みんなが3階の図書室に行く。
階段の下で、車椅子に乗った6才の子どもが助けてと言っている。
それは、みんなと一緒に3階の図書室に行きたいということ。
それに対して、この社会は助けることに「条件」をつける。
「助けてあげましょう。
ただし、あなたが助けを求めているのは、
図書館に行って勉強するためだから、
図書室であなたにあった教育を受ける助けが必要でしょう。
それなら、バスで30分のところに、
あなたの個別ニーズに合ったいい学校があります。
エレベーターもついているし、図書室もある。
あなたに合った先生もいる。
そこでなら、あなたに合った教育を受けられる。
そういう形でなら、私たちはあなたを助ける用意があります。
さて、助けはいりますか?
助けてほしいですか?」
「・・・」
「そうですか。
どうしても、このエレベータのない学校の図書室に行きたい、
と言うんですね。
それは、わがままで、自己中心的な考えですね。
わかりました。子どもに何を言っても仕方ないですね」
「・・・」
「でも、お母さん、
子どもにとって必要な教育を受けさせないというのはどうでしょうかね。
私たちが用意した「支援」を受けさせないということは、
あなたが子どもを差別しているということになりますね。
私たちの用意した支援、私たちのやり方での支援を使って、
素直に助けてもらいなさい。
障害があって、どっちみち人の助けを必要としているのだから、
助けてあげようという人の善意は、ありがたく感謝して受け取りなさい。
子どもの気持ち?
それはもう私たちが考えてあります。
子どもの幸せのために特別支援教育を作ったのですから。」
それは、「助ける」ことではない。
それは、「支援」ではない。
その上、その「支援」を受けないことが、
「差別」にあたるという条例。
これほど、屈辱的な支援の在り方があるだろうか。
これほど、威圧的な差別をなくすための条例があるだろうか。
私たちは、難しいことを言っている訳じゃない。
目の前に「困っている」子どもがいるんだから、助けてあげろと。
「助けて」と手を伸ばしている子を、助けろ。
助けるのに、条件をつけるな。
そう思うだけ。
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