野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

1990年逆瀬川の調査 

2018-07-14 | 野生生物を調査研究する会歴史

ここにwithたからづか1990年12月の雑誌がある。9月に行われた宝塚市を流れる逆瀬川で調査を行った。

保健所が主体であるが、調査員がのちの会員になり、水生生物調査の先駆けとなる。

その記事を紹介する

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1990年12月 WITHたからづかNo56


逆瀬川の水辺環境調査
20種以上の水生生物と20別種の水辺植物

本誌44号でも紹介した「武庫川水質改善運動」の一環として宝塚保健所では逆瀬川の生物調査を行なった。
下水道の普及と市民の努力で少しずつ水質も良くなっているという。そんな逆瀬川に一体、どんな生物が生息しているのだろうか。
調査にあたった保健所に結果報告を聞いた。

武庫川は基準値クリア
市内の川が少しずつ息をふき返している。
毎年、宝塚市と、西宮、宝塚の両保健所では街頭でキッチンペーパーや水切り袋、せっけんを配布、家庭でできるクリーン対策を推めると共に、
し尿浄化槽の保守点検、清掃の徹底を図るよう協力を求める武庫川水質改善運動を展開している。
このため、市民の川をきれいにしようという意識はかなり高まってきた様子。
下水道の普及と相まって、市が行なっている水質調査では、市内武庫川で一番水質が悪化していた百間樋(御幸町)で、国の環境基準値BOD3.0mg/ℓをクリアしたということだ。
 また、宝塚保健所では、もっと身近に自然の姿を知ってもらえればと、9月7日に「逆瀬川の水辺環境調査」を実施。
武庫上流の深谷ダムから宝塚ゴルフ場をぬけ、武庫川流入口までの水生生物と、水温、PH、アンモニアを13の基準点を設け調べた

 調査が行なわれた日は、気温28℃、曇り。
全域で別種余りの水生生物と、20種の水辺植物が確認された。特に宝塚ゴルフ場入口から、深谷ダムの間1km余りは、ゴルフ場建設当時に河岸を工事したまま手つかずの状態のため、逆に自然が保謹された形になっている。
最も興味深い点は、ゴルフ場入口を境に水質が酸性とアルカリ性に分かれている点で、水温も5度程ちがっている。
当然棲息する生物の種類にも違いが見られ、上流にはゲンジポタルのエサになるカワニナがびっしり石に付いている所があり、ヤゴ類も上流にしかいなかった。
 しかし、逆瀬川中下流においても、汚れた川には住まないとされるカワムツが棲息し、モクズガニも秋には産卵のため、川を下る。また比較的きれいな川に成育するオランダガラシ(クレソン)や、セリが群生し、初夏には白い花を咲かせる。中の上ぐらいの評価は得られるのではないだろうか

川の汚れを見る時の簡単な方法がある。白い烏、黄色い花、赤い底生動物(川の底に住む生物)がいないか確かめればよい。
白い鳥はドロの中のドジョウやカエルを食べる。これらのいる場所は富栄養な水域だ。
黄色い花も富栄養な場所を好み、土壌がアルカリ性である事を示す。
これ以上悪化させると危険であると知らせている。もっと水質が悪くなるとユスリカ、イトミミズなどの赤い底生動物しか住めなくな
り、川はドブと化す。ユスリカの赤は血液中のヘモグロビンと同じく酸素と結合し、酸素を体内の必要な場所へ運ぶはたらきをする。
酸素濃度の低い場所でも生息できるのはこの為。

 逆瀬川下流は黄色のセイヨウカラシナも群生し、コサギも見かける微妙な場所。保健所では、今回の資料をまとめ、パネル展を計画中。スライド映画も作制するということだ。

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当時ゴルフ場が環境破壊の諸悪の原因になっていた時期だが、ゴルフ場の中のほうが豊かな環境が保全されているのではとはなしあった。その後、武庫川流域の数か所のゴルフ場を調査。都市部に残る里山の自然がのこっていると実証された経緯がある。

宝塚ゴルフ場は阪神大地震のときにも、自衛隊の救援活動の拠点ともなっていた。


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