『障害児と共に学ぶ』
アリソン・ヴァーハイマー著 明石書店 700円
≪人権問題としてのインクルージョン≫
★障害児は普通の制度や地域社会から排除されるべきではないし、
その障害を理由にして分離されるべきでもない。
これは、基本的人権の問題なのである。
これまで、障害を持っている子どもと大人に対する分離が続いてきた。
しかし、人種や性の違いを根拠にした強制的な分離を
もはや許容することのない社会では、
こうした分離は全く受け入れられるものではない。
分離はすべての人々に影響を与えるものであり、
だからこそ、すべての人間の問題として
理解されなければならないのである。
★障害を持っていない子どもたちは、
障害を持った子どもたちから分離されることで
ハンディキャップを与えられているのである。
したがって、われわれすべてが、
分離がもたらす偏見の結果に悩んでいるのである。
★人権侵害であるのに、
心地よい言葉でそれを隠してしまうという、
憂うつにさせられる傾向が見られる。
「強制的な分離」の現実を認めるよりも
「特別」教育について語るほうが容易なのである。
われわれはすべて「特別」と感じるのを好むのである。
「特別」という言葉は私たちの気分を良くするが、
障害児の家族が証言するように、
いわゆる「特別教育」は排除されることの痛みと深く関わっている。
障害をもつ人々と持たない人々との
日常的な関係が否定されるということは、
不健全なことであり、受け入れがたいものである。
インクルージョンというのは、
違いを理由にして分離されてはならないという
基本的人権の問題である。
その認識を誤ると、
人権認識に欠ける慈善や善意の行為として、
非障害者が障害を持っている人々を
「自分たちの世界」に招き入れてあげる、
という状況が生み出されてしまうのである。
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やすハハ
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