八柏龍紀の「歴史と哲学」茶論~歴史は思考する!  

歴史や哲学、世の中のささやかな風景をすくい上げ、暖かい眼差しで眺める。そんなトポス(場)の「茶論」でありたい。

カストロの言葉とトランプの悪罵

2016-11-27 11:59:17 | いまどきの問題について!

 キューバの永遠の革命家カストロが九十歳、
ある意味、日本風に言うと大往生をとげました。
 カストロの言葉は、スペイン語のよく出来る人
から
聞いた話だと、とても機知に富み言い回しも
じつに周到な言葉で、まるで音楽を聴くように
魅力的であるそうです。

 それに対して、さっそく例のどうしようもない
一方通行可能な「ツイッター」で、次期アメリカ
大統領となるトランプは、「残忍な独裁者」が亡くなった。キューバは「全体主義の島のままだ」などと悪罵を投げつけています。

下品で下卑た言葉しか、どうもこの人は持っていないのでしょうね。

 こうした発言の背景には、なにか子どものとき、怖いものを見て、そのまま成長した感がありますが、
いずれにせよ、トランプの言葉には、
「昭和のオヤジ」という喩えはよくないのかも知れませんが、イメージ的には傍若無人なオヤジどもの煙草の脂で歯が汚れ、
そこからニヤニヤと吐き出される差別・愚弄の汚い言葉の再来を感じさせるものがあります。

 マッチョといえば、なんとなく片付けられそうなのですが、
そんなもんじゃない、人としてもっとも醜い憎悪やコンプレックスが、
のぞいている感じがして、いやで仕方がありません。

 「希望」とは向日的な動きを内在させています。
 「明日」という言葉も、時間に投企する明るさを内在させています。
 カストロの言葉は、つねにそうした向日性や明るさ、そして人びとへの激励に満ちた言葉であったと思います。
 対比はしませんが、そうした言葉に対して、いまの世界は、あまりにも劣化した言葉が幅をきかせています。
 いつかわたしたちが落ち着いて、いまの時代を振り返るなら、この時代をけっしていい時代であったとはいわないような気がします。
 日本というアジアの島嶼国家の現実も、変に浮かれて、無関心と根拠のない自慢にあふれた状況にあります。
 もっとも国家権力がいくら嘘を重ねても、人びとはそれを咎めない。
まさに「希望」を失った国のようです。

 そうしたなかトランプの悪罵の言葉は、人びとの内部に浸潤し、
いつしか、そうした言葉しかもてない、傍若無人な時代に席巻される
のでしょうか。
 「昭和のオヤジ」たちといえば、東大、慶應、千葉大医学部など、
最近、エリート大学の学生によるレイプ事件が、後を絶たない。

 カストロの死を哀悼するとともに、わたしはせめて美しい内実に
富んだ「言葉」を大事に育ててみたいと思うばかりです。 


  


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おかしいでしょ?〝有識者ってなに?〟

2016-11-24 12:45:40 | いまどきの問題について!

 つらつら思うこと!
「有識者会議」への疑問。 

 今上天皇の「退位」のご意向について、
有識者会議なるものから出てくる話は、
「勝手に公務を増やして、それで生前
退位したい」というのは、これまでの
天皇のあり方と違うという話しです。

 そして、そうした言説に、少なくない程度の
人びとが誘導されている状況が、感じられ
ます。 

 この場合、この有識者という人びとは、
どの程度まで、これまでの「天皇(ミカド)」
のありようを知っているというのでしょうか。

 「天皇(ミカド)」は、一時期、後鳥羽や
後醍醐の時代はあったものの、ほとんどは、
戦乱を「ケガレ」として、その災厄の除去を
はかってきたのだし、天変地異や災厄に
対しても、〝慰霊〟と〝鎮魂〟をその大いなる
「務め」として、できる限りの行いをしてきたと
いうことができるのです。

 有識者会議の一部の人びとは、ほとんどが
「近代天皇制」という特殊な時代の桎梏に
とらわれているのとともに、
あたかも徳川幕府やかつての軍部のように、
「天皇(ミカド)」個人への尊敬を欠いている
ように見えます。 

北朝の天皇を除くという歪んだ事実も含めて、
いま百二十五代といわれている「天皇(ミカド)」の
過ぎ来し方のありように、眼を開かれ、
そのうえで、今上天皇の「公務」の意味を、
考えなくてはならないと思います。

おかしいでしょ?「有識者会議」 


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