劇団夢桟敷 ☆2018.6〜山南ノート5

熊本アングラ万華鏡〜演劇とプライベートの徒然

週刊月曜日 第48号 水俣計画③

2023-07-07 10:16:10 | 2023年
劇団夢桟敷「週刊月曜日」
〈第48号 2023.7.7発行〉
https://yumesajiki.jimdofree.com/

MINAMATA PROJECT 2023
PROLOGUE
劇団夢桟敷「水俣」へ序走3
〜第47号「プラス1」のつづき
〈地獄めぐり〉の独白か?〈極楽浄土の夢〉を追うか?
「アングラ劇」葛藤と演劇の力を信じてススメ。

夢現ひとり芝居プラス1の「イチ」が誰か、映像、幻想ダンス、町の声であったり、水俣病闘争のシンボルである黒い旗「怨」(石牟礼道子さんデザイン)との鬼ごっことして重なる。
ひとりでありながら背後には演劇の集団力が出る。ひとり芝居は「イチ」ではない。
イメージの「構築と解体」は実際に稽古を繰り返す内に何人もの「イチ」として身体に表れることになるだろう。
相変わらず謎めく「イチ」。秘密の謎。
わかりにくいと言われる。それに惹かれるお客さんもいるがインテリではない。不思議好きなのだろう。
詭弁か?プロパガンダか?と
個人的によく言われる私こと山南(くち軽い)だが、作出演の夢現こと坂本真里は私ほど軽薄ではない。くち重い彼女は我武者羅に水俣病の歴史を学習している。プラス1について脚本や役者として近く語るだろう。知識人としてではないところが女優である。元文学少女だった。

どう思われようが立場をはっきりさせなければ恐ろしい美辞麗句で公害を垂れ流した側に取り込まれる予感あり。垂れ流す側は巨大な資本を盾にしている。
権威を高めるための作品論、それの評価としての芸術文化論にカネと人気で閉じ込められることもあるだろう。
水俣病と言われる公害の原点を論理で解釈しきれない世界観がある。反公害の論理や医学的解明の論理を否定するつもりは毛頭ない。被害者患者さんを認定する基準が誰かに都合よく曖昧にされている論理のこと。
おエライ人たちの学問知識や行政用語と無知識や言葉量弱さの被害者患者さんたちの顔を思い浮かべると感情の強さに真実を見る。演劇はここに過敏となり、感情を蔑むことはできない。
実際に苦しまれている人々がいる。その人たちの内部に入り込めるか?人工知能(情報力量)では表現しきれない感情を爆発するか?
「イチ」の謎は公演されるまで揺れ動く。…水俣に「希望」を見つけ出すための現実解釈と想像力のせめぎ合いがある。希望という名の水俣を信じる。
水俣病という「負」と美しい山、川、海の水俣の景色に佇む人々がいる。
芝居は作品としてそれのみでは成立しない。
今回のように「水俣病」を取り上げると、社会に対して今も尚「告発」の意味がある。あらゆる分野であらゆる表現で、研究も知識も〈矛盾・理不尽・不条理〉の原点は社会(企業と政府や行政の被害者対応)そのものにあり、個人の意識の中に「安全神話」という無関心も根強くある。「私には関係ないよ」と思われている不幸。民主主義の個人主義・利己主義、富を巡る分断と対立の構造が表れる。今の日本では政治レベルで露骨に独裁共産主義に対して資本主義が賛美されるようになってしまった。水俣病の根本には豊かさ「国益」や資本主義の「負の力」が襲いかかったにも関わらず、既成の独裁も資本化しているのも現実。

「安全神話」は何度も崩壊した。にもかかわらず「富国」のために「危険」を隠し新たな「安全」を持ち出す。日本の神話はご都合主義だった。
これは都合の悪いことはなかったことにしようとする歴史的繰り返し権力の成せる業か。

劇団夢桟敷11月公演が終わるまで「週刊月曜日」はMINAMATA関連シリーズとして繋げます。


【熊本公演協力】
井上弘久独演会
 9月16日(土)
「椿の海の記〜第二章 岩どんの提燈」石牟礼道子
熊本市国際交流会館5F和室大広間
◎◎
【劇団夢桟敷公演告知】
第49回 熊本演劇フェスティバル参加
 夢現ひとり芝居+1
 11月17日(金)・18日(土)
「苦海からの呼び声」夢現(作 出演)
 Movie「不知火幻視行」短編
熊本市国際交流会館5F和室大広間
(予約開始は9月より)