猿八座 渡部八太夫

古説経・古浄瑠璃の世界

国民文化祭参加公演 山椒太夫 新潟ふるさと村

2019年10月07日 21時41分42秒 | 公演記録
東京から新潟に通う楽しみのひとつは、道々の山並みを眺めては、次の修行場を探すことだった。それに、なんといっても谷川岳を拝することがなんといっても喜びだった。今度、奈良から新潟に、飛行機で通うことになって、なによりなのは、まず富士山を拝し、それから、
御嶽、乗鞍、北アルプス付近を上空から俯瞰することである。50分間のパノラマから目がはなせない。


富士山遠望


穂高岳付近


さて、それはさておき、3回目の国民文化祭参加公演「山椒太夫」は、新潟「ふるさと村」で行われました。多くの方々のご来場ありがとうございました。先回の直江津からの帰りに、上越妙高から新幹線に乗り、金沢からサンダーバードに乗り換えて京都まで戻ったのですが、この車中で、どうやら「風邪」か「インフルエンザ」かわかりませんがいただきまして、今回は、鼻声のがらがら声で、申し訳ありませんでした。一日二回公演という時に限って、どうもこういうことになるようです。熱がなかっただけよかったです。一部のご感想によりますと、枯れててよかったとか・・・・



撮影:藤田雅善


国民文化祭参加 山椒太夫 連続9公演はじまる

2019年09月23日 11時43分57秒 | 公演記録
新潟での国民文化祭がはじまりました。第1回目は柏崎のドナルドキーンセンター。全公演の成功と、また最終回に無事にセンターに帰ってこられるようにとの祈念を込めて「二人三番叟」で舞台を清めました。

ドナルドキーンセンターにて。

翌日は、いよいよ、初の「直江津」での公演です。なんといっても、都を目指した安寿・厨子王の一行は、この地で人買いに売られてしまうわけですから、力が入ります。

佐渡汽船にて。場面は、直井の浦の扇の橋。直井というのは、直江津のことで、現在「扇の橋」はありませんが、「なおえつばし」には山椒太夫物語のレリーフがあって、その雰囲気が味わえます。



佐渡汽船の一階ロビーには、山椒太夫の文弥人形が飾られています。「人買い」というのは怖いです。


次回は、10月6日(日)新潟ふるさと村で、午前11時からと午後2時からの二回公演です。



親鸞記 初演 於三条別院

2019年06月02日 21時54分04秒 | 公演記録
宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要。浄土真宗の法要というものに初めて参加させていただいた。びっくりしたのは、合唱団がエレクトーン演奏で朗々と賛歌(・・・ここが教会なら賛美歌にしか聞こえない)を歌うのである。たとえば「真宗宗歌」は、

ふかきみ法(のり)にあいまつる
身の幸 なににたとうべき
ひたすら道を 聞きひらき
まことのみむね いただかん

と、もちろん、参会の門徒全員で歌うのである。なかなか壮観であった。



さて、午前中が法要で、午後が「親鸞記」である。浄専寺の堀川秀道氏からお話をいただいてからまる2年。やはり、門徒の方々は、親鸞聖人のことはよくご存じですから、見る目も厳しいでしょうが、ちゃんと分かってご覧になっていらしゃるという安心感がありました。そして、なによりも沢山ウケていただいたので、こちらもだいぶノリました。以下の写真は、幼い親鸞聖人が出家をする場面です。よく使う単純な早変わりの手ですが、これが大ウケでした。

慈鎮和尚(御殿の中)の所に弟子入りします。僧がカミソリを手にして、九歳の親鸞の髪を落とします。



坊さん達の人形で覆い隠して、人形をすり替えます。



一瞬で丸坊主のくりくり親鸞が現れます。因みに下手にいるのは、お父さんの日野有範です。

親鸞記 公開稽古

2019年05月26日 22時33分41秒 | 公演記録
いよいよ三条別院での「親鸞記」初演が近づいて参りました。新作の仕込みが大変なのは、頭(かしら)から衣装から、書き割り、小道具となにもかも、ひとつひとつ手作りだからですが、これらはほとんど西橋八郎兵衛師匠の作品です。その中でも、たいていひとつや二つは私も、参加して作ります。今回は24人の山伏の兜巾。本当に24個作りました。発砲スチロールですけど。あとはだいたい「字」は私が書きます。今回は、親鸞が指で岩に書き付けるという「帰命尽十方無碍光如来」を書きました。
今週は、本番前の公開稽古。仕上げの稽古でしたが、なんとか、停まらないで通せたようでした。本番は、来週6月2日です。「親鸞記」の公演は13:30開演の予定です。一般の参拝者は無料で観覧できますが、立ち見のみですので悪しからず。


笠間郡稲田での布教を憎んだ山伏達24人が、親鸞聖人を殺害しようといろいろ企てますが、うまく行きません。とうとう草庵に押しかけて殺そうと、詰めよりますが・・・。



この岩は、小田原市国府津の真楽寺の帰命堂の下に埋められているということです。




阿弥陀胸割 瑠璃山三光寺 新発田市 

2019年04月08日 10時58分57秒 | 公演記録
久しぶりの「阿弥陀胸割」(あみだのむねわり)でした。由緒ある浄土宗のお寺で開催できたことがなによりでした。この寺には、本尊の阿弥陀三尊をはさんで上手に浄土宗の高祖である善導和尚(ぜんどうかしょう)、下手に法然さんの像が、祭ってあります。「阿弥陀胸割」は、この高祖「善導和尚」が日本に伝えたことになっていますので、大変ありがたいわけです。

善導和尚像

御本尊
150名もの方々にご来場いただき誠にありがとうございました。方丈様の御協力で、楽しい舞台になりましたことに感謝申しあげます。別時念仏の場面で御出演いただきました様子をご覧ください。

阿弥陀胸割(別時念仏)ユーチューブへ




第11回 村上人形浄瑠璃を楽しむ会 

2018年10月29日 12時38分27秒 | 公演記録
7年のうちに11回の開催もの開催回数を誇る会です。猿八座の最も強力なサポーターとして有り難い存在。今回も150人を越える皆様においでいただきました。誠にありがとうございました。演目は、平家女護島2段目全。一時間半みっちりですね。やるほうも観るほうも。ご苦労様でした。

この段は「俊寛」とも言うくらいですから、俊寛が主人公的ですが、島の娘「千鳥」が演じ処です。


流人である丹波少将成経(なりつね)は、島の海女「千鳥」と夫婦となる。写真は、水杯の祝言の場面。ようく見ると、沖の方から船が近づいて来た。



突然の赦免の知らせに一同大喜びをして、いざ上船という段。上使の妹尾は無下にも、千鳥の上船を許さない。



千鳥のくどき。「鬼界ヶ島には鬼は無く、鬼は都にありけるぞや」 のせてたべと絶叫する千鳥。

猿八座 寺泊・髙柳公演 無事終了

2018年10月01日 12時50分52秒 | 公演記録
9月23日(日)には、寺泊の真宗養泉寺の本堂にお邪魔いたしました。演目は信太妻と狢。


信太で泣いていただいて、狢で、大笑いをしてもらえますと、ほっとします。沢山のご来場ありがとうございました。

翌週の9月29日(土)30日(日)は柏崎市髙柳での2回目の浄瑠璃鑑賞会でした。台風24号の接近で、中止も覚悟という感じでしたが、黒姫山の神様のおかげで、奇跡的にたいした雨も降らずに済みました。

黒姫神社での奉納三番叟。

山椒太夫より鳥追いの場
二日間にわたり、大変お世話になりました。



猿八座 ヨーロッパ公演報告 2 ポーランド編

2018年05月27日 17時29分52秒 | 公演記録
パリから飛行機で2時間。初めてのポーランドです。ワルシャワのショパン空港に降り立ちましたが、残念ながら乗り継ぎだけ。ハンバーガーを食べる時間しかありませんでした。更に空路で、クラクフへ。



さらに、そこから、車で2時間。地方の工業都市「ビエルスコ ビヤワ」に1日がかりで到着。この町で行われる「第28回の国際人形劇芸術祭」に参加します。



翌日は1日空きでしたので、いろいろな国の人形劇を鑑賞したり、夕方からの開会式に参加したりと、観劇三昧。




メイン会場のバイアルカ人形劇場と今回お世話いただいた、アダマ ビツケビチィ大学のエステラ先生。



猿八座が公演をした劇場。こうした劇場が市内にたくさんある。


いよいよ、公演です。一日二回の公演を行いました。演目は「源氏烏帽子折」だけでしたが、エステラ先生の解説や、ワークショップがついて、二時間近くやりました。







いろいろな国の演技を観ていると、勿論言葉はわからないわけですので、想像をして感じることの大切さが分かります。そうして、自分がやる番になりますと、言葉では伝わらないので、なんとか、別の方法で伝達しようと自然にするようです。強弱とか思い入れとかが、通常以上に、大きくなります。日本でやると、きっとわざとらしいぐらいだと思いますので、記録ビデオは見ないでおくことにします。

さて、この海外公演に当たっては、国際交流基金の助成をうけましたことに感謝申し上げます。













猿八座 ヨーロッパ公演報告 1 フランス編

2018年05月27日 12時47分29秒 | 公演記録
約2週間に渡るヨーロッパ公演旅行から、無事に帰国いたしました。行き帰りの飛行機の12時間近い缶詰状態は、私のような多動児には耐えがたい苦行でありますが、連続3年目ともなりますと、多少の慣れと覚悟ができるのもでございます。なんといっても私が編みだした最大の武器は、「さらし」であります。眠むるときは、ヘッドレストに頭部を縛り付けて固定。見た目はミイラ状態でしょうが、かまっていられません。これで熟睡できます。足がだるくなったら、テーブルにかけて、足を吊ります。いろいろ工夫していると時間がたつもの早くなります。そして、二時間に一回の機内散歩、ついでにトイレとおやつの調達、水分補給。大体、機内の一番後ろの方の配膳室に、同じような人々がたむろしているので、さも旅慣れたような顔をして、うろつきます。いつでもじっとしていないので、きっと回りは、迷惑だと思います。この頃は、通路側の席を譲ってくれないかと交渉するようにしています。もちろん、空いてる席があれば即、移動です。

さて、今回はまず、フランス、パリの郊外の村、ラ・ヌビール・スレソンにある「真夜中劇場」というところで、合計7公演を行いました。そのうち4公演は、小学生や幼稚園児を対象とした短縮版「信太妻」でした。しかし、一番受けたのは、一般公演でやった「源氏烏帽子折」の金王丸でした。この日も子供たちがたくさん来てくれましたが、言葉の意味はわからないでしょうから、どうやら「金王丸」の声色が面白かったようです。日本とは違う反応を体験できるのが、海外公演の良さです。以下、フランスでの写真を羅列します。






中世の建物を利用した劇場の建物。一番下の写真は、私が1週間過ごした小屋です。



劇団員との交流会





近郊の教会や城をちょっと観光。上からプイゾォという町の教会。ナポレオンが居たというフォンテンブロウの城。下は近くの城跡。




日仏合同黒衣チームの結成・・・名前は・・・NINJYA



毎日、劇団員の方々が交代で食事の準備をしてくれました。ここに住み込みの団員もいるので、完全自炊。毎晩、楽しいパーティーでした。とにかく、田舎だから野菜料理がおいしかった。一週間でかなり、太りました。








公演風景。一般公演では、ライトを極力落として、ろうそく明かりでやりたいとの希望。初めての試みでしたが、人形や芝居の化粧が真っ白なのは、本来、こういう明かりでやるものなのだと、痛感した次第。さすが、フランス人の感性は鋭い。


最後の山椒太夫通し狂言 

2018年04月23日 14時06分37秒 | 公演記録
猿八座高田支部の皆々様方のサポートで5年間続いた「山椒太夫」シリーズの最終回公演が、無事に終了いたしました。一日に4時間を語り通すという、二日間の苦行の舞台です。操る方も、観る方も、参加者全員が、苦行であります。しかし、これ以上の充実を感ずる演目もありませんので、一抹の寂しさもまた残ります。今となっては、曲がりなりにも語り通せて良かったと感謝する外はありません。
そもそも山椒太夫通し狂言六段組は、「山椒太夫高田世界館公演実行委員会」の委員長である上越教育大学名誉教授川村知行先生の御発案で始まったことでしたので、「高田世界館」だけの特異な演目と言えます。大がかりな舞台になるということもあり、外の劇場ではやったことがありません。今後の「山椒太夫」公演は短縮版の三段組みや、従来の「鳴子曳き・親子対面」の場の上演が中心となると思われます。

久しぶりの三番叟で舞台を清める。

通し狂言でないと演じられない「厨子王出世」の一場面。四天王寺の稚児達が、必ずうけるので楽しめる場面。

しかし、高田世界館での猿八座公演が、もう無いということではありません。来年は、国民文化祭が新潟県で開催されるとのことですので、また違う演目で、世界館を訪れることができればいいなあと考えております。その節は、又高田支部の面々にお世話になりたいと思いますので、宜しくお願いいたします。


佐渡大慶寺 第40回門前市記念公演

2018年04月16日 09時30分18秒 | 公演記録
春の嵐にも負けずに、「平家女護島」を勤めて参りました。文弥人形の本場で、文弥を語るのには勇気がいりますが、文弥節の師匠である久保宗香氏や真明座の川野名座長に直接聞いていただけることは、喜びでもあります。山(語る台)の真後ろに烏天狗不動様がいらしゃったので、守っていただいた感じです。


平家女護島二段目は、たいてい鬼界ヶ島の場面からはじめることが多いようです。いわゆる「俊寛」の場面が見せ場です。長くはなりますが、口からやりますと、俊寛の赦免状が出たいきさつがよく分かります。


撮影:藤田雅善
能登の守教経と、恩赦の勅使、妹尾と丹左右衛門が出合う「鳥羽の作道」の場面。教経は、赦免状に俊寛の名前の無い事を知り、一計を案ずる。


教経は、重盛の代筆として、俊寛の赦免状を書く。


しかし、結局、俊寛は、都に帰ることはなかった。

新発田公演 信太妻・貉 満員御礼 

2018年02月28日 14時09分59秒 | 公演記録
新発田市の浄土宗瑠璃山三光寺での人形浄瑠璃を楽しむ会は、150名を超えるお客様をお迎えして、盛況の内に終えることができました。三光寺のご住職様ならびに坊守様、檀家の皆々様には大変お世話になり、ありがとうございました。それにしても、お昼の会は、余裕があっていいですね。それになによりも、お昼にいただいた煮物(特にクルマ麩)と大根の漬物が絶品でした。また、必ず伺いたく存じます。


さすがに、今年は雪が多いようですが、旗立は簡単でした。



ご本尊、阿弥陀如来(三尊)を礼拝し、阿弥陀経を唱えました。ご住職の法話をいただき、本番です。



信太妻、子別れの愁嘆場で、すすりなきがもれました。

お寺はどこも、浄瑠璃にはぴったりの場なのですが、このお寺は、特段にいいかんじです。次の機会があれば、是非に「阿弥陀胸割」を演じてみたいものです。阿弥陀様の御前で。

猿八座新春公演終了

2018年01月10日 15時42分47秒 | 公演記録
新潟大学駅南キャンパスでの猿八座新春公演が無事に終了。通算7回目を数える新潟大学主催公演は、今年も栗原隆先生のご尽力で開催することができました。改めて御礼申し上げます。

ご挨拶をされる栗原先生

「人文カフェ」のテーマ「今、子どもを考える」に沿って、子どもが登場する場面がある「信太妻」と「源氏烏帽子折竹馬の段」を演じました。写真は竹馬の段。
本年も猿八座を宜しくお願いいたします。

ウクライナ公演 ウクライナ国内での報道

2017年11月22日 19時15分47秒 | 公演記録
ウクライナ公演の様子が、ウクライナ国内で、続々発表されたとのことです。
ウクライナ語はわかりませんが、リンクからご覧下さい。

ドニプロ市役所のHP

https://dniprorada.gov.ua/uk/articles/item/22478/u-dnipri-pokazali-vistavu-lisicya-z-lisu-shinoda-tradicijnogo-yaponskogo-lyalkovogo-teatru



ドニプロ市のサイト

В Днепре показали спектакль «Лиса из леса Шинода» традиционного японского кукольного театра

http://gorod.dp.ua/news/138634



通信社

У Дніпрі виставою "Лисиця з лісу Шінода" завершилися дні Японії

https://www.ukrinform.ua/rubric-culture/2342988-u-dnipri-vistavou-lisica-z-lisu-sinoda-zaversilisa-dni-aponii.html



「9チャンネル」ドニプロ市立テレビ放送局

Заключна подія “Японської осені в України”. У Дніпрі показали виставу «Лисиця з лісу Шінода»

http://9-channel.com/zaklyuchna-podiya-yaponskoyi-oseni-v-ukrayini-u-dnipri-pokazali-vistavu-lisitsya-z-lisu-shinoda-000140301.html



「11チャンネル」ドニプロ州立テレビ放送局

Традиційне японське лялькове мистецтво представили у Дніпрі

https://www.11tv.dp.ua/news/dp/2017/11/13/28474.html




キエフ公演の様子が当館HPに掲載されました。
http://www.ua.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000944.html

猿八座 ウクライナ公演 無事に終了

2017年11月15日 20時38分08秒 | 公演記録
まったくなんの知識も無かったウクライナでしたが、すっかりウクライナ贔屓になりました。長く複雑な歴史はよくわかりませんが、ウクライナ人の誇りは、ひしひしと伝わってきます。旧ソ連時代に、スターリンに破壊された文化を、人々の手で復元してきたその強い思いを感じます。

『ボルシチはロシア料理じゃないよ。ウクライナの伝統料理さ。』

肥沃で広大な黒い平原「チェル」が続く、豊かな国。おいしい国。故に常に紛争が絶えなかった。そのうえ、皮肉にも、原発事故のチェルノブイリという町の名も、豊かな土地という意味なのだという。

車窓より(キエフ~ドニプロ間 InterCity列車)

ウクライナ第一日目は、東部の都市「リビィウ」へ降り立ちました。州立人形劇場。信太妻。


びっくりしたのは、終了後、スタンディングオベーションになって、拍手が鳴りやまないのです。私は、まったく初めての経験なので、困ってしまいました。アンコールの用意など考えてもいなかったからです。申し訳なかったですが、ぺこぺこ頭をさげるしかありませんでした。

移動日を挟んで、2回目の公演は、国立キエフ人形劇場です。

キエフには日本大使館もあるので、表敬訪問しました。(お世話になった星野裕一氏)
今回の遠征は、そもそも日本との外交樹立25周年の記念事業ということで、大使館の招聘によるものでした。


今回の出し物は、すべて「信太妻」です。

来ました、来ました。やっぱり来ました。ちゃんとアンコール用意しました。「貉(むじな)」の大切場面。たぬきは持っていきませんでしたが・・・・キツネがいるからまあいいか。
この日、びっくりしたのは、ウクライナの楽器であるバンドゥーラの奏者という女性に三味線を持たせたら、ちゃんと指を立てて爪で糸を押さえたことでした。多分、この人はすぐに弾ける。

更に移動日。長大なドニプロ川沿いにキエフがら約700Km南下して、「ドニプロ」に到着。
州立青年劇場では、この劇場の人形を見せていただきました。写真中央は通訳をしていただいた大使館職員キリル氏。後ろにいらっしゃるお二人が職人気質の劇場職員。


ドニプロの観客の皆さんは、特に感性が優れていらっしゃったのでしょうか。要所要所での拍手のタイミングが、鋭すぎます。ましてや見たことも無い浄瑠璃なのにです。ウクライナでは400円もあれば、オペラが鑑賞できるということなので、どこの会場でも反応が大きいのも納得。どっかの国とは大違いで、芸能的な感覚が研ぎ澄まされているようです。そのアンコールがこれでよかったのでしょうか。下の写真がアンコール場面。次回があれば、大きな宿題です。これ、踊ってるんです。


おまけ:聖ムィハイール黄金ドーム修道院(キエフ)


キエフについた夕方。市内散策をしながら覗いた教会で立ちすくみました。夕方のミサでした。ウクライナ正教のミサというのは、まるで密教です。天から降るような讃美歌は、正に音楽聞こえですし、司祭が読み上げているのはお経にしか聞こえません。早口になると、まるで神名帳を読み上げているように聞こえ,やがて、香炉を振り回しながら、司祭が目の前にやって来て、私に向かって振るので、思わず合掌。人々に香炉を振って回るので、紫雲棚引き、芳香漂う。これは、天国というべきなのだろうなと思いながら、「南無阿弥陀佛」。
実は、教会でこんなに感動を味わった事は今迄無い。これに味をしめて、丁度日曜日だった「ドニプロ」では、ホテルの近くの「プレオブラジェンスキー教会」のミサに参加。1時間のミサを堪能。子供から老人まで、広い教会が満員。集まった人々が声を合わせて歌うのが、これまた感動的。この国は健全だと思う。

在ウクライナ日本国大使館特命全権大使の角茂樹様をはじめ、職員に皆様。又、各劇場のスタッフの皆々様、大変お世話になりました。大変に快適に演ずることが出来ましたこと、改めて御礼申し上げます。