2014年7月29日(火) 晴れ
清岳荘→下二股→旧道コース→上二股→胸突八丁→馬ノ背→斜里岳→胸突八丁→上二股→新道コース→下二股→清岳荘
斜里岳の登山口に近い場所ということで、清里町の宿(緑清荘)へ泊まった。羅臼岳の登山口から約60~70km離れた場所だった。羅臼岳ではあの悪天候の為、靴の中までビショビショになってしまい、乾燥室へ干したがあまり効果もなく、チェックアウト直前にドライヤーで靴の中を乾燥させようと試みた。しかし、それも無駄な抵抗だったようで、相変わらず靴の中は濡れたまま履くはめになってしまう。ここの宿の食事はとても美味しく食べられた。そして、お風呂も源泉かけ流しのモール温泉だったらしく、赤茶けた色のヌルっとしたお湯である。但し、源泉温度が高いので加水して温度調整しているという。そして、部屋もツインを一人で広く利用させてもらった。天気は朝から快晴、やや冷たく感じた朝だった。斜里岳の登山口である清岳荘へは車で約10分ほど砂利道を走る。駐車場は広く既に15台前後の車があったように思える。やはりこの季節、本州のナンバーが多かった。早速、身支度を済ませ、登山口へ向う。登山届は入山日、氏名、連絡先、人数、出発時間、を記入する記帳形式で、下山の時は下山時間を記入するようになっていた。斜里岳は知床半島と阿寒の山々を結ぶ脊稜山系の主峰で富士山に似た独立峰に近い山容をしているという。山名は斜里川の源流にあることからと、アイヌ語では「オンネ・ヌプリー、大きい山、老いた山」だとガイドブックに書いてあった。
<クルマユリ>
登山口からしばらくは林道を歩き、沢へ下りる。そこからは細い沢筋を縫うように詰めて行く。登りは沢登り気分で、下山は斜里岳の雄姿を眺めながら周回するコースとした。これが最もポピュラーなコースらしく、昨日、雨で増水した沢が渡れず断念してしまったので、また今日も登るという方達がいた。毎日が夏休みの方達らしい。
<小さな滝が次々に出てくる>
<ミソガワソウ>
<タカネトウウチソウ>
<沢沿いの旧道コース>
沢は勢い良く流れている。ペンキの矢印を探しながら何度も渡渉しなければならない。足場は滑りそうな感じだが、それほど滑るものでもなかった。場所によってはロープがあり、スリップしそうな所も何か所かある。問題は浮石と渡渉するポイントだ。大股を広げて飛び越えるところもあれば、ナメのところもあり、暑い夏の山歩きには何とも清々しい気分で楽しめた。
<チシマノキンバイソウ>
<ミヤマダイコンソウ>
<チングルマ>
<胸突八丁を越えて>
上二股を過ぎれば沢も涸れはじめる。そして、日差しが強くなり、木陰も薄くなって、花が目立つようになってきた。胸突八丁あたりになると下山者とすれ違うよになり、賑やかな山のイメージが印象づけられた。景色が幾分覗けるようになれば、馬ノ背に踊り出て、吹き抜ける風の恩恵が受けられる。
<奥に山頂が見えてくる>
ここから左の急な尾根を登り上げ、右端に見える、一部はげた山が山頂らしい。声は聞こえないが、登山者が数人立っているのが分かった。背後にも踏み跡はあるが、眺めた限りでは途中で消滅しているように思えた。とにかく、沢の清涼感と灼熱の山道の落差が大きく、風がなければバテバテだ。
<ヨツバシオガマ>
<チシマフウロ>
<祠のある手前のピークから>
<チシマギキョウ>
<斜里岳>
ハイマツ帯を抜け、ガレ場を越えると祠の建つ山頂手前のピークになる。そこからひと登りで山頂だ。裾野から見上げる荒々しさはなく、穏やかなポッコリとした山頂だった。見下ろせば平野部の畑の刈取り模様が眺められた。麦畑やジャガイモ畑がパッチワークのような模様を描いている。それに今日は風も緩やかで、穏やかな山頂だ。そして、周囲を見渡せば山々が見えて、畑が見えて、どこをどう見れば、どう眺めればいいのか。なかなか焦点が定まらない。はじめて眺める風景は落ち着くまでに多少時間がかかり、独立峰ならではの大展望をゆっくり味わった。ここで腰を下ろしておにぎりを食べはじめる。から揚げ、お新香、大きなおにぎり二つ、それにお茶とお手拭きが付いていた。全部、しっかり食べて、のんびりコーヒーを飲んで下山開始する。
<真ん中の尾根は新道コース>
<南斜里岳>
<エゾカンゾウ>
<エゾヒメクワガタ>
<チシマフウロ>
<トリカブトの仲間、エゾレイジンソウ>
<斜里岳を眺め>
<新道コース>
上二股からは新道コースの尾根を歩くが、沢を下山に使う場合、転落、滑落の危険がありそうだ。やはり景色を眺めながらの稜線歩きは格別なものに感じられる。午後になってギラギラしているが、お腹は満たされ、心地よい。尾根は心持アップダウンを繰り返し、水分補給をしながら先を急ぐ。
<熊見峠から斜里岳を>
眺めは熊見峠のここが最後だ。この先はハイマツからダケカンバ林となり、徐々に高度を下げてゆく。しかし、尾根から外れるとジグを切りながらも、凄い急降下がはじまる。いやになるほど長く、更に足元が悪い。一汗も二汗もかいて、沢の音が聞こえてくれば、やっと下二股に到着する。沢で汗を拭い、清岳荘のある登山口へ無事戻った。斜里岳は沢と尾根をひとめぐりしてきたかたちだが、暑いながらも晴れていて良かった。そして、明日は雌阿寒岳となるので、約120~130kmは移動しなければならない。週一の山歩きならば疲れも回復するが、連日ともなればビールを飲んで早く寝ることが一番だ。さぁ、次の温泉でゆっくり浸かって、冷たいビールを飲もう。そうすれば、元気が出るかもしれない。
摩周湖
雌阿寒温泉へ移動中、摩周湖へ立ち寄ってみた。知名度の高い摩周湖であるが、これほど青々とした湖は展望台から見ていて飽きない。湖面に浮かぶ唯一の島はカムイシュ島という名前が付いているらしい。カムイシュとはアイヌ語で「神となった老婆」を意味するようだ。その奥には摩周岳があり、第一展望台から約2時間30分で登ることができるという。その山頂からの眺めは、眼下に摩周湖、目もくらむ摩周岳の火口底、阿寒の山並から根釧原野、大雪、知床の峰々と、雄大な景観がそこにあるという。
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