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ワニなつノート

就学時健康診断の拒否はなぜ有効か①


就学時健康診断の拒否はなぜ有効か①


《就学時健康診断》


就学時健診の拒否は、健康診断の拒否ではない。
まして学校や先生の拒否ではない。

(そもそも就健は、学校「行事」ではなく、教育委員会の「事務」である。
会場として学校を借りて、教育委員会が選別のために行っている事務手続きである。)


就学時健診の拒否は、障害児の「選別」の拒否であり、
目的を告げずに「子どもを選別する」、
というアンフェアなやり方の拒否である。

子どもだと思って、文字通り「子どもだまし」をすること。
それが、学校の間違った「子ども扱い」のはじまりとも言える。


小学校に入学することを、
その6年の人生の最高の楽しみとして集まってくる子どもたちを、
「まず、喜んで、敬意をもって迎える」ことが、
学校がまず最初にやるべきことだと、私はおもう。

就学時健康診断は、すべての子どもに対して、
正反対のことをやっているのだ。


就学時健診の拒否とは、子どもの障害を隠して入学する、ことでもない。
むしろその反対に、障害があることを堂々と公開宣言して入学することだ。

就学時健診の拒否とは、ある意味で、健診に行くよりも、エネルギーを使う。
なぜなら、入学の半年も前に、子どもに障害があることと、地域の小学校の普通学級に入学することを、公開宣言することになるのだから。

しかも、そのあて先は、教育委員会のトップである教育長宛だ。
とうぜん、入学先の校長にも連絡は行く。
子どもの障害を隠す、どころか、完全公開だ。

だからこそ、就学時健康診断の拒否は、子どものために有効なのだ。

そのことをちゃんと書いてみようと思う。


(つづく)


     ◆       ◆       ◆       ◆      

  

《就健は受けないけどよろしくね、の申入れ書》(2022年)

 

《その1》

 

「よい子のみんな~」

おかあさんといっしょのノリで。

「ピカピカの一年生になる子、集まれ~」

ガチャピンの声が聞こえてくるような。

世界中から歓迎されている。

そんな心持ちの子どもを、一堂に集めるハレの日。

大人たちが仮面の裏で行っていること。

「ついていけない子はいね~かぁ」

なまはげのノリで。

「特別に支援してあげるよぉ」

冷静に見極める作業。

「友だち100人できるかな」

笑顔の子どもと、

凍りつく子ども。

      

一年生を待ちわびる100人の笑顔と、凍りつく一人。

「分けられた子の痛みはみなくていい」と、子どもたちに教える第一歩。

就学時健診は子どもへの裏切りだと思って、生きてきた。

国連の勧告に「隔離特別教育の廃止」とあった。

その第一歩は、「就学時健康診断」の廃止だとおもう。

「隔離」のために「子どもを騙す」行事はもうやめよう。

       

という訳で。

昨日、二組の親子と一緒に、《就健は受けないけどよろしくね》の申入れ書を、提出してきた(^^)v

 

    ■

 

《その2》

 

「え、そんなことできるの?」

「そんなことしていいの?」

《就学時健診は受けなくていいんだよ》と話したときの定番の反応。

 

「そんなことしたら、子どもが意地悪されちゃうんじゃ…」

そんな心配をする人もいる。

では実際のところ、教育委員会はどんな反応か?

 

      □

 

今回は、就学相談会で出会った二組の親子。

それぞれに、『就健を受けない』ことと、『ふつう学級を希望している』ことを伝える。

 

対応してくれたのは、課長と係長と担当者の3人。

 

申入れ書の中身はこんな感じ。

『就学時健診の通知が届いたけれど、学校保健安全法第十二条に書かれているように、《障害のある子を発見し、特別支援学校等への就学を図る目的》で行われる健診なので、受けません。でも、地域の小学校には行くのでよろしくね』

 

二人の母親の話を聞いた課長の第一声。

「検診の通知が届くことで、不安な思いをさせてしまったことを申し訳なく思います」。

 

驚いた。聞き違いかと思った。

過去30数年の定番は、『私たちは法律で決められたことをしているだけなんです。なんとか協力してもらいらい』だった。

 

ここ数年で、何かが変わってきているのを実感する。

しかし、特別支援教育を選ぶ親子は爆増中!

 

何が変わり、何が変わっていないのだろう?

 

 

       ■

 

《その3》

 

「よろしくね」の中身は三つある。

① 再受診の催促や連絡は一切しないでね。

② 入学通知書の発行が遅れないように。

③ 入学説明会の案内など、入学に係る手続きに不利益が生じないようにしてね。

 

課長は言葉を選びながら丁寧に対応してくれた。

「催促しないというのは《お二人について》ということで良いか。当日、忘れていたという方もいるので」と。

また、入学説明会や購入品のお知らせなどは郵送してくれるとのこと。

 

通知の発行についても、「これから申し入れ書を教育長に報告して…、決定するのは教育長なので」と言葉を選びなら、本人と保護者の意思を尊重し、同じ日に発送するという基本的な姿勢について説明してくれた。

 

         □

 

昔と違うのは、言葉遣いだけではない。障害のある子がふつう学級を希望して、振り分けのための就学時健診を受けないことを、ごくふつうのこととして受け止めている雰囲気が別世界のように違う。

だから、課長がふつうに子どもたちにも話しかけてくれる。

 

「この前、エレベーターの打ち合わせもしていましたね」

子どもが「青いのを頼んできた」と答えると、「青に決まったんですか?」と笑顔。

 

色はまだという話の流れに。「おじさんからも、係の人に青でと頼んでおくね」言ってくれる。

先日の小学校のバリアチェックの後、「(入学を)待ってるね」と子どもに声をかけてくれた教頭を思い出した。

 

学校でも教育委員会でも、ふつう学級を希望する親子に、ごくふつうの対応をしてくれる人が増えたなと実感する。

 

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