フランス文化が色濃く残るカナダのケベックを訪ねた。
友達がいたおかげもあり、地域密着型の旅を楽しめた。
<旅行期間>
2002年7月5日~7月22日(18日間)
<訪れたところ>
モントリオール、ケベックシティ
日程
01日目 ジョスランと再会
02日目 エリコさんの笑顔
03日目 ケベックの穴場スポット
04日目 7月のいちご狩り
05日目 プティ・テオドール
06日目 回転レストラン
07日目 モンモランシーの滝
08日目 シャンタルへの電話
09日目 週末の別荘
10日目 おじいさんの誕生日
11日目 テリヤキ・サーモンの味
12日目 ケベックの「プティン」
13日目 カナディアン・レストラン
14日目 ケベックの図書館
15日目 フィラクテール・コーラ
16日目 ベトナム系ケベコワ
17-18日目 デトロイト空港
●【1日目】ジョスランと再会
旅の準備はいつものように20分くらいで完了。
ノースウエスト航空で、東京-デトロイト経由-モントリオール(ドルヴァル空港)の便で行く。機内では肩のこらない文庫本を1冊読んであとはひたすら寝た。
機内食は朝・夕食の2回。夕食は、バーバキュービーフのポテト&ビーンズ添え、サラダ、のり巻き、鶏の照り焼き2切れ、フリッタ2切れ、パン、バター、ワインの小瓶1本、フルーツ、コーヒー。日本時間の夜10時ごろパイナップルアイスクリームが出る。朝食はヤキソバとフルーツとクロワッサン、ミネラルウォーター、オレンジジュース。
デトロイト空港では、インド系もアジア系もビッグサイズな人が目につく。ここはノースウエスト航空のベースエアポートになっていて、今年2002年2月に改装したばかりで真新しかった。
予定より30分ほど遅れてモントリオール空港に到着。
空港を出ると、ジョスランが迎えに来てくれていた。彼とはひょんなことで知り合い、ここ2年ほど映画という共通の話題でよくメールのやり取りをしている。久々の再会を喜び合う。といっても、メールで近況も知らせ合っているので時間差は感じなかったが。すでに夜だったので、ホテルに直行し荷物を預けてから近くの中華街にあるベトナムレストランで、フォー(さっぱりしたベトナムラーメン)とゴイクン(生春巻き)を食べる。
●【2日目】エリコさんの笑顔
朝食はホテルのビュッフェでパン数種とハム、パテ、フルーツ、コーヒーなど。ウェイトレスのアジア系の女の子が感じが良い。
その後、絵描きのエリコさん宅に遊びに行く。彼女は東京の人だが、今はモントリオールのプラトーというフランス系カナダ人が多く住む界隈にケベック人(ケベコワ)のジルと暮らしている。2年ぶりくらいだったが、興味深い話を次々にしてくれるところや、ゆったりした雰囲気など全く変わっていなかった。エリコさん&ジルと別れて、ベトナムデリでまたゴイクンとコーラを買い、モン・ロワイヤル公園のふもとで遅いお昼を食べる。ここはその名の通り小高い山になっていて、頂上まで歩いて上り、ようやく美しいモントリオールの街が一望できるところにたどり着く。行きは結構距離があったので結構キツかったが、帰りは別の道を通ってすぐに中心街に下りることができた。
地下鉄でホテルまで車を取りに行き、一路ケベックシティへ。
車で2時間半と聞いていたが、時速60キロではなく時速100キロで2時間半ということだったのでちょっと驚く。しかも途中信号がないのでかなり正確に2時間半で行ける。途中はほとんどめぼしいものはなにもなく、草原や畑が広がる中に会社の大きな倉庫や工場などが点在している。
ケベックシティに着き、旧市街を車で軽く回ってからジョスの家に行く。レストランに行く時間もなかったので、夕食は彼の家にあったトウフのソーセージ(!)とアメリカンネイティブが飲むというお茶。トウフのソーセージは衝撃的な(?)味だった。
●【3日目】ケベックの穴場スポット
近所のちょっとオシャレなカフェでブランチ。サーモンののったマフィンにフライドポテト、サラダ、フルーツの串に刺したものが一皿に色良くまとめてある。しぼりたてのオレンジジュースもおいしかった。
今日は車で30分くらいのキャニオン(峡谷)を訪れる。ものすごい量の水がごう音とともに険しい山あいを流れ落ちていく。「水の中にはもちろん魚もいます」と案内板で読んだが、いくら魚でもこんなところをこの勢いで落ちていたらケガするんじゃないか、どうでもいいけど。それほど人も多くなく、大自然満喫!吊り橋は、以前実家近くの神社で吊り橋が落ちた事故があったことを思い出し、本気でこわかった。
帰りにサンタンヌ・ボープレという大きな教会に立ち寄る。中は、ステンドグラスやろうそくの灯が美しかったが、中が薄暗いためにグッと眠りを誘われ、2回ほどイスに腰掛けて寝る。まだ時差ぼけなんである。
夜、外で食事をしようと出かけるが、途中ジョスの友人3~4人に出会って、その度に立ち話。なんかやっぱり時間がゆっくりしている。斜面が急激なために「首折り坂」(ラ・リュー・カス・クー)というちょっと物騒な名前がついた坂近くにあるレストランで、ポルト(甘い赤ワイン)、グリーンサラダ、ほうれんそうとドライトマトのリングイチーネを頼んだ。そのあとジョスが街のいろんな場所を歩きながら案内してくれた。こちらの夏の朝は5時近くから夜が明けていて、夜は9時半ころまで明るい。
●【4日目】7月のいちご狩り
今日はジョスは仕事。お昼すぎにスタジオから車で迎えに来てくれ、途中グルメデリのようなお店に寄り、サーモンのにぎりやのり巻きの入ったおスシのパック(なかなかいける)を買ってスタジオに行く。
ここでちょっとジョスの仕事について…
彼は、以前ゲーム会社で3Dクリエイターとして仕事をしていたが、そこを辞めて今は10年来の友達8人で「フィラクテール・コーラ」というTVコメディ番組を作っている。もともと漫画家志望のアニメ・コミックファンのグループだったが、コミックの世界を自分達で創りたいという思いはビデオ制作に移り、現在、彼らの番組はテレケベックで放映されている。企画・撮影・編集まですべてを自分達で行い、町外れにある倉庫を改装してスタジオにしている、パワーのある人たちだ。
「(倉庫の改装は)大変だったけど、いろいろ勉強になったよ」とメンバーのマルタンは笑った。
多くの人が幼い頃の夢を忘れたり捨ててしまう中、彼らは、モントリオールのような大都会ではなく、生まれ育ったこの小さな街(州都ケベックシティは人口は60万人)で撮ることにこだわり続け、やっと夢を実現させたのだ。
「食べていけないからと親には反対されたけど、ラッキーなことに実際にやったみたらできたんだ。好きなことをやって生活できてるんだよ。漫画家になる夢はコミック番組を作りたいっていう思いに変わったけど、それはマイナーチェンジにすぎなかったし、あきらめなくてよかったよ」とジョスは言う。
おスシを食べたあと、ケベックシティを流れるサンローラン川の中洲にあるオルレアン島で撮影を見学。
撮影が終わってから、ジョスの友達のセバスチャン、オデット、さとみさん、デイビッドと、オルレアン島にあるチョコレート&アイスクリーム店で、ダブルチョコレート&グレープフルーツアイスを食べる。テラスにこしかけ、しばらくおしゃべりしたあと、いちご狩りをし、夕食はセバスチャン&オデット宅で大きなソーセージ数種類にザワークラウト、デザートは当然いちごでしめた。
セバスチャンも相当の日本アニメファンで、今は著作権関連に強い弁護士を目指して勉強中とのこと。日本の国立大学に留学していたこともあり、なんというか、そのアニメオタクぶりが堂に入っている、面白い人である。いろんな雑誌やビデオを見せてもらった。オデットとはおしどり夫婦ならぬおしどりカップルらしい。さとみさんはカナダ留学中で、今夏休みなのでデイビッドとカナダ・アメリカを旅している途中、大学時代からの友達である彼らの住むケベックシティに訪れているということだった。
夜10時すぎ、メトロというスーパーで朝食を仕入れて帰宅。
●【5日目】プティ・テオドール
朝ゆっくり起きるので、1日2食になっている。今日もお昼近くに起きてカフェオレ、パン、はちみつ、メープルシロップ、ピーナツバター、りんごやベリー系のジャム4種でブランチをとったあと、川べりをサイクリング。
途中、市場にも寄る。野菜のほか、はちみつやシードル、ソーセージなどおいしそうなものがたくさん並んでいた。
アンティーク通りを散策。
ジェラート屋で買ったマスカルポーネアイスを舐めつつ、今、街のあちこちで開催されているサマーフェスティバルのライブ(アフリカのジャンベバンド)をしばらく眺める。
楽しいお店がいろいろあるサンジャン通りを歩いていると、フィラクテール・コーラのメンバーのひとり、エドゥアールに会い、ウチはすぐそこだからと夕食に招待される。彼は奥さんのジュリー、息子のテオ(テオドール)と暮らしていて、ジュリーは2人目のベビーを妊娠中。もうすぐ3才になるテオは恥ずかしがり屋で、わたしが「おいで」というと、笑顔でトコトコ走って逃げていく、とてもかわいい子だった。
ジュリーがお腹が大きいので、夕食のシーフードカレーピラフを作ってくれたのはエドゥアールだった。デザートはフルーツチーズケーキ。彼の部屋にもたくさんのアニメやコミックのフィギュアが整然と飾ってあった。
気軽に夕食によべる友達が近くに住んでいるということは、とてもいいことだと思う。 そのあと、近所のシネマコンプレックスで日本では確か横浜映画祭で上映されたものの劇場では未公開の『アステリクスとオベリクス』(フランス製作)を観に行ったが、登場人物の早口と込み入ったギャグが理解できず、半分ほど寝る。フランスのモノや情報が大量に来るのでいわゆる標準フランス語はもちろん通じるが、ケベコワたちはふだんはフランス語が独特になまったケベック語を話す。いろんなフランス語があるものだなと、南仏でもニューカレドニアでも感じたが、ここもそうだ。日本語に方言がたくさんあるのと同じか。
●【6日目】回転レストラン
一日ゆっくり過ごし、夜は散歩のあと1時間ちょっとで一回りしてケベックシティを一望できる回転レストラン「アストラル」に行く。ビュッフェスタイルのメニューを選び、20種類近くの料理を皿に少しずつ取って食べたが、どれもおいしかった。
●【7日目】モンモランシーの滝
自転車で1時間のモンモランシーの滝に出かけた。落差83m、ナイアガラの滝より30mも高いらしい。天気も良く、サイクリングはとても楽しく、野の花々が咲きはちみつの匂いのする草原にどこまでも長く伸びているサイクリングロードを走った。ゴエランという白い鳥や、黒くて小さいカルージュという鳥が気持ちよさそうに飛んでいる。
夜は、フランス語を学ぶためケベックシティに7か月滞在しているゆうこさんとその友達あきさん、ジョス、わたしの4人でベトナムレストラン「パイーユ」で夕食。スープ入りベトナムラーメンを頼んだつもりだったが、すごい量の焼きソバが出てきたのでメニューを見直したところ、ちゃんと「焼き」と書いてあるではないか。ちょっとガッカリしたが、そのソバもおいしかった。デザートはタピオカ。この街のアジア料理レストランは、アルコール持ち込み制になっているところが結構あるらしい。ジョスが近くのSAQというアルコール専売店で赤ワインを買ってきてくれた。
彼女たちに誘われて、サンジャン通りのアレクサンドルというパブで23:00に始まるオキナワン・ライブに出かける。これもケベックサマーフェスティバルの演し物のひとつだったが、なんと、演奏するミュージシャンは、偶然にもジョスもわたしも持っているお気に入りの沖縄音楽CD「The Rough Guide to the Okinawa」に曲を収めている平安隆(ひらやすたかし)だった。こんなアメリカ大陸の北部で沖縄のライブが聴けるなんて思ってもいなかったので大いに盛り上がった。ゆうこさんの友達で、仕事や結婚でここに住んでいるみゆきさんやよしみさんたちも来ていたので、この街での暮らしについてのいろんな話を聞く。楽しい夜だった。
●【8日目】シャンタルへの電話
予想以上に早く過ぎた1週間だった。
ブランチはリンゴ入りオートミール。
今日は、ハルというオタワ近くの街に住むシャンタルという友達に久しぶりに電話してみた。彼女は近くのスクールで日本語を勉強していて、2回ほど来日したことがある、おだやかで優しい女性だ。共通の話題も多いのでずっとメールのやりとりをしている。1時間くらいおしゃべりしてお互いの近況を知らせ合った。
そのあと、城壁に囲まれた旧市街を散歩。旧市街に行くには坂道をちょっと上らなければいけないが、歩くのがイヤな人は無料のエレベーターや、ひと乗り1.9カナダドルのバスが利用できる。
サマーフェスティバルは市内にいくつも会場があり、1日中、夜までいろんな演し物をやっていた。ファミリー会場では、大人の男性2人が「テーブルの上のユビュ王」と題して、ポッとやグラス、タワシなど台所回りの品々を人間の顔に見立てて子供向けの寸劇をやっていたのでしばらく眺める。
現金が必要だったので近くの両替所に入ると、出てきた受付女性が「ここは手数料が高いからここから銀行で替えた方がいいわよ」と、銀行までの地図を書いて渡してくれた。すごく親切だったのか、あるいは仕事する気がなかったのか…?
夜、ケベックで世代を超えて人気のプリュン・ラトラベルスというアーティストの野外ライブに行くが、着いたときは最後の曲を歌っていて、まともに聴いたのはアンコール曲だけだった。ライブもひけたころ、ジョスの友達4人と落ち合い、カルティエ通りのバーでワイン1本分くらいはラクに入りそうなグラスでサングリアを飲む。
●【9日目】週末の別荘
朝食はオリーブパンとチョコレートブリオッシュ(大きい!)、マフィン、チーズパンとカフェオレ。お昼すぎに、コンピュータ関係の仕事をしているマルタン、エドゥアールとジュリーを拾って、フィラクテールのメンバーのひとり、パトリックの両親の別荘に行く。途中、市場で大きなソーセージ(1本1カナダドル=80円くらいで安い!)を10種類と、GODETというチョコレート・リキュールを買った。
別荘はとても大きくて豪華なところだった。3階建てで屋根裏も割とスペースがある。フィラクテールのメンバーとその友達が全部で10数人集まったが、その分のベッドは、用意されていた。庭がサン・ローラン川に面していて、対岸の街レヴィも一望できる。庭には直径2.5mくらいの大きなジャグジー風呂がしつらえてあり、何人かはゆったり浸かってリラックスしていた。メンバーのイブが飼っているポロという犬と遊ぶ。
風が強くなったので、外で焼いた肉やソーセージ、それにザワークラウトやサラダは家の中で食べた。みんなでわいわいおしゃべりして、テレビもないのにとてもにぎやかである。夕食のあとは川辺でたき火。対岸の灯が美しかった。
●【10日目】おじいさんの誕生日
お昼近くに別荘から戻ると、今度はジョスのおじいさんの誕生日のお祝いのため、車で25分の彼の両親宅に出かける。家族の絆をとても大切にし、こういう気軽なファミリーパーティをやるケベコワは多いようだ。親戚の女の子たち、ヴァレリーやヴェロニクは、日本から来たわたしが珍しかったのか、日本について知りたいことをいろいろ聞いてきた。お昼はホットドッグを2本、夜はトマトソースのチーズがけパスタと赤ワイン。ゆっくりとしたひとときを過ごす。
友達がいたおかげもあり、地域密着型の旅を楽しめた。
<旅行期間>
2002年7月5日~7月22日(18日間)
<訪れたところ>
モントリオール、ケベックシティ
日程
01日目 ジョスランと再会
02日目 エリコさんの笑顔
03日目 ケベックの穴場スポット
04日目 7月のいちご狩り
05日目 プティ・テオドール
06日目 回転レストラン
07日目 モンモランシーの滝
08日目 シャンタルへの電話
09日目 週末の別荘
10日目 おじいさんの誕生日
11日目 テリヤキ・サーモンの味
12日目 ケベックの「プティン」
13日目 カナディアン・レストラン
14日目 ケベックの図書館
15日目 フィラクテール・コーラ
16日目 ベトナム系ケベコワ
17-18日目 デトロイト空港
●【1日目】ジョスランと再会
旅の準備はいつものように20分くらいで完了。
ノースウエスト航空で、東京-デトロイト経由-モントリオール(ドルヴァル空港)の便で行く。機内では肩のこらない文庫本を1冊読んであとはひたすら寝た。
機内食は朝・夕食の2回。夕食は、バーバキュービーフのポテト&ビーンズ添え、サラダ、のり巻き、鶏の照り焼き2切れ、フリッタ2切れ、パン、バター、ワインの小瓶1本、フルーツ、コーヒー。日本時間の夜10時ごろパイナップルアイスクリームが出る。朝食はヤキソバとフルーツとクロワッサン、ミネラルウォーター、オレンジジュース。
デトロイト空港では、インド系もアジア系もビッグサイズな人が目につく。ここはノースウエスト航空のベースエアポートになっていて、今年2002年2月に改装したばかりで真新しかった。
予定より30分ほど遅れてモントリオール空港に到着。
空港を出ると、ジョスランが迎えに来てくれていた。彼とはひょんなことで知り合い、ここ2年ほど映画という共通の話題でよくメールのやり取りをしている。久々の再会を喜び合う。といっても、メールで近況も知らせ合っているので時間差は感じなかったが。すでに夜だったので、ホテルに直行し荷物を預けてから近くの中華街にあるベトナムレストランで、フォー(さっぱりしたベトナムラーメン)とゴイクン(生春巻き)を食べる。
●【2日目】エリコさんの笑顔
朝食はホテルのビュッフェでパン数種とハム、パテ、フルーツ、コーヒーなど。ウェイトレスのアジア系の女の子が感じが良い。
その後、絵描きのエリコさん宅に遊びに行く。彼女は東京の人だが、今はモントリオールのプラトーというフランス系カナダ人が多く住む界隈にケベック人(ケベコワ)のジルと暮らしている。2年ぶりくらいだったが、興味深い話を次々にしてくれるところや、ゆったりした雰囲気など全く変わっていなかった。エリコさん&ジルと別れて、ベトナムデリでまたゴイクンとコーラを買い、モン・ロワイヤル公園のふもとで遅いお昼を食べる。ここはその名の通り小高い山になっていて、頂上まで歩いて上り、ようやく美しいモントリオールの街が一望できるところにたどり着く。行きは結構距離があったので結構キツかったが、帰りは別の道を通ってすぐに中心街に下りることができた。
地下鉄でホテルまで車を取りに行き、一路ケベックシティへ。
車で2時間半と聞いていたが、時速60キロではなく時速100キロで2時間半ということだったのでちょっと驚く。しかも途中信号がないのでかなり正確に2時間半で行ける。途中はほとんどめぼしいものはなにもなく、草原や畑が広がる中に会社の大きな倉庫や工場などが点在している。
ケベックシティに着き、旧市街を車で軽く回ってからジョスの家に行く。レストランに行く時間もなかったので、夕食は彼の家にあったトウフのソーセージ(!)とアメリカンネイティブが飲むというお茶。トウフのソーセージは衝撃的な(?)味だった。
●【3日目】ケベックの穴場スポット
近所のちょっとオシャレなカフェでブランチ。サーモンののったマフィンにフライドポテト、サラダ、フルーツの串に刺したものが一皿に色良くまとめてある。しぼりたてのオレンジジュースもおいしかった。
今日は車で30分くらいのキャニオン(峡谷)を訪れる。ものすごい量の水がごう音とともに険しい山あいを流れ落ちていく。「水の中にはもちろん魚もいます」と案内板で読んだが、いくら魚でもこんなところをこの勢いで落ちていたらケガするんじゃないか、どうでもいいけど。それほど人も多くなく、大自然満喫!吊り橋は、以前実家近くの神社で吊り橋が落ちた事故があったことを思い出し、本気でこわかった。
帰りにサンタンヌ・ボープレという大きな教会に立ち寄る。中は、ステンドグラスやろうそくの灯が美しかったが、中が薄暗いためにグッと眠りを誘われ、2回ほどイスに腰掛けて寝る。まだ時差ぼけなんである。
夜、外で食事をしようと出かけるが、途中ジョスの友人3~4人に出会って、その度に立ち話。なんかやっぱり時間がゆっくりしている。斜面が急激なために「首折り坂」(ラ・リュー・カス・クー)というちょっと物騒な名前がついた坂近くにあるレストランで、ポルト(甘い赤ワイン)、グリーンサラダ、ほうれんそうとドライトマトのリングイチーネを頼んだ。そのあとジョスが街のいろんな場所を歩きながら案内してくれた。こちらの夏の朝は5時近くから夜が明けていて、夜は9時半ころまで明るい。
●【4日目】7月のいちご狩り
今日はジョスは仕事。お昼すぎにスタジオから車で迎えに来てくれ、途中グルメデリのようなお店に寄り、サーモンのにぎりやのり巻きの入ったおスシのパック(なかなかいける)を買ってスタジオに行く。
ここでちょっとジョスの仕事について…
彼は、以前ゲーム会社で3Dクリエイターとして仕事をしていたが、そこを辞めて今は10年来の友達8人で「フィラクテール・コーラ」というTVコメディ番組を作っている。もともと漫画家志望のアニメ・コミックファンのグループだったが、コミックの世界を自分達で創りたいという思いはビデオ制作に移り、現在、彼らの番組はテレケベックで放映されている。企画・撮影・編集まですべてを自分達で行い、町外れにある倉庫を改装してスタジオにしている、パワーのある人たちだ。
「(倉庫の改装は)大変だったけど、いろいろ勉強になったよ」とメンバーのマルタンは笑った。
多くの人が幼い頃の夢を忘れたり捨ててしまう中、彼らは、モントリオールのような大都会ではなく、生まれ育ったこの小さな街(州都ケベックシティは人口は60万人)で撮ることにこだわり続け、やっと夢を実現させたのだ。
「食べていけないからと親には反対されたけど、ラッキーなことに実際にやったみたらできたんだ。好きなことをやって生活できてるんだよ。漫画家になる夢はコミック番組を作りたいっていう思いに変わったけど、それはマイナーチェンジにすぎなかったし、あきらめなくてよかったよ」とジョスは言う。
おスシを食べたあと、ケベックシティを流れるサンローラン川の中洲にあるオルレアン島で撮影を見学。
撮影が終わってから、ジョスの友達のセバスチャン、オデット、さとみさん、デイビッドと、オルレアン島にあるチョコレート&アイスクリーム店で、ダブルチョコレート&グレープフルーツアイスを食べる。テラスにこしかけ、しばらくおしゃべりしたあと、いちご狩りをし、夕食はセバスチャン&オデット宅で大きなソーセージ数種類にザワークラウト、デザートは当然いちごでしめた。
セバスチャンも相当の日本アニメファンで、今は著作権関連に強い弁護士を目指して勉強中とのこと。日本の国立大学に留学していたこともあり、なんというか、そのアニメオタクぶりが堂に入っている、面白い人である。いろんな雑誌やビデオを見せてもらった。オデットとはおしどり夫婦ならぬおしどりカップルらしい。さとみさんはカナダ留学中で、今夏休みなのでデイビッドとカナダ・アメリカを旅している途中、大学時代からの友達である彼らの住むケベックシティに訪れているということだった。
夜10時すぎ、メトロというスーパーで朝食を仕入れて帰宅。
●【5日目】プティ・テオドール
朝ゆっくり起きるので、1日2食になっている。今日もお昼近くに起きてカフェオレ、パン、はちみつ、メープルシロップ、ピーナツバター、りんごやベリー系のジャム4種でブランチをとったあと、川べりをサイクリング。
途中、市場にも寄る。野菜のほか、はちみつやシードル、ソーセージなどおいしそうなものがたくさん並んでいた。
アンティーク通りを散策。
ジェラート屋で買ったマスカルポーネアイスを舐めつつ、今、街のあちこちで開催されているサマーフェスティバルのライブ(アフリカのジャンベバンド)をしばらく眺める。
楽しいお店がいろいろあるサンジャン通りを歩いていると、フィラクテール・コーラのメンバーのひとり、エドゥアールに会い、ウチはすぐそこだからと夕食に招待される。彼は奥さんのジュリー、息子のテオ(テオドール)と暮らしていて、ジュリーは2人目のベビーを妊娠中。もうすぐ3才になるテオは恥ずかしがり屋で、わたしが「おいで」というと、笑顔でトコトコ走って逃げていく、とてもかわいい子だった。
ジュリーがお腹が大きいので、夕食のシーフードカレーピラフを作ってくれたのはエドゥアールだった。デザートはフルーツチーズケーキ。彼の部屋にもたくさんのアニメやコミックのフィギュアが整然と飾ってあった。
気軽に夕食によべる友達が近くに住んでいるということは、とてもいいことだと思う。 そのあと、近所のシネマコンプレックスで日本では確か横浜映画祭で上映されたものの劇場では未公開の『アステリクスとオベリクス』(フランス製作)を観に行ったが、登場人物の早口と込み入ったギャグが理解できず、半分ほど寝る。フランスのモノや情報が大量に来るのでいわゆる標準フランス語はもちろん通じるが、ケベコワたちはふだんはフランス語が独特になまったケベック語を話す。いろんなフランス語があるものだなと、南仏でもニューカレドニアでも感じたが、ここもそうだ。日本語に方言がたくさんあるのと同じか。
●【6日目】回転レストラン
一日ゆっくり過ごし、夜は散歩のあと1時間ちょっとで一回りしてケベックシティを一望できる回転レストラン「アストラル」に行く。ビュッフェスタイルのメニューを選び、20種類近くの料理を皿に少しずつ取って食べたが、どれもおいしかった。
●【7日目】モンモランシーの滝
自転車で1時間のモンモランシーの滝に出かけた。落差83m、ナイアガラの滝より30mも高いらしい。天気も良く、サイクリングはとても楽しく、野の花々が咲きはちみつの匂いのする草原にどこまでも長く伸びているサイクリングロードを走った。ゴエランという白い鳥や、黒くて小さいカルージュという鳥が気持ちよさそうに飛んでいる。
夜は、フランス語を学ぶためケベックシティに7か月滞在しているゆうこさんとその友達あきさん、ジョス、わたしの4人でベトナムレストラン「パイーユ」で夕食。スープ入りベトナムラーメンを頼んだつもりだったが、すごい量の焼きソバが出てきたのでメニューを見直したところ、ちゃんと「焼き」と書いてあるではないか。ちょっとガッカリしたが、そのソバもおいしかった。デザートはタピオカ。この街のアジア料理レストランは、アルコール持ち込み制になっているところが結構あるらしい。ジョスが近くのSAQというアルコール専売店で赤ワインを買ってきてくれた。
彼女たちに誘われて、サンジャン通りのアレクサンドルというパブで23:00に始まるオキナワン・ライブに出かける。これもケベックサマーフェスティバルの演し物のひとつだったが、なんと、演奏するミュージシャンは、偶然にもジョスもわたしも持っているお気に入りの沖縄音楽CD「The Rough Guide to the Okinawa」に曲を収めている平安隆(ひらやすたかし)だった。こんなアメリカ大陸の北部で沖縄のライブが聴けるなんて思ってもいなかったので大いに盛り上がった。ゆうこさんの友達で、仕事や結婚でここに住んでいるみゆきさんやよしみさんたちも来ていたので、この街での暮らしについてのいろんな話を聞く。楽しい夜だった。
●【8日目】シャンタルへの電話
予想以上に早く過ぎた1週間だった。
ブランチはリンゴ入りオートミール。
今日は、ハルというオタワ近くの街に住むシャンタルという友達に久しぶりに電話してみた。彼女は近くのスクールで日本語を勉強していて、2回ほど来日したことがある、おだやかで優しい女性だ。共通の話題も多いのでずっとメールのやりとりをしている。1時間くらいおしゃべりしてお互いの近況を知らせ合った。
そのあと、城壁に囲まれた旧市街を散歩。旧市街に行くには坂道をちょっと上らなければいけないが、歩くのがイヤな人は無料のエレベーターや、ひと乗り1.9カナダドルのバスが利用できる。
サマーフェスティバルは市内にいくつも会場があり、1日中、夜までいろんな演し物をやっていた。ファミリー会場では、大人の男性2人が「テーブルの上のユビュ王」と題して、ポッとやグラス、タワシなど台所回りの品々を人間の顔に見立てて子供向けの寸劇をやっていたのでしばらく眺める。
現金が必要だったので近くの両替所に入ると、出てきた受付女性が「ここは手数料が高いからここから銀行で替えた方がいいわよ」と、銀行までの地図を書いて渡してくれた。すごく親切だったのか、あるいは仕事する気がなかったのか…?
夜、ケベックで世代を超えて人気のプリュン・ラトラベルスというアーティストの野外ライブに行くが、着いたときは最後の曲を歌っていて、まともに聴いたのはアンコール曲だけだった。ライブもひけたころ、ジョスの友達4人と落ち合い、カルティエ通りのバーでワイン1本分くらいはラクに入りそうなグラスでサングリアを飲む。
●【9日目】週末の別荘
朝食はオリーブパンとチョコレートブリオッシュ(大きい!)、マフィン、チーズパンとカフェオレ。お昼すぎに、コンピュータ関係の仕事をしているマルタン、エドゥアールとジュリーを拾って、フィラクテールのメンバーのひとり、パトリックの両親の別荘に行く。途中、市場で大きなソーセージ(1本1カナダドル=80円くらいで安い!)を10種類と、GODETというチョコレート・リキュールを買った。
別荘はとても大きくて豪華なところだった。3階建てで屋根裏も割とスペースがある。フィラクテールのメンバーとその友達が全部で10数人集まったが、その分のベッドは、用意されていた。庭がサン・ローラン川に面していて、対岸の街レヴィも一望できる。庭には直径2.5mくらいの大きなジャグジー風呂がしつらえてあり、何人かはゆったり浸かってリラックスしていた。メンバーのイブが飼っているポロという犬と遊ぶ。
風が強くなったので、外で焼いた肉やソーセージ、それにザワークラウトやサラダは家の中で食べた。みんなでわいわいおしゃべりして、テレビもないのにとてもにぎやかである。夕食のあとは川辺でたき火。対岸の灯が美しかった。
●【10日目】おじいさんの誕生日
お昼近くに別荘から戻ると、今度はジョスのおじいさんの誕生日のお祝いのため、車で25分の彼の両親宅に出かける。家族の絆をとても大切にし、こういう気軽なファミリーパーティをやるケベコワは多いようだ。親戚の女の子たち、ヴァレリーやヴェロニクは、日本から来たわたしが珍しかったのか、日本について知りたいことをいろいろ聞いてきた。お昼はホットドッグを2本、夜はトマトソースのチーズがけパスタと赤ワイン。ゆっくりとしたひとときを過ごす。