ワニなつノート

高校相談会 (その2)



先日の相談会のアンケートが一通届きました。

相談会ではいつも話せる内容も時間も限られます。

千葉の会では、25年間、131人の子どもたちが、330回の受験に挑戦してきました。
222回の不合格(そのうち64回の「定員内不合格」)にも挫けず、108人が高校生になりました。

その取り組みの積み重ねは一人一人違います。
障害の種類もさまざまです。
その違いを含め、受験の制度や中学への働きかけなど、ほとんど説明不足で終わってしまいます。

でも、今回のアンケートを読んで、一番伝えたい思いは伝わっているのかもしれないと思えました。


            ◇


①今日の相談会で印象に残ったことを教えてください。

《どんな障害があっても、高校に行くという事は当たり前であるという事。
そして決して諦めることなく、子どもの希望を受け入れ、励ましていくという姿勢を、話をきいて教えてもらいました。
子どもはまだ2年生ですが、今後受検の際に中学校側や高校の方で理解が得られるか漠然と不安に思っていましたが(高校は義務教育でないし)、今回話が聞けてよかったです。
そして参加した方のお話も聞けて良かったです。


②今日の相談会で参考になった情報はどんなことでしたか?

《全ての話が、ふだん聞くことのできない内容だったので参考になりました。
障害があっても、たくさんのお子さんが高校生活を送れている事を知ることができ、とても勇気づけられました。
障害があるということで、相談相手や環境に恵まれず、抱え込んだりあきらめてしまう人は多いと思います。ですから、会の存在はとてもありがたいと思います。》


③今の時点で、子どもの進学について考えていることを教えて下さい。

《子どもは持病があるので、今後体調面での不安があります。
勉強をがんばっているので応援してあげたいですが、体調を崩して高校すら通えなくなるかもしれないと私自身思って、通信制の高校なども視野に入れて考えていました。
でも、今回参加させてもらって、親が不安を抱えているのが一番いけないと思いました。
目標があれば違ってくると思うので、前向きに考えたいと思います。
やはり高校に通わせてあげたいです。》


        ◇


相談会の後はいつも「あれもこれも言い忘れた…」と後悔するのですが、こうして「障害とか関係なく、ただ子どもの思いを大切にする親の存在っていいな」と感じられるのもまたいつものことでした。

特別支援教育を勧める人たちの、「普通学級ではできないことばかりで自己肯定感が持てませんよ」という言葉のいかに浅はかなことか。
その言葉は、「私たちは、できない子どもを肯定しません」と言っているに過ぎません。

このアンケートにあるように、障害があっても、できないことがあっても、「本人ががんばっているのだから、応援してあげたい、高校に通わせてあげたい」と願ってくれる親が味方でいてくれることが、どれほど子どもの「自分をまるごと大切に思い受けとめる力」につながることか。

自己肯定感とは、「先生が評価してくれるから育つ自己評価」ではありません。
どんな自分であっても、これがいまの自分であるとまるごと受けとめる力のことです。

テストの点数が取れないこと、そんなことは子ども自身いやというほど分かっています。
それでも、みんなといっしょに高校生になりたいという思いを、あきらめることのできない願いの力こそが、一緒に育ったことの中身であり共に生きる思いそのものです。

点数が取れないこと、テストが苦手なこと、それでも高校生になれるということが、いかにまるごとすべての自己肯定につながることか。

28年間、障害児の高校進学に関わって、私が感じてきたのはまさにそのことでした。
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