ワニなつノート

2年前の記事(>_<)

「手をかりるように知恵をかりること」
(最初のメモ)2010/4/10



「どうして? そんなの聞けばいいのに」
「だって…」

「聞いていいのよ」
「だって…、ずるいっていうもん…」

「ずるじゃないわよ。
聞く必要がある人は聞いていいの。
甘える必要がある人はあまえていいの。
休み必要がある人は休んでいいの。
それはずるじゃないわ。
むしろ、それを、公平、平等、といい、人間の賢さというのよ。」

「でも、ぼくのことばかって…。みんないう」

「それは、その子たちが、大切なことをまだ知らないのよ。」

「…」

「手をかすように知恵をかすことも、知らないってことは、
手をかりることも知恵をかりることもしらないってことなんだから」

「…答えを聞くのは、カンニングだって」

「何言ってるの。科学者とか研究者だってみんな、人の知恵をかりて、自分の研究をしているのよ。
ノーベル賞をもらう人はみんな、誰かの知恵をかりて、それをもとに、一歩先への道を見つけた人のことよ。
誰かの知恵を借りられない人が、本当のことや大切なことを見つけられるわけがないでしょ。

  ☆    ☆    ☆


だいたい、人間はオオカミの知恵をかりて、
人間らしくなってきたんだから。

原始人はオオカミと仲間だった時代に、
オオカミのように行動して考えることを学んだのよ。

オオカミは集団で狩りをしたけど、人間はしていなかったの。
オオカミには複雑な社会構造があったけど、人間にはなかったし、
オオカミには同性の非血縁者のあいだで誠実な友情があったけど、
人間にはなかった。

いまでもチンパンジーもゴリラもオラウータンも猿も、
どの霊長類にも同性の非血縁者との友情は見られないんだって。
チンパンジーは親子関係が中心よ。

原始人は、オオカミの知恵をかりて人間らしくなったのよ。

チンパンジーや猿やオラウータンがしなくて、
私たちがすることは、犬がしていることと同じことが
いっぱいあるわ。

私たちは、オオカミや犬に、手をかりただけでなく、
知恵もいっぱい借りてきたの。

だから、他の霊長類と人間の違いは、
私たちがいかに犬に似ているかってこと。

ネアンデルタール人が絶滅した大きな原因は、
犬を飼ってなかったからだって。

人間はかかわりのない人と協力する方法を犬から学んだのよ。
人間が友情を発達させたことから、
「集団の間で知識の交換が進み、
生存するうえできわめて有利になった」ってね。

ほんとよ。
アボリジニーのことわざに
「犬のおかげで人間になれる」っていうのがあるんだから。


「手をかりるように、知恵をかりること」も
「手をかすように知恵をかすこと」も、
それは、みんながふつうに生活している中でしか、
覚えられないのよ。

特別な教室? だめじゃん。

だって普通の定義とか知らないけど、
とりあえずクラスの子どもみんなが「当り前の生活」って
感じてるところじゃないと、意味がないでしょ。

その当たり前の生活の中で、
自分が《当たり前にはできないこと》を、
手伝ってもらったり、「通訳」してもらったり、
「知恵をかしてもらったり」する練習をするところなんだから。

「大人が一人しかいない教室? そんなん最低ね。」

「だって、その大人が、ちゃんとした先生なら、
最初から、手をかすように知恵をかすことくらい知ってるだろうし、
知らなかったら話にならないでしょ。

どっちにしろ、大事なのは、
手をかすように知恵をかすことを覚えることと、
手をかりるように知恵をかりることを覚えることと、
それを同じ場所、同じ時間、同じ年頃の仲間のなかで、
まず当たり前の世界として体験することなんだからね。

そのときは、お互いにはじめて同士なんだから、
もめたりケンカになってもそれはちょっとくらい仕方ないわよね。

まあ、腕が折れたりすると困っちゃうけどね。
でも折れたら病院行くしかないんだけどね。

専門家とか特別な場所は、そういう時にこそ行くもんよ」
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