シリーズ《ふつう学級の介助を考える》
《介助とコミュニケーションの原則》
就学にあたって「一番大切にしたい」ことは何か?
「一番は、この子の気持ち」。それ以外にない。
先生の仕事がスムーズにいくために、この子の気持ちを抑えるのが一番ではない。
少なくとも、この子の「いまの気持ち」、「不安な気持ち」を聞いた上で、学校のルールを伝えるのでなければ、すべてはこの子の気持ちを「なしにしろ」と迫るものになる。
それでこの子に、「コミュニケーション」の能力がないと言えるか?
介助とコミュニケーションの原則は、相手を理解したいという敬意を持つことに他ならない。
この子の理解は、この子が生み出し、私に教えてくれるものであって、私の頭が作り出すものではない。
どの教科書にも、この子の名前は載っていない。
この子の理解は絶えず、「この子が生きる姿」の後から、私にやってくる。
理解に、終わりはない。
だから、つながり続けることが、理解という敬意には含まれる。
つながり続けること、やりとりをし続けるということ。お互いに、共に。
ふつう学級で安定した自分の居場所を持っている子は、何が自分の気分を良くさせるかを学ぶ。
何が自分(と他者)の気分を悪くさせるかを見つける。そうして年月を重ね、「主体感覚」を獲得しつつ、自分の行動が自分の感じ方や他者の反応の仕方を変えうることを体験として理解していく。
また、安定した居場所を持っている子どもは、ひとりで大丈夫な状況と、助けを必要とする状況の違いを学ぶ。
困難な状況に直面したときに、自分で自分を助けることができる(能動的な役割を果たせる)ことを学ぶ。
これらは一生を通じて、お互いに、共に、敬意あるかたちで向き合うための鍵になる。
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