日本艦隊司令部

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突入!!炎のシンガポール

2011-07-24 22:37:42 | 第二部 東洋激突編
 いよいよ対決の時、しかし天龍に危機迫る

「提督、今回のこの事件は秘密結社“N”の仕業と我々は結論付けました。」
 開口一番秘密部隊SHADO(シャドウ)の司令官エド・ストレイカー少将はそう断言した。
 SHADOは統合政府樹立以前国連の承認を得てイギリス政府が中心となって創設された秘密組織である。本部は旧イギリス地区の映画会社の地下70メートルに存在、統合政府の影の部分の元締めである。
 その司令室にはストレイカー司令官のほかに副司令フリーマン大佐、科学班長レイク大佐、SHADO第1潜水隊司令カーリン大尉ら主要メンバーが集まっている。
「そうか、奴らはやはり生きていたのだな。」
 その報告に新地球統合軍総司令ブルーノ・J・グローバル提督は愛用のパイプを咥えて腕を組んだ。考え事をするときの癖だ。
「実に10年ぶりですな。提督、あなたが南太平洋で遭遇した時から。」
 そうストレイカーに告げられ、グローバル提督は思い出していた。統合戦争中に彼が乗艦していた潜水艦が謎の潜水艦3隻に追撃を受けた。しかし、艦長であった早瀬隆司前統合軍提督の指揮の下反撃、見事に二隻を大破撃沈し、一隻は逃走したのだった。
「しかしストレイカー君、私はまだ信じられん部分もあるよ。なにせあのナチスが現代にまで生き残っているなど。」
 そう言われ、ストレイカーは席から立ち上がって語り始めた。
「それは自分も同じです、しかしこれは事実です。それに歴史の中にも彼らの影が見え隠れしております。例えば1954年3月、南太平洋ビキニ環礁で行われた米軍の核実験はなぜ予想をはるかに上回ることとなったのか。」
 日本では第5福竜丸被爆事件として語られることとなる事件であった。後に船員が死亡し、原水爆世界大会の開催やゴジラをはじめとする反核映画作品の誕生の引き金ともなった。
「また1963年、前年のキューバ危機の英雄米国大統領J・F・ケネディ暗殺事件とその犯人とされたオズワルド殺害事件の謎。今も謎とされる複数の銃声。」
 1962年、キューバと共同してのソ連による中米ミサイル配備計画、これによって米ソは一触即発の事態となったが米大統領ケネディの手腕によってトルコのNATOミサイル基地撤収とキューバへの侵攻中止と引き換えにソ連と交渉成立させ第3次大戦は回避された。
 しかし、翌年ダラスのパレードの最中、彼は暗殺された。また狙撃犯として逮捕された容疑者オズワルドは事件から二日後に射殺され真相は不明となった。だが当時の状況から複数の銃声や不自然な弾道から複数犯による犯行とも言われている。
「1976年、ソ連戦闘機の函館空港強行着陸と亡命事件、1989年米海軍戦艦アイオワ第二砲塔爆発事件、1996年航空機TWA800謎の爆発墜落事故、謎とされた怪事件には何者かの存在が見受けられます。」
 そしてストレイカーは席へと着席し煙草に火をつけた。
「ストレイカー君、奴らの目的は何であろうか?」
 グローバル提督の問いかけにストレイカーは即座に答えた。
「おそらく、混乱の時代を作ることでしょう。」

 一方シンガポールを目指す軽巡洋艦「霧島」「榛名」の二隻の上空をバルキリー隊が追い抜いていく。「天龍」から飛び立った26機三小隊のバルキリーだ。
「いいか、あの二隻が突入する前に俺たちが基地に爆撃を掛ける。ここに作戦の成否がかかっているんだ。各自気を抜くな。」
 先頭を行く輝のバルキリーから全員に指示が飛んだ。
 それを聴いた輝の真後ろにいる久野一矢中尉は手に汗がにじむのを感じた。部下の手前ミーティングの席では気丈に振舞ったつもりだったがいざ実戦となると緊張せざるを得なかった。
 やがて陸地が見えて来た。
「いよいよだ、全機突撃!!」
 スロットルを全開にして二機のバルキリーが先行していく。輝と副隊長の沖野誠二だ。
「全機続け!!」
 一矢も負けずに声を出し後を追った。
 全員が基地を肉眼で確認した。しかしすでに基地から煙が上がっている。まるでのろしのようだ。

「来たぜシュテッケン!!バルキリー隊だ!!」
 シンガポール基地近郊の丘の上から双眼鏡を構えていたキッドから報告が届いた。
「よし、派手なのろしを上げたかいがあったな!!」
「あたし特製の爆弾の威力なかなかでしょう。」
 などと言っているシュテッケンとお町の元へとキッドが下りてくる。
「ほいじゃあ潜水艇でずらかりますか。」
「うむ、そろそろスカイダイバー2号が沖合いに到着する頃だ。」
 時計を確認したシュテッケンがキッドに答えたそのときだった。
 地鳴りと共に基地に黒煙と炎が上がった。
 あまりの爆風に三人があおられる。
「ひゃー、まだ逃げ切れてねえのに。」
「いやん、髪の毛が乱れちゃったぁ。」
 二人がそんなことを言っている間にシュテッケンが潜水艇へと走り出した。
「二人とも急げ!!流れ弾に当たっても知らんぞ!!」

「よっしゃぁ!!命中!!」
 そう叫んだのは第一地航空隊第四小隊長のロメル・ウォーカー少尉だ。地上兵器にミサイルを命中させさらにガンポッドの掃射をかける。
 他のバルキリーもそれに倣った。またそれに合わせて地上部隊の遠距離砲撃も始まった。第一歩のシンガポール基地爆撃は成功し、各所から火の手が上がった。
 しかし輝は不審に思った。
 付近の陣地や地上部隊からは対空砲を撃ち上げてくるが敵の航空機の姿が見えない。敵が東洋艦隊の攻撃に向かったとしても基地の上空の警備が薄いのはおかしい。
「輝、妙だと思わんか?」
 同じく誠二も疑問に思っているようだ。
「敵の防衛が手薄すぎる。もしかすると・・・」
その誠二の指摘に輝はすぐさま反応した。
「罠か!!しまった!!「天龍」が危ない!!」
「輝!!急いで引き返せ!!ここは俺の部隊が引き受ける!!味方の地上部隊が突入したら俺たちもすぐに向かう!!」
「すまない!!」
 すぐに輝が部下達に状況を伝え引き返す。一矢、ロメル、ギム達各小隊長も部下を引き連れて母艦へ向かう。一応護衛として「天龍」にはジル少尉の第2小隊と第2航空隊の第4小隊を残してきたが嫌な予感がする。
「間に合ってくれ!!」
 輝の目に未沙が浮かんだ。なんとしても彼女を守らなければならない。
 だが間もなく輝の目に異常な光景が飛び込んできた。
 晴れ渡った空の下、海上に三つの黒煙を確認した。それは明らかに自分たちの来た方向であった。つまり艦隊に異変が起こったと言う事であった。


 次回に続く

 いつも遅れてすいません。暑い今日この頃皆様お体お気をつけ下さい。
 なお今回の話に登場している歴史上の事件と本作品は一切関係ありません。

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2 コメント

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Unknown (理沙)
2011-07-25 09:59:11
yamatoさん。
暑中お見舞い申し上げます!( ^ω^ )V

核の脅威に現実に晒されている中、ビキニ環礁の水爆実験で被害を受けた第一福竜丸は、この◎津の船でした。
今も、この地域の子供達は、その歴史を小学生の内に学びます。
思えば子供であったあの頃、今なんかよりもっと、放射能汚染が地球上にあったのではないのかと思う今日この頃です。

ついつい、第一福竜丸の事が出たので呟いちゃいました。(笑)
しかし、政治体制もあやふやな混乱した時代になれば、力を得ようと、こうした過去の亡霊が地から這い出て来ても、おかしくないんですよね。
そんな事を考えさせられるグローバル提督とストレイカー司令官の会話だと思いました。
それから、ロメル少尉が出ると、何故かちょっとドキッとします。(今特にw)
輝達が間に合ってくれるといいのですが、未沙を護るのが務めの彼ですものね。
ドキドキしながら続き待っております~!
( ^ω^ )/

※それから、こちらは寝ていて(だめじゃん)気付かない程の地震でした。
お気遣いをありがとうございました~。
m(__)m
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理沙様 (yamato)
2011-07-26 17:46:06
こんばんわ。こちらも暑中お見舞い申し上げます。何事も無かった様で何よりです。
福竜丸は確かにそちらの漁港に所属していたマグロ漁船でしたね。自分も小学校時代に歴史で習いました。あの一発の水爆が太平洋中に放射能を撒き散らしてしまったまさに人類の負の歴史といえるでしょう。当時福竜丸も危険区域外で操業していたにもかかわらずに被爆してしまい、米軍の追跡を恐れての航海だったと聞きます。
いまも放射能が取り沙汰されておりますが、広島、長崎から66年、福竜丸事件から57年にもなりますが、原子力というものが計り知れないものであるとも思う今日この頃です。重い話ですいません。
ナチスの復活というのは極端な悪役かもしれませんが自分はいつまたあの恐怖の帝国が生き残り、現れてもおかしくは無いとさえ思うときがあります。そしてそうなったら一体どの様に我々に牙をむいてくるのかと言う事も今後のストーリーに絡ませていきたいと思っております。
さて次回天龍の運命やいかに。どうぞご期待下さい。暑い今日この頃ご家族様共々お体お気をつけてください。
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