハンディ図鑑ではなんと『野に咲く花』の方に載っている。

この野草図鑑は「野」と「山」の2分冊になっている。ナルコユリは私のところでは、下界の里の方では見たことがないので、絶対「山」の方だと思っていた。ミヤマナルコユリも「野」にある。

この図鑑は「野」が先に刊行されているので、かなり多くのものが「野」に入っちゃっているようだ。「野」で収録できなかったものが「山」にあるのだろう。

 

わが地方にはオオナルコユリというものもあり、実際に山の上の方で「あった」ことに仲間内ではなっているのだが、オオナルコユリは北龍館や山渓の図鑑には載っていない。ただ『信州の野草』という信濃毎日新聞社が出している図鑑にだけある。草丈が1~1.3mあるということ。植物体が大きいということ以外にナルコユリと区別する特徴は書かれていない。大型のナルコユリってだけじゃないのだろうか? 遺伝子とか解析してみないと本当のところは分からない。ちなみに図鑑写真の撮影地は南安曇郡。

私(たち)が見た山の上のオオナルコユリみたいなのはそこまでは大きくなかった。せいぜい90㎝ぐらいだ。

さて、ナルコユリもササユリもよく似た葉の付き方で、横向きに傾いているところも似ている。やっぱりユリ科だよねー、と思っていたら、APG分類でナルコユリがクサスギカズラ科になってしまった。クサスギカズラとは、ざっくり言ってアスパラガスのことだ。見た目は全然似てない。でも遺伝子解析に基づくと同じ仲間らしい。

ササユリはユリ科のままである。

ユリ科は、前の分類では、いろんな単子葉植物その他大勢を「とにかくユリ科でいいわ」って感じでいっしょくたにして入れていたらしく、それらがそれぞれアイデンティティーを持たされてバラバラになった。今のAPG分類でユリ科に入っているのは、ササユリのような実にユリらしい花の形のものとなぜかカタクリぐらいである。前の分類で覚えてしまった者としては、一旦ユリ科というものを脳内から消して、なかったことにしないと、新しく覚えることができない。