「なぜと問う」大人と「問いをもたない」子どもたち⑥
高校入試は「公平・公正・平等」に行われていると、多くの国民が信じている。
その信頼は、どれだけの子どもの屈辱と犠牲があれば修正されるだろう。
30年分の犠牲ではぜんぜん足りないらしい。
「テストの公平性」を守れば、子どもの「教育を受ける権利」を剥奪していいという思想を、校長はどこで学んだのだろう?
「医療費を抑えるためなら、社会に貢献できない命を奪っていいという思想を、医師はどこで学んだのだろう?
私たちがそれに異議申し立てをするには、どうしたらいいのだろう?
行政や専門家は、上手に「公平・公正」という目隠しをする。
「犠牲」になるのは、いつもごく少数の子ども。
私たちが、1%の犠牲を受け入れるなら、今のままが続く。
「いつだって1%くらいの人間が犠牲になるのは仕方ない」と目をつぶれるなら、今のままが続く。
毎年、毎年、15歳になった子どもの中から、1%足らずの犠牲を社会が続く。
一人の子どもが孤立し犠牲になるのを、黙って見ていられないなら、行政や校長、専門家に対抗できる力を持たなければならない。
無力なのは自覚している。だけど、もうこの年になって、一人の子どもが犠牲になるのを黙って眺めながら、生き延びる人生はいらない。
この国の今の高校入試制度に、「公平・公正・平等」はない。
子どもを守る意思も、正義もない。
15歳の子どもを見捨てる「生け贄の儀式」に成り下がっている。
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