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※この本の装丁は、日本レビュー衣装界の第一人者「真野誠二」さんによるものだそうです。
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日劇レビュー史、すごい資料です。年度ごとに上演作品がずらーーーーっと並び、作品ごとに概要(公演評のついてるものとないものがある)と、年度ごとの総括が書かれます。
これを順に読んでいくと、レビューが斜陽になっていき、
お客さんが減る→予算がない→レビューにお金をかけられない→作品いまいち→ファン離れが加速
の悪循環が徐々にスピードを上げていく様子が、手に取るように感じられて胸が痛いですよ。
劇団への世間の関心が薄くなると、NDTを受験する人数がすごいイキオイで減っていって、さらに予算もないからたーいへん!
で、昭和48年「日劇秋のおどり」にはラインダンスが無かった・・・!
思い出してくださいよ!NDTといえば昭和11年の昔にNDT創設者の秦豊吉さんがラインダンスをしごきまくって売り物とし、日本レビュー界におけるラインダンスの地位向上にひと役かったというアノ伝説が・・・!
そのNDTが、ラインダンスのないレビューを上演!!
こ、これはいただけませんっ。ファンじゃなくても怒りますよ。わたしも本読んだだけで怒りました。由々しき事態っ!
いちおー「駝鳥のラインダンス」っていうのが申し訳程度にあったんだけど、駝鳥のぬいぐるみをつけた男性8人がおどけて踊っただけだったそうな。
要するに・・・人がいないのです!
男女混淆レビューだから、女性はもともと劇団員の半分ぐらい。女性ダンサーをズラリと並べてラインダンスするだけの「(女性ダンサーの)人手」が足りなかったということのようです。なるほど女性が足りないとは・・・男女混淆レビューの落とし穴でしたな。
NDTに人材が来なくなった背景には、NDTとレビューの斜陽ぶりのほかに、TVタレントのほうが圧倒的にカンタンで稼げる!という時代の流れもある、とこの本に書いてありました。
レビュー団に入っても、最初は給料安いし、下積みがあるし訓練きびしいし、昭和48年にもなると、「容姿端麗でスポットライトに憧れる女の子たち」には他に多くの誘惑というか、選択肢があったということなんですねえ。
日劇がラインダンスのない「おどり」を迎えた翌年の昭和49年、宝塚歌劇ではかの「ベルばら」が初演となります。ベルばらを契機に、タカラヅカはレビューの呪縛から抜け出して、歌劇・ミュージカルの劇団として新たな地位を築いてゆくんですね。こうして較べてみると、タカラヅカの幸運っぷりには改めて目を瞠る思ひですよ。
★へえボタン★
ほんとは今日から「タアキイ」シリーズと「浅草」シリーズを書く予定だったのに、日劇本が衝撃的すぎて、衝動的にこっちを先書いてしまった。。。
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