「吾れ死なば 焼くな埋めるな野に晒(さら)せ 痩せたる犬の腹肥やせ」この壮絶ともいえる和歌は、誰れあろう、あの小野小町(平安前期9世紀頃)の作だという。「・・・遺体は野ざらしにして、腹をすかせた野良犬にでも食べさせてくれ」というのだ。小野小町といえば「花の色は移りにけりな・・・」と容色の衰えを嘆くだけの、ただの薄命美人と決め付けていたのが、実は熱情ほとばしる女流歌人だった、と驚くのは作家の内館牧子さん。クレオパトラと楊貴妃と並ぶが、気っ風がよくて力強い、これが秋田美人の元祖、小野小町の本当の姿だ、と内館さんは断ずるのです。先週と今日、私は東北新幹線に続けて乗りました。車内誌をめくっていて、2度とも衝撃受けたのが内館さんのこの文章。「あゝ私は思い残すことなく人生を生き切ったわ、どうせなら遺体もしっかり役立ててよ」。古代の女性の強さが聞こえてくるような。(「トランベール誌」4月号)
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