八柏龍紀の「歴史と哲学」茶論~歴史は思考する!  

歴史や哲学、世の中のささやかな風景をすくい上げ、暖かい眼差しで眺める。そんなトポス(場)の「茶論」でありたい。

☆☆「日本〝近代・現代〟のプロフィール」【第1部】【第2部】のアーカイブ配信のお知らせ☆☆

2022-01-31 15:15:07 | 〝哲学〟茶論
 歴史講座を開講して、もう12年ほど経ちますが、
コロナ禍ということもあり、2021年から、はじめてzoomとアーカイブ(映像ファイル送付)で講座を展開することにしました。
 スタジオといった洒落たものは無いわけで、いつも、わたしの書棚が並ぶ書斎らしきものから放映しているのですが、それでも、これまでなかなか東京に来られない方には、このzoomとアーカイブでの講座の発信は、やってよかったかな、とこのごろ思ったりしています。
 わたし自身もdeepな〝あきた〟の生まれで、大学は東京で過ごしたものの、高校教師も〝あきた〟で、といっても県内の最北部である鹿角市だとか能代市でしてましたから、知識というか知性への飢えといったものはけっこう身に染みて感じていました。
 失礼ながら、田舎には知的欲求を満たしてくれる本屋さんがあるわけではなく、観劇にしろ、演奏会にしろ、絵画展にしろ、〝あきた〟などにはそうそうやってこない。
 来るとすれば、プロレス興行か歌謡ショー!

 いつか生徒指導の役得で、「山口百恵ショー」を鹿角市で、「小泉今日子ショー」を秋田市で青少年指導を兼ねて(?)、聞くことができましたが、小泉今日子の場合は、県民会館というそれなりの施設で、照明もバッチリ。かなりショーアップされたコンサートでしたが、山口百恵の場合は、たしか会場が地元中学校の体育館で、それしかなかったからでしょうが、舞台にはそれなりの飾り付けではありましたが、体育館の床に座って、しかも子どもは走り回るし、うるさいし、この当時テレビの歌謡番組ににもよく出たりして、かなり人気が上がっていた山口百恵には、ほんとに気の毒なくらいのショーでした。
 それでもショーマンシップというか、彼女はまったく動ぜず、しっかりステージをこなしてました。
 そんな状態ですから、それでも〝あきた〟には、地元に詩人や思想家がいないわけでもなく、そうした人びととじかに話ができたわけで、それはそれでよかったのですけど、もっと哲学的なことを考えたいとか、高踏な文学に触れたいとなると、なにせ情報も少なく、東京が恋しかった思い出があります。

 それがコロナ禍で、一挙にzoomばやりになり、それを活用し、いろいろ質疑応答も討議もできる。見逃してもアーカイブで視聴できる。
 それは、画期的なもののように思います。

 というわけで、ちょうど今やっている「日本〝近代・現代〟のプロフィール」【第1部】(〝御一新〟から〝米騒動〟の全5講)と【第2部】(関東大震災から対英米戦争)もアーカイブ版でご視聴できます。
 また【第2部】は、次回2月6日(日)に第3講となるわけですが、これは第3講からはzoom(レジュメはあらかじめPDFでメール送信いたします)でも参加できますし、またまとめて後日アーカイブ版(同じくレジュメはPDFでメールで送付いたします)でご視聴できる体制を整えました。
 詳しくは、下記にあるように
[NPO新人会講座担当npo.shinjinkai1989@gmail.com]
にお問い合わせいただければ、参加の詳細や講座料の振込方法などをご連絡いたします。

 zoomについては、おそらく学校や職場ですでにご経験なさっているかと思いますが、アーカイブとは、これまでの講座の映像を講座レジュメとともにメールで送信し、それにIDおよびパスワードをいれてご視聴いただくものです。
 ご視聴期間や講座の配信間隔などについては、いちおう2022年2月から4月としていますが、ご希望に添うかたちで対応できます。

 そんなわけで、少々宣伝じみて恥ずかしいのですが、
もしお時間がありましたら、ご検討ください。
 みなさまのご受講、ご参加をお待ち申しております。よろしくお願いいたします。なお、以下、詳細です。

 2022年☆NPO新人会・宏究学舎☆
 「近現代史」講座のお知らせ!
War/Terrorism and The Ordenay Poeple
◇期間:2022年2月~4月まで、
ご自由な時間で受講できます!
**第1部全5講からでも、現在進行中の第2部からでもご自由に受講可能!
**「zoom」ライブ受講もアーカイブ(講座映像ファイル送付)受講も可能です!*
【第1部】受講希望の方には、【第1部】の講座の映像ファイルとレジュメを一週間の間隔でお送りします。【第2部】から受講希望の方には、第3講からzoomでのライブ配信(午前11時から約60~80分)が可能ですが、これも全講座の映像・レジュメを下記日程に沿って送付いたします。
*詳しくは、下記のNPO新人会講座担当か八柏までメールでおたずね ください! 講座のご説明と受講方法、zoomとアーカイブ便のご 利用方法や講座料振込方法などご連絡いたします。
◇受講料:各講座とも6000円<一講5回・講座時間60~80分>
◇講師:八柏龍紀
・・【第1部:講座内容】・・・・・・・・・・
・第1講:戊辰戦争の真実
 ~人びとは〝御一新〟を望んでいたのか?~
・第2講:征韓論と西南戦争の真実
 ~西郷隆盛は何と戦ったのか?~
・第3講:日清戦争の真実
 ~朝鮮戦争、台湾征服戦争であった現実!~
・第4講:日露戦争の真実
 ~歪な「一等国」は民衆の犠牲から~
・第5講:外での戦争、内なる戦争
 ~第一次世界大戦と米騒動の挟撃~
・・【第2部:講座内容と日程】・・・・・・・・
    cf)なお【第3部】は4月から開講!
・第1講:「関東大震災」と民衆のテロリズム
 ~吉野作造は何を見たのか?
・第2講:『柳条湖事件』と「満洲事変」
 ~〝軍刀と謀略〟の現場を歩く!
◆zoomライブ受講は第3講から可能!
・第3講(2月6日):「5・15事件」「2・26事件」の暗黒
 ~〝鬱屈した情念〟の奔流!
・第4講(2月20日):「日中戦争」と〝南京虐殺〟
 ~〝殺す〟論理と〝殺される〟心理
・第5講(3月6日):「対米戦争」と〝玉砕〟の構図
 ~いま、〝死の意味〟とは何か?☆
**お問い合わせ・お申し込み**
E-mail:npo.shinjinkai1989@gmail.com

 

 
 




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆2022年〝新年の手紙〟~「わたし」は何者なのかの問い~・・・2022年度の講座開設について☆

2022-01-02 10:16:24 | 〝哲学〟茶論
 1月16日を初講とする「日本〝近代・現代〟のプロフィール」【第2部】は、関東大震災の際起こった朝鮮人や中国人、それに日本人に加えられた虐殺をテーマにしています。

<関東大震災:自警団による不法虐殺:1923年>
 
 〝虐殺〟といっても、その実態がよく理解できない方もいらっしゃるかと思いますが、当時の日本には少なくとも1万人以上の朝鮮人が、いまで言う「3K」仕事などのため、あるいは朝鮮飴などを売って、零細な生活をしていました。
 かれらの多くは、日本により植民地化されたことで、小作として働いていた土地を奪われたり、あるいは生活苦に追われ、一種の出稼ぎ難民として日本にやってきた人びとでありました。
 もちろん中には留学生も若干いましたが、ほとんどがおとなしい下層労働者であり、かれらはまともに言葉も通じない日本で、互いに身を寄せ合うようにして生活していました。
 そんな彼らが、井戸に毒を撒いたとか、暴動を起こし横浜から東京に攻めてくるなんてことは、常識から考えてありえないことでしたし、生方敏郎の著した篤実な記録である『明治大正見聞史』(中公文庫)などには、当時日本にいる朝鮮人へのごく当たり前の見方が示され、また貧しかったけど慎ましやかな朝鮮人のくらしについても、多くの証言が残されています。そんな資料を読むと、どうも朝鮮人が暴動を起こしたというデマについては、はじめ多くの人びとは、半信半疑だったようです。
 しかし、その情報は戒厳令下で軍隊によって広まり、警察によって確実なものと喧伝され、各処で自警団なる暴力集団が形成されていくなかで力を増していきます。
 一方、日本にいた中国人も、留学生など日本の文物を学ぶべきとして来日してきた人たちで、日本社会を破壊するなどの企てをするなどは、まったく考えられないことでした。しかし、王希天事件のように理不尽な殺人が大手を振って行われます。
 そして地震の被害が明らかになるとともに、パニックの穴ぼこに吸い込まれた人びとは、軍部や警察の指嗾に手もなく同調し、軍部の殺戮を真似、自警団などは朝鮮人だけでなく、〝異端〟としたものへ日本人を守るとして、激しい暴力を加え、いともたやすく殺人を繰り返していきます。
 ふだんは地味でおとなしい床屋の亭主が、木刀を振りかざして、殺せ!殺せ!と喚き散らしてみたり、町内の世話好きな女房が、包丁振りかざして、リンチされ息も絶え絶えの朝鮮人の身体に切りつけたり、そうした話しは枚挙に暇がありません。
 でも、一場の狂騒が過ぎると、大騒ぎした床屋の亭主や世話好きだった女房は、みんなでやった、オレが悪いんじゃねぇ、わたしだけが手をかけたんじゃない。朝鮮人や中国人の命が絶たれたことを、気の毒だと他人事のように言い散らして、あとはほおかぶりして自己を省みることはありませんでした。
 詩人の金子光晴は、ここに「日本人」の地金が出てきた、周囲の流れに迎合し、傲慢で横柄で、口笛を吹いてうそぶくような、「日本人」の地金が出てきたと述べています。(『絶望の精神史』講談社文芸文庫)

 それから100年近くたって、いまの「日本人」のありようはどうか。コロナ禍の現在の様子から見て、どうもあまり変わっていないように思えたりします。もしかして、もっと深刻なのかもしれません。
 数年前、高校の教師をしたとき、いまどきの若い男子に、どんな人物に憧れるかと聞いたことがありますが、そのとき出てきたのは、ホリエモンとかマエサワといった巨万の富を得た、いわばIT系か通販の経営者であったり、ひきこもりのメタモルフォーゼ的な「ユーチューバー」といった答えが多かったように思います。
 「なぜ?」と聞くと、流行っているしカッコいいし、実行力がスゴい。お金がスゴい。つまるところ、〝流行(はやり)〟と〝富裕〟ということ。その先はなにもない。彼らは宇宙旅行もできるんだし、バズってスゴいというわけです。
 そんな憧れをあつめる彼ら、そして憧れる彼らに、いつも疑問なのは、自己実現を遂げることしか頭にないことへのためらいのなさです。底抜けな愚かさに疑問がない。
 ユーチューバーなる存在はまずおくとして、彼ら成功者は達者な口で、人びとに夢を与えるなど、後づけめいた理屈を吐きますが、しかし、彼らには、雲のように膨らむ他者への決定的な無関心と侮蔑がどうしても透けて見えてくる。それは自己愛の醜悪なコンプレックスのようでもあります。
 そもそも、宇宙旅行などは大気圏を破り、オゾン層をさらに破壊し、地球環境にとって害毒しかないもの。巨万の富を得た金持ちが、旅行気分でどんどん宇宙などに飛び立つと、地球はいまの火星のように砂漠とゴロタ石しか残らない、砂嵐の吹き荒れる星になる。
 ただし、そんなことは知らないし、根拠を示せと得意の口で攻撃し、怪しげなデータを出してきて、世界中を飛んでいるジェット機より、環境破壊はしていないとうそぶく。
*宇宙旅行の問題については、フランスの宇宙物理学者のロラン・ルゥクの緻密な分析やコロラド大学の大気学者ダリン・トゥーイーが警鐘をならしている。

 いずれにせよ、まずは「個人」が問われている。そのことが大切だと思います。これまで、戦争についてもテロについても、すべてが「国家」なり「為政者」「政府」といった組織やシステムへ、人びとはその理由を求めてきました。それはたしかに一つの真実ではあったでしょう。
 しかし、よく考えると、そうした「外化」されたものを人びとは批判し、思想の組み立ての基点としていましたが、それによって人びとは、むしろ自らの逃げ道を秘かに用意して、自身を問うことから逃げ回っていたのではないか。そこに他者への無関心や差別、「思想転向」が頻繁に繰り返されるブラックホールがあったのではないか。
 「国家」も「政府」も「社会」も「為政者」も、暴政なり差別なり、格差なりを作りだしているのは、それぞれに属している〝個人〟ではないのか。
 いまをリカバーするために必要なのは、「わたし」とは何者なのかの問いではないか。そうしたものに哲学の光をあてていく。

 今回の【第2部】は、関東大震災におけるひとびとの〝罪責〟を見据えて、そのうえで侵略戦争にほかならなかった日中戦争で日本兵士および日本人が何をしたのか。なぜ、対英米戦末期に〝特攻〟なる思想を生んだのか。そこまでを五回にわけてお話しします。
 〝国民〟といい、〝市民〟といい、〝庶民〟といった、ひとりひとりの「わたし」について問いながら、時代の状況のなかで、人びとは何をしたのか、どうあるべきだったのかを論考していきたいと思います。

 ところで、1月16日午前11時に第一講のお話しをはじめます。
そこでお願いなのですが、レジュメ等の送付やzoomなどの手配もあり、お申し込みは、1月12日までに、以下の新人会のアドレスまで、お願いします。

     記
*NPO新人会・宏究学舎*
 2022年「近代・現代史」講座
 ◆現代日本を問う!◆
 
日本〝近代・現代〟のプロフィール!
 〝戦争とテロ、そして国民〟(第2部)
  War/Terrorism 
           and The Ordinary People
◇期間:<第2部・全5講>
  2022年1月16日~3月6日
◇日時:毎回日曜日<午前11時~12時>
*全講zoom(質疑応答可)orGIGAファイル便(アーカイブ受講)で受講可能です。
◇受講料:全講受講6000円<5回分>
*学生3000円、1講毎受講は1講1500円
◇附記:各講毎、事前にPDFでレジュメを送付。それに沿って講座は展開されます。

【日程とテーマ】
・第1講(1月16日)
 「関東大震災」と民衆のテロリズム
  ~吉野作造は何を見たのか?
・第2講(1月23日)
 『柳条湖事件』と「満洲事変」
  ~〝軍刀と謀略〟の現場を歩く!
・第3講(2月6日)
 「5・15事件」「2・26事件」の暗黒
  ~〝鬱屈した情念〟の奔流!
・第4講(2月20日)
 「日中戦争」と〝南京虐殺〟
  ~〝殺す〟論理と〝殺される〟心理
・第5講(3月6日)
 「対米戦争」と〝玉砕〟の構図
  ~いま、〝死の意味〟とは何か?

*お問い合わせ・お申し込み
 E-mail:npo.shinjinkai1989@gmail.comまで*
 お申し込みは、1月12日までにメールいただければ、
 講座受講の手順と講座料の振込等について、
 講座担当者から、すぐに連絡させていただきます。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする