日本艦隊司令部

小説、アニメ、特撮、刑事ドラマ、映画などの語り

2012年1月16日

2010-12-31 22:15:07 | マクロス 小説 第一部 運命の出航編
 ついに現れる謎の敵。はたして「天龍」はどうなるのか


 2012年1月16日夕刻。すでに「天龍」が瀬戸基地を出航して2日目になる。今日は発艦及び模擬戦、編隊飛行、着艦などの訓練をこなした。また甲板を利用したランニングや格闘訓練も行った。その結果今日は失敗者も無かった為甲板に人影はほとんど無かった。
その甲板の上で一人の男がラジオを聴きながらラムネを飲んでいた。1月ではあるが南下するにつれて気温も上がり格闘訓練の後に全員にラムネが支給された。汗だらけの若者達はビンを片手にそれぞれに艦内へと入っていった。男はいつもこの時間に始まるラジオ番組が好きで携帯ラジオを肌身離さず持っていた。
 彼の名は風見健吾。この天龍の航海にオブザーバーとして参加している瀬戸基地の格闘戦講師である。彼は現在26歳にして元陸上自衛隊の特殊部隊出身であり、ある人物に招待されマクロスに乗った。彼はマクロス艦内で格闘技の講師をしながらテレビ関係のスタントなどで生計を立てていた。そんな彼の趣味は音楽でいつも雑誌や携帯プレーヤー、ラジオなどを携帯している。

「みなさん、こんにちわ。夕刻音楽展の時間がやってまいりました。日本地区から遠く離れたあなたへ懐かしいあの曲をお届けします。私はパーソナリティをつとめます長谷川義治でございます。どうぞよろしくお付き合いくださいませ。」
 やさしいワルツ風の音楽が流れ、少し世間話のような前口上が続き、司会者の饒舌な語りが始まった。
「さて、本日はなつかしの昭和特集ということで数々のリクエストが入っております。昭和の名曲は今聞いても実にいい物です。では早速最初のリクエストです。ラジオネーム「レクイエム」さんからのリクエストです。『今は遠くへ行ってしまったあの人の好きだった曲です。今ももしどこかでこの曲を聴いていることを願っています。一番の思い出の曲』だそうです。それでは聴いていただきましょう。1981年寺尾あきらさんの「ルビーの指輪」です。」
 それを聞き風見は驚いた。それは自分にとっても思い出深い歌だった。その曲は自分の父親が自分に教えてくれたお気に入りの歌であり、かつて別れてしまったある女性に初めて歌って聴かせた曲でもある。今その女性がどうなっているのか彼は知らない。だがこのリクエストをした人物と同じようにこの曲を思い出にしてどこかで聴いているような気が彼にはしていた。
 そして彼は沈み行く夕陽に向かってポツリとつぶやいていた。
「晴海・・・。」

 ちょうどその頃のことである。インド洋への入り口付近マレー沖の海底に巨大な艦がゆっくりと航行していた。それは一隻の巨大な潜水艦であった。
 そのブリッジで指揮を執る人物は司令席に背中を預けイヤホンを耳に入れながら笑っていた。
(自分のリクエストがこんな大事な時に選ばれるなんてね。)
 そう思いながら彼女はその相手のことを思い出していた。今生きているのかも分からない一人の男性を。
(でも、もう私は昔の自分ではない。自分は今は真帝国太平洋艦隊司令長官ヘルディ・マイヤーだ。)
 彼女は自分にそう言い聞かせていた。その時部下から声が掛かった。
「司令、各部隊より連絡。準備完了、指示を待つ。」
 ちょうど曲が終わった頃合、時間どうりだ。彼女はそう思い歴史に残るであろう言葉を発した。
「よろしい!!本日を持って作戦開始!!我らこそがすべてを導く先導者であり世界を統べる者なり!!統合政府の時代は終わったのだ。全員奮起して今こそ立ち上がるのだ!!」

 その夜、南下を続ける天龍艦隊は沖縄諸島と台湾の中間を少し南に下った辺りにいた。艦隊速度は12ノット(時速約23キロ)である。
 時間は1月16日午後11時前。
 このとき司令である早瀬未沙中佐は当直をすでに終えて自室に戻っていた。彼女は部屋で紅茶を用意してまもなく同じく当直を終える人物がやってくるのを待っていた。
「さてと、あとは来るのを待つばかり。」
 今の彼女を見て厳しい艦隊司令などと思うものはいないであろう。だが、
 ピィーッ、ピィーッ
 その甲高い音は部屋にあるテレビ電話の音だ。彼女が受話器をとると画面にデビッド・E・スプルーアンス参謀長が現れた。
「司令、お休みのところ申し訳ありません。艦橋までお越し願いたいのです。」
「分かりました。すぐに参ります。」
 幾分がっかりしたが自分を呼ぶということは何か司令の判断を必要とする状況ということである可能性が高い。そう思い彼女は急いで艦橋へと向かった。

 未沙が艦橋に姿を現すと全員が一斉に敬礼した。その中には当直の航空隊長である輝の姿もあった。敬礼を返しながら艦橋中央のスプルーアンス参謀長に未沙がたずねた。
「一体何事ですか?」
「司令、実は数分前に通信長のエマ大尉が友軍のSOSシグナルを受信しました。」
「何ですって!?」
 未沙は驚いた。そして通信長のエマ・グレンジャー大尉に意見を求めた。
「エマ大尉、説明してください。」
「はい、これをご覧下さい。」
 そう言ってエマは自分のコンソールから一枚の記録用紙を手にとって未沙に見せた。
「これは統合海軍で使用されている無線通信用のSOS信号です。しかしかなり微弱でノイズにまぎれていました。もしかすると無線もろくに機能していないのかもしれません。」
「この通信は一体どこから?」
 未沙がそう質問すると航海長の天野純大尉が海図を指し示して説明した。
「距離は分かりませんが、方角は本艦の進路から左舷へ約70度方向。マリアナ方面です。」
「早瀬中佐、すぐに偵察隊を発艦すべきです。」
 そう進言したのは輝だった。
「もし何かが起こっているのなら見過ごすわけには行きません。本艦の当直バルキリー隊を発進させて警戒すべきです。」
 これにスプルーアンス参謀長が同調した。
「私も同意見です。ここは一刻も早く状況を解明すべきです。」
 未沙もそれには賛成であった。一日分ぐらいなら時間もあまるように計算された航海でもあるので演習に遅れる心配も無い。未沙は冷静に命令を出した。
「分かりました。では一条少佐、すぐに準備に取り掛かってください。エマ大尉は重巡「白神」で指揮を執る日向少佐に警戒するように連絡を、天野大尉は航路変更の作業をしてください。これより本艦は第2種警戒態勢に入ります。」
 それを聞き各員はそれぞれの部署へと向かった。時計はもうすぐ日付が変わることを知らせていた。


遅れに遅れた今年最後の更新です。どうもすいません。では皆様良いお年をどうぞ。今年一年ありがとうございました。

出航

2010-12-06 15:56:21 | マクロス 小説 第一部 運命の出航編
 お待たせしました。やっと出航です。


 瀬戸基地の沖合いに投錨している空母「天龍」の出航の日が来た。右舷前寄りに配置された第一艦橋(ブリッジ)から司令の早瀬未沙中佐は双眼鏡で基地内の滑走路を見ていた。滑走路では現在搭載される予定のバルキリー隊が集まってきていた。
「参謀長、着艦訓練開始まであとどれくらいですか?」
 そう言って未沙は後ろに控える艦隊参謀長のデビッド・E・スプルーアンス少佐に双眼鏡をはずして向き直った。
 スプルーアンス参謀長は腕時計を見て答えた。
「あと20分後です。まもなく出航ですから。すでに護衛艦隊の第8戦隊重巡「雲仙」「白神」の二隻が合流すべく紀伊水道を北上しております。」
「ありがとう。時間通りですね。とにかく最初の訓練だからといって失敗は許されません。事故も然りです。」
 そういうと未沙はブリッジ中央の海図へと向かい、ある一箇所を見ながら言った。
「今回の演習は統合軍東洋艦隊に大西洋艦隊、それに太平洋艦隊による戦後最大の一大演習です。とくに我々は日本艦隊の代表として行くのですから。」
 すると通信席のエマ・グレンジャー大尉がインカムを抑えながら報告を寄越した。
「早瀬司令、瀬戸基地の天龍第一航空隊長一条少佐から通信です。『準備完了、これより発進す。最終確認の為命令を願いたい。』以上です。」
「では了解しましたと返信を。文面は任せるわ。」
「はい、先輩!!」
 その返答に対して未沙が一瞬鋭い視線を見せた。
 それに気付いたエマ大尉はあわてて訂正した。
「し、失礼しました、司令。」
 それを聞き未沙は再び基地へと向き直った。
 エマ大尉は未沙の士官学校時代の後輩にあたる。マクロス航海時代にもシャミー少尉と同じく未沙の次席オペレーターとして働いていた。その頃の癖が抜けていないのだ。
 続けて未沙は舵輪を握り出航命令を待つ航海長の天野純大尉へと命令を発した。
「天野大尉、出航用意。」
「了解。出航用意。」
 すると天野はインカムで機関室への通信チャンネルを開いた。
「機関長、出航用意。機関始動、缶圧上げ、巡航速度は20ノットをキープする。錨も上げてくれ。」
 すぐに了解の返事が来た。艦がエンジン音を響かせ始めた。
 未沙の最初の号令が艦橋に響き渡った。
「「天龍」出航。」

 一方瀬戸基地では各滑走路に総数34機のバルキリーが並び脇では航空隊長の一条輝少佐と沖野誠二少佐による点呼および最終確認が行われていた。32名の男女がその言葉に耳を傾けている。
「いいか、空母とは洋上の滑走路だ。したがって少しでもはみ出せばそこは海。落下でもすれば命に関わり、着艦方向を誤れば艦橋やマストへの激突の危険性もある。その為諸君らにはあらかじめ着艦訓練は受けてもらった。今日はそのテストの仕上げでもある。よって失敗した者には厳罰を下す。各自気を引き締めて掛かってくれ。」
 それを聞き部下がざわめき始めた。すると誠二が声を発した。
「何か質問はあるか?」
 すると1人の部下が手を上げて。
「厳罰とは何ですか?」
 と質問してきた。
「失敗したものは、夕方まで甲板掃除任務を命じる。」
 するとざわめきがいっそう高まった。
「隊長、新造空母の甲板を掃除して意味あるんですか?」
 その質問に数名が笑った。だが輝は表情を崩さずに答えた。
「この厳罰は今後の訓練の失敗でも行う。つまり予行演習ということだ。」
 それを聞くと全員が静まり返った。
「では各自は自機へと乗り込んで待機。発進準備を整えておくように。」
 解散すると輝と誠二は自らの機体へと向かった。
「きにいらねぇな。」
 そう言ったのは輝の隊の第4小隊長ロメル・ウォーカー少尉だった。彼は5日前の「天龍」進水式での模擬戦以来少々気が立っていた。
「変な気起こすなよ。着任早々からな。」
 そう言ったのは第1小隊長の久野一矢中尉だった。
「ロメル、一条少佐にかなわないことはこないだ分かっただろ。」
 そう言われロメルは一矢に食いついた。
「かなわないと分かればその上司にしっぽを振れってんですか?」
 一矢は落ち着いて返した。
「そうじゃない。相手をよく見ろといいたいんだ。戦う相手を見極めろ。」
「戦う相手ね、おれはあの上司がそう思えるんだがね。」
 そう言うとロメルは自分のバルキリーへと小走りに向かっていった。
 一矢は振り返り、隣の滑走路の尾翼に骸骨の描かれたバルキリーへと視線を向けた。
「戦う相手か…。」
 一矢はそう言い残し自分の機へと向かった。

 またその頃、太平洋東シナ海九州沖の深海底に巨大な鉄の塊がいた。それは巨大な潜水艦であった。
 その司令室では1人の女性が中心となって数人が海図を囲んでいた。全員の眼が据わり、異様に白い顔をした者もいる。
「司令、紀伊水道に配置した58潜水艦報告によりますと二隻の巡洋艦が瀬戸内海へと入ったそうです。」
 そばの部下の報告を聞き司令と呼ばれた女性は冷静に返した。
「おそらく空母の護衛艦でしょう。豊後水道と足摺岬沖に配置した第3潜水戦隊からは?」
「まだ何もありません。」
「そうですか。」
 そう言ってその女性は窓へと歩み寄った。
「まさか67年後に同じようなことが起こるとは彼らは思いもしなかったでしょうね。」
 その視線の先には照明で薄く照らし出された鉄の船が横たわっていた。
 その船は1945年に沖縄へと山口県の徳山から出撃し、豊後水道で敵潜水艦の追跡を受けここで果てた古い軍艦であった。
 そうして感慨にふけっていた時通信員が声を発した。
「司令、大西洋の本部より通信が入っております。」
 それを聞き彼女はすぐに振り返った。
「すぐにつなぎなさい。」
「了解!!」
 すぐさま通信用スクリーンに映像が映し出された。
「全員そろっているようだな。」
 落ち着いた声が司令室に響き渡った。相手の顔は暗くて見えないがその人物の着ている軍服には卍のマークが刻まれていた。
 そして司令室の全員が踵を合わせ、片手を上げて敬礼した。
「ハイル!!」
 それを確認すると映像の人物も敬礼を返した。
「ハイル。早速本題に入ろう。あの空母の行き先が諜報部の調査で判明した。インド洋、おそらくは統合軍シンガポール基地だろう。」
「シンガポール?何故ですか?」
 女性は聞き返した。
 映像の人物は静かにそれに答えた。
「どうやら統合軍の海上戦力による演習が予定されているらしい。」
 司令室の1人が声を発した。
「では、あの空母はその演習に参加する為に。」
「そのとおりだ。そこで我々の東洋艦隊も動くことになった。諸君らは当初の予定通りに進めてくれたまえ。よい報告を期待しているぞ。」
「ハイル!!」
 再び敬礼が響いたのを確認すると映像の人物は消えた。
「全艦に発令。我らが真帝国の名の下に作戦を開始せよ。」
 司令室のメンバーはそれぞれの部署へと戻っていった。

 その日の夕方、太平洋へと入った空母「天龍」の甲板に二人の人物がいた。第4小隊長のロメル少尉と第1小隊の柿崎幸雄伍長だった。彼らはモップで必死に甲板を磨いていた。彼らは訓練でそれぞれ失敗を犯したのだった。
 ロメル少尉はイライラの為か着艦用のフックを掛けられずに甲板を素通りしてしまいあわててガウォーク形態で着艦し、柿崎伍長は自分の着艦する順番を間違えた為だった。
(いつか見返してやるからな。今に見てろ。)
 そう思いながら夕焼けの色に染まる甲板でロメルはモップを絞っていた。

 その夜各地で謎の船舶の目撃や事故が発生した。だが、それが人為的に行われたものであると判明したのは3日後のことであった。時に西暦2012年1月17日のことである。


 冬期休暇取り今日やっと出航です。みなさんにいつも見ていただいているのに遅れてしまってすいません。次回はいよいよ敵の登場です。



ハリウッドSF映画ベスト20

2010-12-04 01:27:35 | 映画
 先日某番組で放送されておりました。色んな世代の男女に聞いたハリウッドSF映画のランキングということで映画好きの自分はもちろん見逃しませんでした。


ベスト20(☆マークは観た事のある作品)

第1位「マトリックスシリーズ」☆
第2位「アルマゲドン」☆
第3位「スターウォーズシリーズ(旧シリーズ)」☆
第4位「バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ」☆
第5位「E・T」
第6位「猿の惑星」
第7位「ターミネーター」☆
第8位「M・I・Bシリーズ」☆
第9位「2001年宇宙の旅」
第10位「トランスフォーマー」☆
第11位「エイリアン」
第12位「AI」
第13位「インディペンデンスデイ」☆
第14位「未知との遭遇」
第15位「フィフス・エレメント」
第16位「バイオハザードシリーズ」☆(ただし4および2880は未見)
第17位「ロボコップ」☆
第18位「アバター」
第19位「ジュラシックパーク」☆
第20位「X-MEN」

自分は特に好きだったのは「バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ」「スターウォーズシリーズ(旧シリーズ)」ですね。好きなキャラクターは前者はマーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス)、後者はハン・ソロ(ハリソン・フォード)です。
ただ個人的には「インディジョーンズシリーズ」もランクインしてて欲しかった。
各作品について何かお話あればご一報お待ちしております。