「なぜと問う」大人と「問いをもたない」子どもたち⑤
《この子の魂を壊そうとした校長先生へ》
あなたの教師としての人生の中で、たった一日、入学試験を受けに来ただけの子ども、かもしれない。
この子はあなたの敵だったのですか?
あなたが何十年の教師人生の中で教え育ててきた生徒たちと同じように、この子も一人の生徒であることに違いはないのです。
この子にも、小学校から中学卒業まで、一緒に学んだ多くの同級生がいて、その仲間と共に同じようにこの子を見守り教え育ててくれた先生たちが何十人といるのです。
あなたが、今日、定員は空いているがあなたの座る席はないと、教育を受ける機会を奪った子どもにも、どうして「あと3年、同じ教師として、すべての子どもたちを守り育ててはくれないのか。私たちができたことが、どうして高校の先生たちにできないのかと、子どもと一緒に悔しい、残念だと言ってくれる中学校や小学校の先生たちがいます。
それが、私たちの支えであり、この子がここまで立派に成長したことの誇りです。
あなたが、今日、「定員内不合格」という判断をしたことで、この子も、私たちも、あなたの教師としての人生を残念に思うだけです。
あなたは、この先、教え子たちの前に、「子どもの人権を守る教師」として立つことはもうできません。
いつか、あなたの教え子の子どもが、高校の門をたたくとき、あなたと同じような校長に出会わないことを願うことでしょう。
わが子が受験する高校の校長が、すべての子どもに、平等に学ぶ権利を与えようする人であり、教師であることを願うことでしょう。いまの私たちの願いと同じ願いを抱くでしょう。
あなたは、そのすべてを敵とみなしたのです。
あなたを守るものは、子どもの人権を認めなかった時代の法律と古い教師の慣習だけです。
それはまもなく、これからの子どもたちに完膚なきまでに否定されることでしょう。
あなたには、この子の魂を壊すことはできません。この子の魂をかすり傷ひとつつけることすらできません。私たちが守っている限り、この子はあなたの「不平等で、不正義な判断」に屈することはありません。私たちが守ります。この子とこの子の同級生たちに支えられた私たちが守ります。
「どうしてなんて思わないよ」
そう言ってくれる子どもたちに支えられて、私たちが守ります。
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