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「松竹vs阪急!熾烈な戦いは広告にまで及んだ…らしい」 95へえ!

2006年10月02日 | レヴューのトリビア


「松竹vs阪急!熾烈な戦いは広告にまで及んだ…らしい」
 95へえ!

「朝日新聞縮刷版 昭和9年1月ほか」より

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 今回、東京宝塚劇場の広告をはじめて目にしたとき、図書館で笑い崩れそうになっちゃったよ!いやもう・・・あまりにも「宝塚らしい」広告で!(笑)

 まずは昭和9年1月11日の広告から。
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 東京の新名所!東京宝塚劇場!!
一、「今日は三越」「明日は帝劇」の時代は二十年の昔の夢となった。
一、昭和九年の新春、大東京市の進歩は「昼は明治神宮外苑へ、夜は東京宝塚劇場へ」と変化した。
一、そは何故に?
一、大衆芸術として生れたる「宝塚の少女歌劇」が国民劇の一つの見本として日比谷に進出したからである。
一、■において九千万人・全国民のコーラスは「昼は外苑、夜は東宝」へと
一、日一日と!日一日と!!日一日と!!!
(※すいません、■は読めませんー!玄がふたつ並んだ漢字です)

 宝塚少女歌劇月組 声楽・ダンス・日本舞踊専科 百五十名出演
 舞踊「宝三番■」一幕(またも読めない・・・説明もできない漢字出現)
 歌劇「紅梅殿」二幕
 大レヴュウ「花詩集」十八場

 開演迄のお待合せには気持ちのいい休憩室、図書室、喫茶室、大食堂、売店等をご利用下さい。

 切符は前売と、当日売と分けてありますからいつでもよい席がございます。

 大衆芸術の陣営・家庭共楽の殿堂
 日比谷 東京宝塚劇場


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 なんかもう・・・これ見た瞬間、「あっ・・・(納得)」って感じでした。わたしのなかで、いろいろ府に落ちましたよー。

 タカラヅカの自画自賛体質はココから来てるんだ!!みたいなね。

 要はアレだよねー。興行界に殴りこみをかけたといっても、阪急には「ソフト」がなかったんだね、タカラヅカ以外。その宝塚少女歌劇だって、東京には東京松竹少女歌劇が大人気であるワケだから、「田舎の少女歌劇」ってイメージだったろうし。

 人気役者も、歌舞伎のような人気ソフトもない!
 ここは死にもの狂いで唯一のソフト(宝塚少女歌劇)と、ハード(劇場)の魅力を訴える、イメージ戦略でいくしかなかったんじゃないですかねえ、きっと。

 昭和4、5年からいくつか、新聞みてきましたけど、劇場広告っていうのはだいたい決まりきっているんです。演目のタイトル、役者、上演劇場をデカデカと書いて、ちょっとしたイラストや顔写真がついていればイイほう。まぁ、なんつーか「広告」「宣伝」というよりは、「上演予告」に近いんですね。いま、ウチではこんなんやってますよ!という告知ね。

 東宝のこの広告は画期的ですよ。フツーのデパートのセール広告と、(イメージ戦略名所扱いという意味で)六本木ヒルズの広告ぐらい、差がありますよ。

 ソフトありきじゃなくて、ハードありき(劇場を東京の新名所!と言い切る。芝居を見に、というより、劇場にくること自体がステイタスである、とゆー主張)の発想も、当時としては新しかったんじゃないですか。まぁー、ソフトがないゆえの苦肉の策だったんでしょうけどね。

 あと、当日と前売を分ける・・・。当日分をかならず確保っていうコレ、ムラでも去年から始まったけど(当日B券制度)、東京だけずーっとやってたのは、この頃からの名残だったんだね。

 しかし花詩集、150人出演て多いよね・・・。こんなに生徒の出る演目、いまないよね・・・。

 さて、翌12日にも広告登場。これは「大入り満員御礼やらお詫びやら」です。
 15日には「つぼみ白粉」とのタイアップ広告。スターの写真もついとるな。(誰なのかは書いてない)
 20日にも広告アリ。「東都に起ったこの好評!!」・・・また宝塚にありがちな大げさ自画自賛広告(笑)
 25日も出してるね。広告攻撃だ!
 
 東宝の広告、ハッキリ言ってどれもめちゃくちゃ面白い(大ウケ!)んで、また機会があったら紹介します。

 さて、それを受けた松竹は??
 もちろん、対抗(していると思われる)広告を打ちました。
 それまでのような無口な予告広告ではなく、東宝に対抗すべく(?)、魅力を雄弁、饒舌に語った熱い広告を!(笑)

 1月28日です。
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 東京劇場の昼・夜
 二月二日初日と変更

 安かろう悪かろうは昔の芝居
 安かろう善かろうは今の芝居

 大衆的でしかも芸術的な演劇を不言実行
 東京劇場の二月興行

 (※ここから作者は、装置は、値段は、として詳細に内容解説です。狂言かなんか。略)

 芸術の鑑賞に就ては値段で競争できません。しかもこの破格値段で流石松竹だとお褒め戴く自信がある、これだけの芝居を提供致しましたことは誇らずにいられない気持であります

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 老舗の誇りのかかった、熱い広告じゃございませんか(笑)

 ちなみに、お値段を比較しますと、
 松竹(東京劇場)・・・六十銭・一円三十銭・三円
 東京宝塚劇場・・・五十銭・一円・一円五十銭・二円
 と書いてあります。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
無幾庵さまへ♪ (なまいきむすめK)
2006-10-04 22:00:04
 こんばんわー!



>またこいつかぁ、と思われたかもしれませんが



 とんでもないです。いつもありがとうございます。漢字もわざわざお父様にお聞きいただきましたようで・・・お父様にも大変ありがとうございます!



>「ここ」と読みます。



 ココ!?(うーん、ぜんぜん字体から思い浮かばない読みですね!)

「ここにおいて」ですか!なるほど・・・。



>旧字体の場合、草冠は真ん中にすき間があるので



 ああー・・・これも知りませんでした。



>二つ目の■は「宝三番叟」と書いてあったのではありませんか?



 ご名答でございます!それです、その漢字なんです。

 そうでしたか。「さんばんそう」じゃなくて「さんばそう」なんですね。東宝のこけらおとしだから、おめでたい演目を持ってきたということなのですね!



 教えてくださって本当にありがとうございます。

 これからもゼヒご指導、よろしくお願いしますっ!(←他力本願ですいません・・・汗)

 
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追加 (無幾庵)
2006-10-03 22:36:25
三番叟は「さんばそう」と読みます。
返信する
Unknown (無幾庵)
2006-10-03 22:35:03
なまいき娘さん、こんばんは

(またこいつかぁ、と思われたかもしれませんが)

不明漢字について。



まず、一つ目の■ですが、「茲」という字でしょう。

草冠に、糸という字の上の部分が二つ並んだものです。

「ここ」と読みます。

「この場所」という意味の「ここ」です。

従って、本文は「ここにおいて、九千万人・全国民のコーラスは~」となります。

旧字体の場合、草冠は真ん中にすき間があるので(横一本棒が途切れている)、玄が二つ並んだように見えたのではないかと思います。



二つ目の■は「宝三番叟」と書いてあったのではありませんか?

三番叟というのは、能を起源とする舞踊の一種です。

○○三番叟と名づけられた踊りが種々あります。

宝三番叟というのは、宝塚の三番叟と言う意味かと思われます。

元来、三番叟はおめでたい踊りなので、宝には2重の意味がかけられているのかもしれません。



ところで、以上の知識は、私のものではありません。(特にひとつめ。三番叟のほうは、かろうじて私にも見当がつきました)

戦前のことは、戦前生まれの人に聞けとばかりに、父に尋ねてみたところ、見事、疑問が氷解。

なお、父も、なまいき娘さんのトリビアネタを読んでおもしろがっておりました。



これからも楽しいお話をよろしくお願いいたします。
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