野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

2001年 ブラジル国トメアスでの活動の「はじまりのはじまり」

2023-08-28 | 野生生物を調査研究する会歴史

2001年 ブラジル国トメアスでの活動の「はじまりのはじまり」

今年でブラジル国トメアスとの関係を考えると20年以上の付き合いになる。

最初のきっかけは物見遊山でブラジル、ベレンへ旅行に行ったことによる。

そして、ベレンでたまたまトメアスに行くことになったことが、トメアスでの活動が20年以上つづくことになるとは。

以下の文章は、当会の初期のホームペジで掲載していた「ブラジル紀行」を再録したものだ。当時はまだデジカメがそれほど普及しておらず、すべてフイルムカメラでの記録になっているの画像は見にくいことはご了承を。

 

「はじまり」

2001年(平成13年)8月の10 日間、ブラジルのアマゾン川の熱帯雨林を訪れる機会を得ました。

アマゾン流域の破壊は続いています。また、森林の消失は地球温暖化にも影響をあたえます。

森林が減少したために乾燥が進み降雨量が減少していることを知りまた。雨量の減少は深刻な水不足をもたらし、農業に大きな影響を与えています。

トメアスの日系の人たちがおこなっている農業の方法は、わたしたちの行っている里山復元活動の考え方と共通するところがありそうです。人と森の関係を構築する試みをアマゾンの熱帯雨林でもやってみたいと思いました。

行程

1期間:2001年(平成13年)8月11日~20日

2 行き先:ブラジルバラ州ベレン市及びトメアス

3 旅行行程

・1 1日目(成田~ロサンゼルス~ロス~サンパウロ)

・2目(サンパウロ~ベレン)

・3 日目 ベレン市内観光

・4日目 永大産業ベレン工場  州立熱帯生物園見学

・5日目 群馬の森見学

・6日目 トメアス文化協会との交流

・7日目 トメアス熱帯雨林視察

・8日目 買い物

・9 日目 ベレン~サンパウロ、日本へ

4.ベレンの街

ベレン市はブラジル北部パラー州の州都です。

アマゾン川の河口はマラジョー島を挟んで北側の本流と南側のパラー河に分かれ、ベレンはそのパラー河に注ぐトカンチンス河の支流、グァマ河とグァジ ャラ湾に沿った海抜14mの低地に位置します。人口は約140万人、最高気温32度、最低気温22度、湿度80%以上と高温多湿の熱帯雨林気候です。気温は乾季に高く、雨季に低くなるので、ベレン市民は雨季を「冬」と呼んでいるそうです。ベレンの住民は、欧州系、アフリカ系及び先住民の混血が圧倒的に多く、邦人・日系人は約3千人がすんでいます。

ベレン名。物のひとつが、マンゴの並木。(前世紀初めに東南アジアから導入) 結実するのは 11 月頃で、マンゴは誰がとっても良く、少年が小遣いの足しにとせっせと集めている姿は、年末の風物詩になっているでもある。

市内観光

・宝石工芸品博物館(PÓLO JOALHEIRO):刑務所として使用されていた建 物を改築し、2000 年に宝石工芸品博物館としてオープン。、パラー州内で採掘された 5 億年前 の水晶をはじめとする貴石が展示されている。

・エミリオ ゴエルジ博物館(MUSEU PARAENSE EMÍLIO GOELDI):、ブラジル科学技術省が所管する研究施設で一部が一般に開放され、アマゾンの動物学、植物学、考古学、地質学、 文化人類学が学べる。

ロドリゲス・アルヴェス植物園(BOSQUE RODRIGUES ALVES):市営の自然植物園。

カステロ要塞 (FORTE DO CASTELO):1616年に築かれたカステロ要塞は、ベレン随一の観光名所として市民にも親しまれている。

・ヴェロ・ペーゾ市場(MERCADO DO VER-O-PESO);2千軒の露店がひしめく、ベレン市民の市場であるとともに、ベレンの顔として観光名所になっている。

パラー州の食べ物:カランゲージョ(カランゲージョ(泥がに)を塩ゆでしたものを棒で殻を叩き割りながら身をすするのがおすすめ)アサイー(アサイ椰子の実を液状にする。これをマンジオッカ粉をいれ、混ぜて朝食に食べる人が多い。

・群馬の森(現在2023年は「アマゾン日伯友好の森」となっている)

ベレン市より北東へ51kmのサンタ・バーバラ市に、 群馬県出身者がつくる「北伯群馬県人会」が運営する、地球環境と熱帯雨林保護を目的とする原生林が群馬の森(540Ha)。

 5.永大産業ベレン工場の見学(現在2023年 すでにブラジルから撤退している)

 ベレン工場では合板をつくってアメリカに輸出している。この工場では、合板をつくるときにできる 廃棄物を堆肥にして、人工林を栽培している。

その様子を見学した。

 合板の原料はアマゾンの熱帯雨林であり、伐採後 の表層土は雨などの侵食などにより荒廃地化していく。荒廃したこれらの地域では生物多様性の低下, バイオマス(生物体量)の減少,地力の低下がひどく、そのまま植林しても荒廃がすすんでいるので、 植物の成長がのぞめないのが現状である。そのため、自然資源を持続的に利用するためには,拡大しつつある荒廃地を森林に修復し、利用可能な森林を拡大しようという試みをしていいた。

 永大産業の試みは、地域住民の修復作業(混植, インタークロッピング,造林,保育)への参加を生み、地域住民の活動を促し,多様な利益をもたらす 木材生産だけでなく、高い環境機能を持つ多目的森林の修復を栽培林で実施している点は重要であると思われた。

  1. トメアス文化協会との交流

 トメアスはベレンから南に300km、バスで5時 間のところにある。1929年に日本人が始めてブラジルに入植した歴史ある町で、日本人移住地としてはパラー州最大のものである。

現在,農作業のほとんどは現地の労働力を利用し,日本人の農場主の仕事は,作物の植え付けから収穫,出荷に至る企画,立案などの頭脳 労働が主である。

 トメアス文化協会の会長エイカワ氏の紹介 で、農協が経営するジュース工場やコンポストの現場を見学した。

 現在、単純栽培(コショー栽培のみ)から複層栽培をはじめていると言う農場を見学した。端境期のない栽培と根粒バクテリアの増殖に日本では厄介者のクズが栽培され役に立っているのには驚いた。

 ここには、日本食の出る民宿があり、豆腐、き んぴら、みそ汁、サラダ等、などで歓迎していただいた。特に豆腐ときんぴらには日本を離れてひさしぶりに食べた日本食で涙が出るはどうれしかった。

 エイカワ氏にはお忙しい中、入植記念館を案内いただいた。入植当時の病院の保存の事などトメアスの抱えている課題もお聞きすることができた。

7.JICAの熱帯雨林の実験地の見学

熱帯林の現状、伐採現場を見た。

案内人はライフル銃と山刀を携帯して熱帯林に入った。ライフル銃は猿やネズ ミを捕るためとか。

森林内ではワニがいる川とか、ジャガーやクロヒョウがいると聞いても、「あ、そうかと。」素直に耳に入ってくるし、熱帯 林といっても日本の沖縄の方がイメージとして熱帯林らしいと感じ、どちらかといえば南紀の森林に似ていると思った。

一方、樹冠を形成している樹木は迫力があり、ここは正に熱帯林と感じる。このようなところに是非日本の子どもを連れてきたいと思った。3時間程度熱帯林を見学し、迎えの車がくるので車道のそばで待っていると直径1~2mの原木を積んだトラックがひつきりなしにトメアス方面に向かっていくのを見て呆然とした。

 JICAの実験基地に戻り、午後から伐採現場に向かう。

どんどん奥地に車を進めていくと、途中には広大な牧場があった。 野焼きにより作られた牧場のためか、立木が焼かれ白骨のように白や黒色の立木 が乱立している様子は、異様な雰囲気をかもし出していた。どこを見ても牛がいない、聞いてみると水飲み場に行けばいるとのこと、それにしても牛の数が少なすぎる。

何故牛が少ないのかと聞くと、1㌶あたりに牛一 頭の飼育だとのこと、理由は牧草が2年分程度しか生育しないとのこと。 栄養分の少ない表土に 問題がある。熱帯林では腐葉土の分解が早く森林の生育には都合がよいが、耕作としては大変な作 業になるのだなと感じた。入植時の苦労は大変だったろうと思いながら延々と続く牧場を約30分 間程進んだところで一軒の小屋(広さ20畳程度;2部屋で炊事兼食堂と居間に8人程度住む。)を見つけ、住人に車の窓越し伐採場所の情報を得ているようだが、会話の雰囲気からどうも伐採は終わったような感じで、もうダメかと思っていたが別の所へ行く様子、1時間程車を進めた所で一軒の農家でたずね、その農家の人の案内で、道なき道を進んでようやく伐採用の進入道路にたどり着いた。その道を進んでいくと周辺の立木は引き裂かれたように折れ倒れている。これは日本にいる とき本や写真集でよく見る熱帯林の現状と全く同じ、言葉が出なかった。

 現実にその場に立った時のすさまじいさは、日本の伐採とは比べものにならないもので、正に破壊としか言いようがない。そのような思いを巡らせながら伐採の作業場を探し、車のきしみを聞きながら進んでいくと森のはずれに出てしまった。 また空振りかと思っていた。その時、木と木に吊した黒ずんだテントが目に入った。テント周辺には、オイル缶が散乱していることからも、ここが作業場の拠点と察した。交渉の結果、若い作業者が案内してくれることになり一緒に車に乗り、15分程進んだところで全員下り、若い作業者の後をついて熱帯林の中に入っていた。

午前に行った熱帯林とはまた、違って植物が密集しておりこちらの方がすごく歩きにくい。案内の作業員が甲高い声を立て、他の作業員の位置を確認しながら歩くこと10分、着くと40歳くらいの作業員が2人出迎えてくれた。つい先ほど伐採したばかりの直径2m近い木が横たわっている。

 そのからすこし離れたところで、直径が私の両手を一杯にした位の大きな木を今から伐採するとのこと。案内してきた若い作業員がチェンソーで5分もかからぬうちに伐採した。つづいて少し離れた所でも、同じ程度の木を伐採したときには 思わずブラボーと言ってしまった。その伐採技に対し妙に感嘆してしまい思わず声が出てしまった。

 一本の木がなくなると、その周辺がまぶしいぐらい明るくなったことに気づいた。伐採した木は、まさに樹幹を形成していたのだときいた。そばは直径30cm程度の木々が引き裂かれるように倒れているのを見て何とも言えない気持ちになった。

 その矢先に左足のふくらはぎに痛みみを感じ、 左手でそれをさぐったところ左手の人差し指に刺されたような激痛が走った。すぐに振りはなしたが黄色と黒色のまだら色の昆虫だった。

その後はお察しの通りふくれあがった。「ブラボー」 などと言った罰か!気に入っていたサングラスもそのとき落としてしまったようだ。

 トメアスから帰る時間も迫っていたので礼もそこそこにその場を後にした。

8.旅の終わりに

ベレンからサンパウロまでの3000km、6時間あまり。来たときと 同じ機内食にうんざりしながら考えている。

ブラジルは、ここ2年前、電力不足に陥っている。

 今、日本のODAからの助成を得て、アマゾンに巨大なダムを造ろうとしている。ダムを造れば日本の国土の30%がダムの底に沈む広さだと聞く。そうなるとその面積に近い熱帯林が水没することになる。 適材適所というが、ブラジルにとってダムを建設することが最良の策なのだろうか?

 ベレンの人口は100万人以上、その生ゴミは埋め立て処分と聞く。 それを使って、熱帯の気候を利用したバイオマスによる発電、広大な原野を活用した風力発電は可能ではないのか。

 また、トメアスの農協のジュース工場も例外ではなく、近々電力供給を押さえられるかもしれないとか、そうなった場合、現状では対策はないとのこと。 ジュースを製造するとき出る残りかすは捨てるか、 一部コンポスト化している程度、もったいないと思う。

 

以上が2001年の報告です。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿