碧緑香華

中国語、武侠小説、ドラマの話などなどにたまに日常の話を織り交ぜて

陸小鳳伝奇四 (銀鈎賭坊 を)

2007-03-26 17:50:16 | 古龍

『世界が死んだように静まりかえった。』

  陸小鳳は突然、俗世から墓の中に転がり落ちたようだった。

  『何事が起こったんだ?』

  「冷姑娘、冷姑娘」

  彼は堪えきれずに叫んだ、ところが返事は返って来ない、部屋の中には、たくさんの人が居るはずなのに、まさか全員の口が縫い付けられたのではあるまい?

  陸小鳳は、ついに目隠しをしている布を取り払った、そしてすぐに全身が凍りついたように硬直する感じを覚えた。

  部屋の中には人っ子一人、居ない無人であった。

  つい先ほどまで、ここに居たと思われる人たちはいったい何処へ行ってしまったのだろう?

  この一瞬の時間に、人々がすっかり立ち去る事はありえない。

  この不可能な出来事はどの様にして、起こったのだろう?

  部屋の中は、決して広くは無く、一つの寝台と一つのテーブルが有り、テーブルの上には酒と料理が並べられている。しかし、その料理と酒には手をつけられた様子が無い。

  陸小鳳は、この部屋の中で突然起きたまったく不思議な出来事に、ついに耐えられなくなって身震いをした。

  事実、誰が見てもこの部屋の中には、つい先ほどまでも、まったく人など居なく、一人の人さえも存在しなかったようにしか見えない。

  しかし、陸小鳳はつい先ほどまで、明らかに多くの人たちの声を聞いたのだ。

  彼自身、自分の目で見たことを信じ、己の耳を疑った。しかし、彼の耳はとても鋭く、病気などではない。

  『何がなんだか解からない?』

  人気の無い部屋で、様々な音がするはずも無く、音がする事は更にありえない出来事だ。

  このありえない出来事が起こってしまい、しかも陸小鳳、自信があいにく出遭ってしまったのだ。

  『まさか、化け物屋敷とでも言うのだろうか?』

  神様は彼の出遭った不思議な出来事が、まだ足らないとでも思ったのか、彼を本物の幽霊に出会わせたのです。

  陸小鳳は突然笑った。

  彼は、この不思議な出来事を、考えても解からないので、そんなことより先に外へ出る方法を考える事にした。

  彼は出られない。この部屋には最初から窓が無く、四方をなんと分厚い鉄板の門で囲まれている。  

  陸小鳳は、再び笑った。

                                         つづく

陸小鳳、最大のピンチなのでしょうか?笑ってる場合じゃないぞ!


陸小鳳伝奇四 (銀鈎賭坊)る

2007-03-20 17:06:45 | 古龍

「陸小鳳はにわかに・・・・・・・」

  花満楼を思い出した。彼は、花満楼は、この様な過酷な身の上であるが、いささかも不満が無いばかりでなく、あらゆる世の中の人に対して慈しみ、思いやりを持ち広く敬愛する事ができる、陸小鳳は、彼こそ嘘偽り無く偉大な奴だと思った。

  これをやり遂げるのは容易ではない。

  陸小鳳はため息をついた、彼はまだ目隠しをしたままで、一時が過ぎた、我慢する方法が無いか考えた。

  馬車は、ちょうど一つの夜市にさしかかった様だ、そして、一筋の水の流れにもさしかかった、彼には人の声、水の流れる音が聞こえた。

  今、馬車は止まり、冷若霜は彼の手を引いて、柔らかな声で言った「ユックリ歩いて、絶対にあなたをガッカリさせない所だから」

  彼女の手は、細く滑らかで柔らかかった。

  今、彼らは下に向かって歩き、風の中で蝉の鳴き声がして、明らかに広々とした野原の近くの様である。

  その後、陸小鳳は門を叩く音と、扉が開く音を聞いた。

  入っていくとあたかも廊下のようで、廊下は余り長くは無く、突き当たりの場所から、サイコロが碗の中で落ちる音、お金のぶつかり合う音、男や女の笑い声がかすかに聞こえてきた。

  「着いたわ!」冷若霜が言った。

  陸小鳳は口調を緩めて「ありがたい!」と言った。

  前方から、また門を叩く音が聞こえ、門の開く音、門が開くと、中から色々な音が更にはっきりと聞こえてきた。

  冷若霜は彼の手を引き中へ入って行き、ささやいた「あなたは先に此処に立っていて、私は此処の主を探してくるわ!」

彼女はそっと手を離し、すぐに酔っ払いの匂いがする方へと彼から離れ去った、突然、「パン!」という音がして、誰かが門を閉めた、部屋の中の人の声、笑い声、サイコロの音、意外にも突然に奇跡のように消えてしまった。

  世界が死んだように静まりかえった。

し~~~~ん!??し~~~ん!

さて、目隠しをされ置いてきぼりを食わされた陸小鳳之行く末は・・・・・・

次回をお楽しみに♪ 原稿がそこを着きそうだ( ̄_ ̄|||) あせあせ 妄想訳を急ごう!!


陸小鳳伝奇四 (銀鈎賭坊)ぬ

2007-03-15 22:54:04 | 古龍

「男達は、誰もが自惚れの病気を幾つか持っているのではないか?」

  冷若霜は「あなたは、此処はまだ銀鈎賭坊だと知っているでしょう?」

  陸小鳳は、知りもしないし更には聞いたことさえも無かった。

  「あなたは、よそ者だったわ当然、知るよしも無い!」

  陸小鳳は「その場所は秘密なのか?」

  冷若霜の目が揺れ動きながら、彼をチラリと一目見て突然聞いた

「今日の夜、あなたは他に用事が有るのかしら?」

  答えは当然「無いさ!」うっふ!用事が有っても、無いって言うさ♪あんたと一緒に居られるんだったら!

  冷若霜は「あなたは、私がそこへ連れてい行くとしたら、見たいと思うのかしら?」

  「思う!」

  「しかし、私はそこの主人と絶対に見ず知らずの人を連れて行かないと約束した。もしも、本当に行きたいと思うのなら、どうしても承知して貰わなければならない一つの条件がある」と冷若霜は言った。

  「その条件を、言ってくれ!」

  「私は、あなたに目隠しをするわ、しかも絶対に盗み見るような事はしないと約束してちようだい!」

  陸小鳳は、もともと行きたいと思っていたが、今は更に行きたいと思うようになった。またまた、悪い病気が・・・・・・・

  彼は本来とても好奇心が強く、正にこの様な神秘的で刺激的な冒険が何より好きだ。

  だから、考えなどしなくてもすぐさま答えた「承知した!」

  彼は彼女が身につけている蝉の羽のごとく薄い絹の服を見つめて、ほほ笑みながら「私の目隠しをする布は、もう少し厚い布を使わないと、私は透かして見ることが出来てしまうぞ」またまた、何処を見つめているんでしょう(⌒┐⌒)

  どんなに暗くても?

  毎日、毎晩、年がら年中、尽きる事の無い暗闇の中にいると言う事はどの様な気持ちなんだろう?

  陸小鳳はにわかに・・・・・・・

★★★ つづく ★★★

はてさて、目隠しをされて何処へ連れて行かれるのでしょう?

小さな、突っ込みを入れてみました、邪魔かもしれませんが妄想訳をしていて、思わず私の中から突っ込みたくなる衝動が・・・・これも病気でしょうか?

どうぞ、お見限り無くお付き合い下さいませ~


陸小鳳伝奇四 (銀鈎賭坊)り

2007-03-11 14:17:44 | 古龍

?稍等! 

『先に口を開いたのは当然、陸小鳳であった』

  「私は蠅ではない、南京虫でもない、姓は陸、陸小鳳と申す」

  氷山は笑った、今回は本当に笑った「私の姓は冷、冷若霜と申します」

  陸小鳳も笑った、彼はこの名前が本当にこの人にふさわしいと思った。

  「今の四人の男をあんたは知っているのかい?」

  冷若霜は、口を開いたが顔を赤くしてうつむいた。

  陸小鳳は男が女を時に訳もなく虐める事などありえない、再び訊ねる事はしなかった。

  まして、この様に人を魅了する女において、自分自身も訳も無く沢山の男が思いを寄せる事だろう。

  「意地悪!」

  馬車の走りは決して心地よくなかった、しかし、中はとても心地よい座り心地で、まるで揺り篭の中に居るようだ。

  冷若霜の良い香りは、あたかも蘭の花のようだ、またあたかも金木犀の花の様でもあり、上品でその上うっとりとさせた。

  三昼夜を走り続けても、陸小鳳は少しも長く嫌だ思わない。

  冷若霜は「私の家は永楽巷、左側の一番近い部屋」

  陸小鳳は「永楽巷ってどこだ?」

  冷若霜「私達、ついさっき通り過ぎてきたの」

  陸小鳳「しかし、あなた・・・・・・・」

  冷若霜「私は馬車を停めてといわなかった、なぜなら今晩は家に帰りたくないの」

  陸小鳳は突然、自分の心臓がドキドキするのを感じた、それは何時もより二、三倍速く脈打っていると感じた。

  もしも彼女が可愛い女の子らしく、あなたの側に寄り添い「今晩は家に帰りたくない」とあなたに告げたらあなたの心臓が、陸小鳳よりも絶対にドキドキする事を私は保証しよう。男の人に限らず、素敵な彼に言い寄られたら『ドキドキ』するよね~ウッフ、たとえば『黄日華』とか『黄暁明』とか・・・・妄想の世界にまっしぐら(ff^0^)ポリポリ

  冷若霜は「今晩の私はずっ~と負け続け、気分転換と運気を変えることを思っていたのよ」

  陸小鳳の心は、冷静になった。ずっと以前に彼は自分自身にくれぐれも自惚れないと警告をしていたのだ、しかし、何時もこの自惚れ病は改まった事が無い。

  男達とは、誰もが自惚れの病気を幾つか持っているではないか?

はてさて・・・・本日は此処まで!

自惚れ病を発症してしまった陸小鳳の行く末はいかに・・・・・つづく・・・・・