伊織くんの「どうして?」が開く未来(その1)
「義務教育じゃない」。その言葉で、生活保護家庭の子が高校生になることを認めない時代があった。生活保護は生存権・最低生活の保障であり、中学を卒業した子は「働いて収入を得るように努めなければならない」とされた。
それがこの社会の「当たり前」で、誰も疑問に思わない時代があった。
◇
生活保護世帯の子の全日制高校進学が認められたのは、1969年である。
最低生活保障の水準として、日常の生活用品等において「当該地域に置いて一般世帯での普及率が70%を超えるものについて保有を認める」ことが、判断のめやすにされていた。
当時の高校進学率が80%を超えていたため、義務教育でなくても高校進学が認められたといわれる。
くり返す。1969年。51年前のことだ。
(2005年以降は、今日の「高校就学は健康で文化的な最低生活保障として保障されるべきもの」であり、高校就学に要する具体的経費は「生業扶助・高校就学費」として支給された。)
■
2020年。高校進学率は「99%」という数字と「無償化」という言葉で語られる時代。
それでも、なお「定員内不合格」によって教育を拒否される子がいる。「障害」を理由に入学拒否される子がいる。
何が子どもの権利なのか、どの子がその権利を享受することができるのかについて、私たちの感覚はたえず変化する。
そして《権利は「異議申し立て」にたいして開かれ続ける》。
長い間、仕方ないことのように見えていた「残酷な慣習」が、もはや何の意味もない、ただの教育虐待だということが明らかになった。
子どもの権利を明白にくつがえす法律や校長判断は、もはや容認できない時代になったのだ。
伊織くんの「どうして」が未来を拓く。
【全国・定員内不合格をなくし高校希望者全員入学を実現する会】
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