ワニなつノート

就学相談会の準備(その5)

就学相談会の準備(その5)


今月の『たこの木通信』に、Nさんが「ワニなつ」のことを書いてくれています。
Nさんは、この春、「たこの木」に就職した新人さん…のようです。
これが、とっても面白かったのです。

つい最近、私の書いていることは、「大勢の人」に理解してもらえることではないらしい…と書きました。
その気持ちが変わった訳ではないのですが、「伝わる人には、確かに伝わること」があり、その中身について、もう少し丁寧に考えなきゃいけないなーと思いました。

で、ここ数日、いろいろ考えながら書いていたのですが、まずはそのまんま紹介するのが一番だと思えてきました。


      ◇      ◇      ◇


【入所施設が人権を侵害しやすいというかまぁいろいろ管理して自由とか奪っちゃうんじゃない?っていうのはなんとなく想像しやすい。
だったら、地域で自分のペースで生きていく方が良いんじゃないだろうかってのもけっこうすっと理解出来る。

私が今まで薄々疑問を感じていたのは、どうして普通学級が良いのかということ。
普段は「当たり前」を疑わなきゃあなんて言っているくせに、なんで地域の学校に行くことは「当たり前」なんだよ!と思っていたのだ。
よく言われる「その子に合った教育を」ってそんなに間違っているのかなぁ、そんなに特別支援教育ってダメなの?

と、もやもやしていたのだけど。
たまたま、……関連するブログも読んでいたところ、画面の右側にあるリンク集になんとなく目がとまり、『ワニなつノート』というのを開いた。

ちょうど開いたときの記事に書いてあった言葉が「寄る辺なさ(helplessness)」。
《帰るべきクラス、帰るべき学校、三十人のクラスメートを失う子どもの心の状態もまた、「よるべなさ」といえる。帰るべきクラスも学校も地域にあり、友だちもそこにいるのに、そこから遠ざけられていく子どもたち、そのようにして生きられる環境を奪われた子どもたちのよるべなさ》

この「寄る辺なさ」について書かれた一連の記事があって、これを読んで初めて「分けられる子ども」側のことを考えたんです。

このブログにはさらに、子どものニーズの中心にある「みんなと一緒」を手放して与えられるのが特別支援教育と書かれていて。

自分の小学生の頃を振り返ってみると。
どうして小学校に行ってたのか。別に何かしたいだとか出来るようになりたいだとか考えて行ってたわけではないなぁと。
「今日の図工楽しみ!」ぐらいは考えたけどそれって学校に行くという前提があってのことだ。
朝の何時に誰々ちゃんと待ち合わせして学校行って、授業受けて、昼休みはみんなで遊んで、放課後は習い事に行って…という毎日が疑いようもない当たり前だった。
理由や目的が入り込む隙なんて無かった。

そうか。学校なんてそんなものなのか。
何も出来るようにならなくてもクラスの中で「そこにいるだけ」で良かったんだ。

私はそんな当たり前空間からはじき出されるなんて考えたこともなかったけど、「障害児」がおかれてる現状とはそういうことなのか!とようやく少し実感を持って分かった。

と考えると、「その子に合った教育」って親が子供を大事に想っているからこその判断なのだろうけれど、子どもからすると的外れも甚だしいなと思ったわけです。
この「寄る辺なさ」というどうしようもない寂しさを感じる言葉によって私はようやく「みんなと一緒が良い」の意味がわかった気がします。………】

(『たこの木通信』296号より)

(※ …これ無断転載なので、とりあえず名前は伏せます(・.・;)

      ◇      ◇      ◇


見事だなと思います(>_<)
今風にいえば、「わいるどだなぁ」って感じです。
新卒らしいので、22、23の人だと思います。

初めて「分けられる子ども」側のことを考えたと言いながら、「自分の小学生の頃を振り返ってみると。どうして小学校に行ってたのか…」と、まっすぐに自分のことに引き寄せられる感覚はすごいと思いました。
それは、障害という言葉に惑わさず、「同じ子ども」という実感をもともと持っている人だということなのでしょう。私にはなかった感性です。

『学校は、子どもが、「利用」するもの。一日1時間だろうが、勉強ができなかろうが、学校での生活、授業という生活を、子ども自身の生活の一部として利用するもの』ということを、私は長い年月をかけて石川先生から学びました。

それを、Nさんは、「そうか、学校なんてそんなものなのか」と、あっさり見抜きます。
やっぱり、わいるどだなぁ。


今から、出かけるのでつづきます。

コメント一覧

森 晴子
yoさん、退院されたかな?まだかな。体力、気力、もりもり、、
、戻りますように・・!
yo
森さんへ

石川先生は、私の師匠で、
石川憲彦さんのことです(o|o)

以下に、いくつかの記事を紹介します。
それと「やっちゃんがいく」の解説も石川先生ですよ。

http://sun.ap.teacup.com/applet/waninatu/20120416/archive

http://sun.ap.teacup.com/applet/waninatu/20100522/archive

http://sun.ap.teacup.com/applet/waninatu/20111016/archive


森 晴子
石川先生とは?   以前、札幌にショウガイジを普通小へ!の会
に御呼びした先生だろうか。確か石井先生というお名前だったよう
な気がしますが、、、
ai
いいね!
森 晴子
おはようございます。さて、『たこの木通信』のNさんの記事、何
度も読み返しました。これからこれも、小学校にファックスします
。先生方にも読んで欲しいからです。

 そう、昨日の6時間目は年に2回ある『性教育』の1回目でした
。精子、卵子、受精、愛、、、、3億の精子の中から一番優秀な精
子が結びつける、愛の奇跡!です。ビデオを見ました。

 昨日のビデオではなかったけれども、私も昨年良い年して知った
事があります。

 今までは、3億の中で一番最初に卵子にたどり着いた精子が受精
する、と想っていたのですが、本当はそうではなく『一番ラッキー
な精子』が受精出来る、という事実でした。皆さんはご存知でした
か?これは常識?

 卵子の壁は硬くて、たくさんの精子が体当たりして体当たりして
、その壁を崩して行くのだそうです。そうして偶然に崩せた直後に
到着した精子が受精出来るのです。まさにラッキースター☆!

 一番運の良い、生まれるべき精子、子どもです。

 そんな補足をビデオが終わった後で私の周りに集まって来た女子
にしていましたら、一人の女子が『一番優秀でラッキーな精子なの
に、ショウガイがある子が生まれるのはどうしてだろう、、、』と
素朴に呟きました。

 実は私もその話を聞いてから、同じ事を想っていました。答えは
ないですが、ショウガイ=不幸ではない、と言う事だけは、さくら
を育ててるこの12年で体感として知れた事です。


 生まれた、生まれた命。3億の中のたった1つ、、、、、神秘。
生まれるために生まれた、それだけなのでしょう。


森 晴子
 さて、今日も学校に行ってきます。さくらは平常心。もくもくと
しています。楽しい時は笑顔ですが。

 主に表情がくるくると喜怒哀楽を表現してくるのは、この私です


 学校に行きたい、行く、と今日も私が用意して行くのは、行きた
いからです。嫌な思いは少し過去にしましたが、それも乗り越えま
した。乗り越え、ステップアップする喜び、楽しさ、、、さくらは
何もないんですけれど。実際にあのさくらは何を感じて、何を考え
ているのかな、、、と想います。


《ショウガイ》と大きくひとくくりに世間はする一言ですが、さく
らを見ても、友人のたくさんのショウガイのある子を見ても、全員
違う。喋れる、喋らない、歩ける、歩けない、をとっても違う。本
当にみんな違う!


 ワニさんを読んで(全部は読めていない。おいおい読みます。)
、昨年か一昨年くらいに出会ったお母さんの困惑な顔を思い出して
います。


 息子さんは6年生でした。ある日、学校に呼ばれ特別支援級に行
ったらどうか、、としつこく冷たく言われて今は他校の支援級にう
つった、、、と言いました。驚きました。


で、息子さん、5年以上も普通級でやってきたのに、今、そんな事
になってどうしてるの!?と聞きましたら、

最初は泣いて、『どうして!?やだ!僕は良い子になるから!』と
行っていたけれど、今は、、、落ち着いて来た、、、、と。

彼も心に深い傷をおった・・・?

ワニさんを読んでいて毎日この事を想います。お母さんも傷ついて
いました。疲れ果てて、、、いました。私は滅多に会わないですが
、一目見て感じました。

 彼は今、、、中学でしょう。どこに進学したのかな、、、、、
森 晴子
寄る辺なさ・・・読みました。この若い彼の正直な文章、いいです
ね。気持ちの変化が伝わってきました。読めてよかったです。

 さて、昨日は1年ぶりくらいに懇談会に出ました。いつもは出な
いんです。出る気持ちにならなかったし、必要を感じなかったし、
出るのにさくらを預けてからなので、それも面倒だったからです。

 が、今回は『出よう。出たい。』と10日くらい前から思い、友
人にさくらを頼む手はずをし、昨日久しぶりに参加しました。

 参加人数は担任の先生も入れて12人です。

 最後に一人ずつ、最近のお子さんの様子、心配事など、なんでも
お話ください。との事で、私はこう言いました。

『今、さくらの中学をどうするか本当に悩んでいます。養護学校も
見てきました。良い所でした。が、、、あそこにさくらを入れたい
とは思えない、近所の八中に行かせたいと想う自分がいました。今
は毎日朝から寝るまで、ショウガイってなんだ?健常ってなんだ?
人に幸せって何だ?と考える毎日です。さくらの訓練を過去10年
間の間に手伝いに来てくれた人は350人(超)です。皆さんショ
ウガイのない方ですが、実にいろんな悩みを抱えていました。で、
我が家に何かを求めて来て、笑顔で帰って行きます。そんな体験か
ら私は更に『ショウガイ?・・人生ってなんだ?』と思う訳です。
今、私がこのような事で悩んでいる事を知って欲しいです。』


 これは喋ると3分くらいです。みんな真剣に聞いてくれていまし
た。担任の先生は(40代・男性)とても真っすぐな真剣で優しい
瞳で見てくれていました。そして、『とてもよく解ります。まだ日
があります。じっくり考えて行きましょう。』と言いました。


 私はこれを言いたくて行ったので、心が満足しました。正直な心
の動きを、昨日の私は世間に向けて言えたという事。先の事はまだ
わからないけれど、私は今日もいろいろ感じるでしょう。

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