日本艦隊司令部

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奪還作戦

2011-05-04 11:10:18 | 第二部 東洋激突編
 すっかり遅れてしまってすいません。公務員就活開始でやっと一息つけました。
 いよいよシンガポール奪還計画が始まります。


 夕刻、陽が傾きつつあるジャワ海マラッカ海峡。水深約30メートルの海底を這うように動く物体があった。魚の類ではない。いうなれば海底歩行艇だ。小型の潜水艇に属するがキャタピラで海底と陸上を走る事も出来、偵察任務に特化した兵器だ。また海底を這うことによって浅い水深や機雷網も突破しやすい。
「キッド、一度浮上して潜望鏡をあげてみよう。」
 一段高い司令席から背の高い男が指示を出す。体が大きいためか狭い艦内が余計狭く感じられる。
「OKシュテッケン。潜望鏡深度に浮上開始。お町!!ポンチョ!!アップトリムだ!!」
 一番後ろの席から返事が来る。
「いいわよキッドさん!!」
 少しずつ潜航艇は上がりやがて潜望鏡を出した。
「ほう、中々の艦隊だ。空母は2隻、片方はかなり大型だ。護衛の駆逐艦は6、いや7だな。よし、再度潜行。」
「オーライ!!」
 再び潜行し、今度は陸地を目指す。
「このまま闇夜にまぎれて上陸。基地に潜入する。ポンチョ、お前はジャングル地帯に潜伏しているAチームに合流してくれ。」
「イエッサーでゲス。」

 一方その頃、フィリピン近海の「天龍」で奪還作戦会議が艦隊首脳と草鹿長官によって行われていた。基地の方の被害は大きかったがここの基地と一般の町とは距離があるため民間人の被害が少なく、基地の地価倉庫などは無事であり地上職員達に任せてあるのだ。
「現在東洋艦隊はインド洋のセイロン支部に集結している。旗艦空母「レナウン」以下空母2、重巡洋艦5、ヘリ空母1、軽巡洋艦3、駆逐艦14は司令官のゲイル・J・マッケーン少将指揮の下出撃体制がほぼ完了している。あとはこちらからのゴーサインを待つばかりだ。」
 草鹿長官は威厳を込めた語り口で告げた。
「現在シンガポール基地は完全に敵の制圧下にあり、住民の脱出は成功したものの奴らはこの付近一帯へと手を伸ばしつつある。脱出に成功した守備隊のデストロイド中隊に機甲師団の戦車部隊、歩兵師団が果敢にもゲリラ作戦を展開しているが敵は物量でこちらを圧倒している。なんとしても援軍が必要である。」
 ここで司令官である早瀬未沙中佐が意見を出した。
「長官、陸軍の援軍の方は?」
 敵の陸上部隊から基地を奪還するには陸上の部隊も使う必要が有る。脱出した守備隊だけでは足りないかもしれないと思っての進言であった。
「それに関してはオーストラリア方面から歩兵師団と機械化師団の増援がすでに輸送船で出発した。」
 机上のコンピュータ画面の海図にマークが浮かび上がる。
「諸君らに合流する第20艦隊の駆逐艦1と特殊艦が護衛に付き、現在この地点を航行中だ。到着予定は1月20日午後の予定だ。そこで海軍は敵の海上戦力と陸上基地を叩いておかねばならん。作戦開始は20日の夜明け前だ。」
 作戦日が明言されて全員改めて時計を見る。あと約2日半で戦闘開始ということだ。
「では早瀬君、しっかり頼むよ。」
 自分の重い立場を再度確認した未沙は静かに敬礼しつつこう返した。
「イエッサー」

 また一方甲板上では夕方のトレーニングが行われていた。現在準待機中のバルキリー第1中隊が講師の風見健吾と共にマラソン中である。何せ全長250メートル、甲板長233メートル、幅34メートルの巨艦だ。一周は約520メートル。大体のスポーツは可能である。
 現在トップは講師の風見健吾に第1小隊の久野一矢中尉、第4小隊のロメル少尉が続く。他の者は1名を除いて全員ノルマ20周を終えて休憩している。だが3人はまだ走り続けている。もう26周目だ。
「はぁはぁまだ足りねぇ。」
 息も絶え絶えに必死に健吾に追いすがっているロメルに一矢が声を掛けた。
「はぁ、はぁ、ロメル、そろそろやめた方が良くないか?」
 だが果敢にもロメルは反対する。
「まだまだ、はぁはぁ、あと10周はしてやる・・・。」
「はぁ、ようし、なら付き合おうじゃないか。」
 彼らは健吾同じ位置に1人の男を見た。初日に健吾と共に35周を達成した隊長だった。
「なんとしても追いついてやる。」
 すると前方にいた健吾が引き返してきた。
「ようし、二人とも、今日はこれで終わりだ。ちょうど27周だな。」
 二人の前で健吾は笑顔でそう言った。しばらく息を整えていた二人だったが数十秒後ロメルが口を開いた。
「風見コーチ、俺まだ走ります!!」
 汗だくの顔で彼は進言し、一矢もうなずいた。だが、
「そろそろやめた方がいい。君らはパイロットだ。無理して体調不良でも起こされたら俺が怒られるんだ。それにノルマも達成したし君達は前回より2周多く走っとる。夕食まで後30分だしな。」
 二人はあわてて腕時計を見た。確かに前回と同じくちょうど夕食30分前だ。
 しかし時間がおかしい。健吾が遅すぎるのだ。その時二人は気付いた。
(まさか俺たちが無理しないようにペースを会わせて・・・。)
 さらに健吾は続けた。
「とにかく無理矢理はいかん。追いかけたかったら日進月歩の心構えだ。お前達の目標の人物にしても最初から35周達成したわけじゃない。スポーツも飛行機もまずは誰かのあとを追いかけることからだったんだ。」
 言いながら健吾の脳裏に金髪の豪快なあの男とその後を追うクセッ毛が特徴の同じ日本人の少年が映っていた。
「今日はここまでだ。さぁ飯だ飯。今日はカレーの日だぞ!!」
 そう言いながら健吾は去っていった。しばらくその場に立っていた二人は彼の後を追って艦橋脇で飲み物を配っている配給パラソルへと向かった。

 その夜、「天龍」は錨を上げた。巡洋艦6隻と駆逐艦4隻を率いて闇夜に紛れ目指すは暗雲渦巻くシンガポールへの奇襲。後にこの夜の出撃が戦史家達によって「21世紀のニイタカヤマノボレ」と伝えられることとなる。

 とにかく遅れてしまいすいません。次回ついに始まる大作戦。果たして奴らは何者か。また次回よりゲスト、カメオ出演、スピンオフなどが目立つようになりますのでご注意下さい。(場合によっては各話一部変更という事もございますのでご了承下さい。)

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6 コメント

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Unknown (理沙)
2011-05-06 08:38:35
就職活動、お疲れ様です。
今は特に大変な時代だと色々聞き及んでいますので、良き方向へ進む事を祈っています。


…海軍にはカレーですね。(笑)
ロメルくんの時折見せる無茶ぶりは、実に微笑ましいです~
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理沙様 (yamato)
2011-05-09 21:43:33
こんばんわ、いつもコメントありがとうございます。
警察試験が終わってあとは来週の海保と再来週の自衛隊です。それが終われば一休みできます。
海軍といえばカレーですからね。祖父も海軍時代の思い出深い食べ物で70過ぎてもぱくぱくと食べていたのをおぼえております。
ロメルくんは自分も悩むキャラでうまく味が出せているようで一安心です。
気温の変化の大きい季節ですがお体お気をつけて頑張って下さい
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か カレー! (敦賀屋バボ)
2011-05-13 17:25:57
どっちだろ 赤いカレー? 海軍カレー?
新種の海自カレー?かな(o^^o)
食堂に侵入して 敦賀屋商店の「海兵オリジナル・ブレンド」販売しなきゃ
軍隊で平常の食堂食ってば 唯一の娯楽なんよ デザートは担保や賭博のアシにもされる程なんよ ただ、
レーションキットのCモデルでビーンズは劣悪の極みだったよ(>人<;) 罰ゲームよりキッツイんだ ほんと

Yamatoさん 体調に気を付けて 試験に挑んでね
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敦賀屋バボ様 (yamato)
2011-05-25 22:13:20
こんばんわ。すっかり遅くなってすいません。筆記は終わりましたがまだ自衛隊や消防の体力試験が・・・(すでに体中きしみ気味)
自分はやはりコクのきいた海軍カレーがいいですね。通販で買ったりお土産に頼んだりします。いつか横須賀で戦艦三笠を眺め、東郷さんになりきっていただきたいと思います。(東郷さんはシチュー派の提督(笑))
ちなみに自分の祖父は海軍でしたが甘いものは争奪戦が発生したとかよく聴きましたね。カレーとインドで食べたジャガバターが最高だったそうです。
とにかく遅くなってすいませんでした。
暑くなる季節ですのでどうか食べ物などにはお気をつけてください。
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ジッちゃん (敦賀屋バボ)
2011-06-10 05:16:03
うちの他界したジッちゃん は陸でして
ジ)飯の ゲテモノは 食べ飽きたから 普通を食べてみたい
を よぅいってた(^◇^;) 濃い珈琲が好きでした
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敦賀屋バボ様 (yamato)
2011-06-26 23:25:18
こんばんわ、遅くなってすいません。試験ラッシュがようやく終わりました
お爺様が陸軍さんでしたか。海軍と違って大変だった事でしょう。うちの祖父は戦後食べたことの無い麦飯や芋飯が好きになれなかったそうです。ただいつも人が手をつけないおかずなどに「こんなおいしいものを」と箸をのばしておりました。
暑くなる季節ですのでお体や食べ物にお気をつけ下さい。近日再開を予定しておりますのでどうかよろしくお願いいたします
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