日本艦隊司令部

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逆転

2011-09-05 22:25:12 | 第二部 東洋激突編
 遅れてしまいすいません。只今試験期間中休み。お待たせいたしました。あと本日ゴミをくずかごに捨てようとしゃがんだ折に目測を誤って隣においてあった小さいロッカーに顔面を強打。右目少し腫れてます。

 などとイマイチ分からない生活をしている今日この頃です。
 さていよいよ第二部終盤。「天龍」の危機を救ったのは…



 突然の水柱は上空のバルキリーからでも確認できた。
「何だ!?一体どこから!?」
 輝がそう言った次の瞬間再び轟音と共に水柱が立ち上った。
「隊長!!南方に発射炎が見えます!!」
 僚機からの報告にその方向に機を向ける。たしかに海面に小さな黒い点と武器を発射した為と思しき黒煙が確認できた。
「なんて奴だ。ここまで30キロはあるぞ。」
 普通の軍艦ではないことが予想された。輝の鍛えられた目が何とか肉眼で捉えられるほどの小さなものである。

「司令!!どうやら味方の援軍のようですな。」
 敵からの通信の途絶えた艦橋にスプルーアンス参謀長の声が響いた。
「ええ、でもどうやってあのような攻撃を。ミサイルの類で無いのなら一体?」
 その問いに航海長の天野純大尉が答えた。
「司令、あれはおそらく砲撃です。」
 そう言う間に再び水柱が上がる。敵艦はこちらへの攻撃の手を止めている。
「砲撃?そんなバカな。」
 通信オペレーターのエマ・グレンジャー大尉がそう伝えてきたが天野大尉は自分の説に確信を持って述べた。
「一つだけ可能性があります。戦艦ですよ。統合軍には4隻の旧アメリカ海軍所属戦艦が統合戦争と星間戦争を生き残っています。現在北米支部にいる「ニュージャージー」イギリス支部にいる「アラバマ」航空戦艦に改造され現在オーストラリア支部で訓練艦になっている「ノースカロライナ」そして日本支部に所属する戦艦「ミズーリ」。」
 天野大尉がそう結論付けた時に通信が入った。
「司令!!別回線から通信が入電。友軍のものです。メインモニターに切り替えます。」
 メインモニターに映っていた敵は狼狽しているらしくすでに通信を切っていた。砂嵐が少しずつ鮮明になってゆき一人の男性が映し出された。
『「天龍」、こちらは新地球統合海軍日本支部第20艦隊、現在貴艦南方32キロ地点に駆逐艦1隻と共に展開中。』 
 その報告を送る男性を確認して未沙は驚いた。
「正木さん!!正木俊介大佐ですね!!」
 それを聞いて正木と呼ばれた男は微笑んだ。
『お嬢さん、お久しぶりですな。お元気そうで何より。ゆっくりお話しする前にまずあの敵潜水艦から片付けるとしましょう。』
「しかし、敵には追尾式ミサイルが通用しません。」
 未沙が心配げに伝えたが相手は笑って返してきた。
「心配ご無用。本艦の主兵装は大砲です。先ほどからの敵への攻撃はそれです。次こそは命中させます。この戦艦「ミズーリ」自慢の40センチ砲の威力をとくとご覧あれ。」
 再び遠雷のような音が海上に響いた。すると今度は青い海に五本の水柱と敵艦上に火の手が上がった。

「おのれ!!あのような骨董品に!!」
 「グナイゼナウ」のブリッジでヘルディ・マイヤーはそう毒づいた。先ほどまで「天龍」に対して優位に立ち勝利を確信していたというのにたった一隻の戦艦に不意打ちを喰らったのだ。
「司令!!だめです。このままでは敵の命中精度は上がるばかりです。」
 一人の士官がそう告げた。戦艦などの砲撃は撃てば撃つほどその情報は艦内のコンピューターで計算されその精度を増すのだ。
「ここは誘導ミサイルで反撃を…」
「いかん!!それでは「天龍」の護衛艦の集中打を浴びる!!ここは一時撤退だ!!急速潜航!!」
 一旦退いて体制をたて直すべきと判断したヘルディは潜航を命じた。こうしている間に再び砲撃が命中。致命傷には至っていないが大きく艦が揺れて誰もが必死に持ち場から振り落とされまいとしていた。
「急速潜航開始!!」
 航海士からの報告に全員が安堵した。

 海面下約300メーターでその艦は息を殺して潜んでいた。今まさに頭上で激しい戦闘が行われている。
「敵艦、潜航を開始した模様です。」
 ソナーマンの妹鳴海愛から報告を受けた潜水艦「センチュリオン」艦長鳴海恵介少佐が命令を下す。
「よしっ!!敵との距離は?」
 今度はその双子の姉鳴海優が答えた。
「距離約4500メーター!!なおも潜航中!!」
「ようし!!通常魚雷装填、前部発射管4本使用。注水。」
 すぐさま魚雷室長の剛田中尉から完了との報告が届いた。
「通信長、僚艦に攻撃暗号発信。」
「了解、宛て「エクセリオン」「スカイダイバー2号」、攻撃暗号“2027”発信します。」
 「エクセリオン」から僚艦二隻へと暗号が飛んだ。敵潜に一気に三隻三方向から魚雷を発射する手はずになっている。
「艦長!!暗号入電!!内容「2027X」」
 発射準備完了の暗号だ。発信後30秒が発射の手はずになっている。
「20秒前、10秒前、5病前、4,3,2,1、発射!!」
 魚雷が発射される低い音を全員が聴いた。ほぼ同時に「センチュリオン」から等間隔に離れて三方向から取り囲むように海底に配置された「エクセリオン」「スカイダイバー2号」からも魚雷が発射された。「センチュリオン」の姉妹艦「エクセリオン」は同じく前部発射管から四本、「スカイダイバー2号」からは艦底部前方発射管から六本発射された。

「魚雷前方海底より接近!!」
 その報告を受けたヘルディは青ざめた。まさか敵潜がこちらを狙っているとは予想外であった。先ほど敵の潜水艦とやや南方で遭遇したがその敵を撃沈したと思い込んでいたために油断したのだ。ちなみにそれは「センチュリオン」であったのだが
同艦は急速潜航装置と加速リニア、試作品の偽装爆破機雷によって沈没を偽装していたのだ。それに先ほどからの海上からの砲撃や爆撃で全員の注意が上に向いていた。
「急速廻頭!!取り舵いっぱい!!」
 回避命令を出したがそれは意味を成さなかった。
「両舷後方からも接近中です!!回避不能!!」
 間もなく「グナイゼナウ」の艦全体がすさまじい爆裂音と激震に包まれた。

「こちらソナー室!!敵巨大潜水艦に魚雷命中!!大破した模様!!」
 艦橋に上がってきた報告に誰もが笑みを見せた。
『見事成功しました。』
 メインスクリーンの映像に映る正木大佐も微笑んでいた。
「正木大佐、これが狙いだったのですね。」
 未沙が問いかけた。
『その通り。数時間前に味方潜水艦が敵巨大潜水艦と遭遇しましてね。もしもに備えて味方潜水艦を付近の海底に待機させていました。うまく敵がこちらの網に引っかかった形になりました。』
その発言にスプルーアンス参謀長が言葉を繋いだ。
「敵を包囲する形で味方潜水艦を配置、海上から砲撃を行い潜航に追い込む、そこをすかさず魚雷で狙い撃ち。いや、完璧な構想ですね。」
 しかし正木大佐は意外な答えを出した。
『いや、実はこの戦法は旧日本海軍でも使用されたのだ。』
 それを聴いた天野大尉が興奮した様子で声を出した。
「もしや、小沢提督のマレー沖海戦ですか!?」
『ほう、君よく分かったな。しかし今はまだ戦闘中だ。諸君らとはまた後ほど話をしよう。』
 その一言に全員が再び敵艦の沈んだ海面に視線を走らせた。また、バルキリー隊もその上空をガウォーク形態で敵の浮上に備えて隊形を組んでいる。

 次回に続く。
「天龍」の危機を救ったのは「ミズーリ」でした。「沈黙の戦艦」などで知られるアメリカ海軍の戦艦です。なぜ星間戦争を生き残ったのかは後々明かします。次回は敵潜水戦艦の最後と誠二たちの第2中隊にAチームの活躍を描く予定です。
 不規則な更新でいつもすいません。季節の変わり目ですのでみなさまお体や気候にお気をつけくださいませ。こちらは台風はあまり酷くありませんでした。

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