長岡市の中央図書館で開かれた映画会で、ドキュメンタリー映画「カレーライスを一から作る」を見てきました。
探検家・関野吉晴氏は、武蔵野美術大学で一風変わった課外ゼミ活動をしています。通称「関野ゼミ」。関野ゼミが2015年に始めたのが、「カレーライスを一から作ってみる」という試み。野菜や米、肉、スパイスなどの材料をすべて一から育てるというこの途方もない計画に、学生たちと取り組みました。この映画は、野菜の種植えからカレーライスが出来上がるまでの9か月間の記録です。
「カレーライスを一から作る」。関野氏の狙いは、「モノの原点がどうなっているかを探していくと社会が見えてくる。学生たちにはカレー作りを通して色々なことに“気づいて”もらいたい」ということです。
集まった学生たちは、知らないことや慣れないことばかりの現実に悪戦苦闘しながらも、野菜や米、家畜を一から育てていきます。思っていたよりも生育が遅い野菜を見て「化学肥料を使ってもいいのではないか」「いや、使うべきではない」と意見が分かれたり、一所懸命育てるうちに鶏に愛着がわいてしまい、「殺すのを止めよう」「いや最初から食べるために飼ったのだから屠るべきだ」と議論が巻き起こったり…。
これは「命を食べて生きる」という、人間にとってごく当たり前で、基本的な営みを見つめ直すドキュメンタリー映画です。
この映画、面白かったです。それはエンターテイメントとしての面白さとは違いますが、学生たちが悩みながら、でも意外なほどに淡々と決断をし実行していくドキュメンタリーとしての面白さに満ち、見ているボクも追体験しながらいろいろ考えさせられました。特に可愛がって育てた烏骨鶏の首を学生たちが捻るシーンには、息を呑みました。
こういう映画。大スクリーンではなく小さな講堂やコミュニティセンターで上映されるのが似合う映画も、なかなかいいですね。中央図書館の映画会に初めて参加してみたのですが、無料で映画を見れるのも気に入りました。これからも機会があったら参加したいと思います。