ワニなつノート

抗議文



ある抗議文です。
学校名、本人名はここでは伏せます。
中身を読んで下さい。
全国どこでも、当たり前のように行われている
「定員内不合格」の一つです。


☆   ☆   ☆


入学者選抜に係る抗議及び申し入れ書

(前文省略)
2008年3月25日、県立A高校・定時制課程で
入学者選抜試験「追加募集」が行われました。
今回の募集で、県民に公約されたA高校定時制の「定員」は
16人でした。

つまり県立A高校・定時制では、16人の椅子が空いているので、
あと16人の教育を行うことを県民に対し、
公約し、募集し、入学選抜試験を行ったのです。
16人の生徒への教育を行う教員と施設を準備してあるから、
追加募集を行ったのです。

そこに、当会の一人の16歳の子どもが応募しました。

Mさんは2月6日の特色化選抜でB高校を受験しましたが、
定員オーバーの状況で不合格でした。

2月28日・29日の学力検査等による入学者選抜試験で、
B高校を受験しましたが、
8人定員オーバーの状況で不合格とされました。

3月18日、Mさんは2次募集でC高校を受験をしましたが、
2人定員オーバーの状況で不合格とされました。

そして、最後の機会になる3月25日の受験に臨んだのです。

16歳の子どもが2ヶ月で4回目の受験に真摯に取り組みました。
受験機会の多い私立高校等を選んでの受験ではありません。
一回一回が後のない状況の公立高校を受験し、
不合格にされ、不合格にされ、不合格にされてきたのです。

卒業式の日にも行き場が決まらず、
風邪で体調を崩しながら、前日病院で点滴を受けての受験でした。

どうしても高校生になりたい。
高校で勉強したい、という強い意思と意欲と、
高校生活への希望を持って受験に臨んだのです。

16名募集で、受験したのは1人でしたが、
26日の発表では不合格という結果でした。

不合格の理由を校長に尋ねたところ、
次のような答が返ってきました。

「高校の教育を受けるに足る能力・適性を見て私の判断で決定した。
高校は義務教育ではない。
高校教育を受けるに足る能力が当然求められる。
一定の能力がないときびしい。」

しかし、高等学校学習指導要領には、
「学習の遅れがちな生徒,障害のある生徒などについては,
各教科・科目等の選択,その内容の取扱いなどについて
必要な配慮を行い,生徒の実態に応じ,
指導内容や指導方法を工夫すること」とあります。

A高校では、2005年にも当会から一人が受験し、合格しています。

当時のA高校の校長は、特色化選抜と学力選抜で不合格になり、
2次募集の試験の前に見学に訪れた親子に、次のように説明しました。

「どうぞおかけ下さい。大変な努力をされましたね。
…定員が割れている場合、点数だけでは合否を決めないですよ。
Nさんが今まで生きてきたことと、
努力してきた心を、我々は見ていくのです。」

私たちは、1989年以来、ノーマライゼーションの実現を求め、
普通高校進学を願う障害児・者が、
障害による差別や不利益を受けることなく希望した高校へ進学でき、
同世代の仲間と共に高校生活を送れることを願って活動し、
県教育委員会との話し合いを重ねてきました。

今年は当会から8人が受検に臨み、7人が合格しています。

また、この3月で56人が高校を卒業しました。

昨年までに、77人が千葉県の公立高校に入学しているのです。

今回の入試選抜の内容は、作文と面接です。
これだけで、「高校教育を受けるに足る能力・適性がない」と
判断するのは、校長の障害児に対する
差別と偏見の現れでしかありません。

私たちは、Mさんがなぜ不合格にされたのか納得できず、
校長に理由を聞き、
B高校の校長、教頭は、本人に
「がんばったね。残念だったね。また次がんばってください」
と話しました。

Mさんはその言葉を聞き、「はい」と答えました。

C商業高校では、教頭が、
「申し訳ないが不合格とさせていただいた。Mさんがんばったね」
と話しました。
Mさんは、「残念です。ごめんなさい」と答えました。

ところが、A高校の校長が、本人を前にして言った言葉は、
「本人に理解できますか?」という一言からはじまりました。

前回までは、たとえ不合格という結果でも、
自分に対し、話をする先生に対し、
まっすぐに顔をあげ、答えていたMさんでしたが、
今回は顔を上げようとはしませんでした。

こうした対応は、校長が、
受験した子どものことを全く理解できておらず、
障害に対する「偏見」を入試前も入試後も、
変わらずに持っているということに他なりません。

この程度の理解も持てずに、
「高校の教育を受けるに足る能力・適性がない」という
判断を下したことは、明らかに、偏見と差別に基づくものです。

高校入学にあたっては選抜制度があり、
入学許可の決定権は校長にあることになっています。
しかし、校長個人の差別意識や障害者への偏見によって、
子どもの教育を受ける権利が奪われていいはずがありません。

県立高校が県民に後期中等教育を行うところであるならば、
県立高校が、生徒に人権について教え、
差別について考えさせるところであるならば、
県立高校が、真に教育を行う場所であるのなら、
教育を必要とする子どもを受け入れるべきです。

今年度、4回、5日間に渡る受験に臨み、
高校生になりたいという意欲と希望を訴え、
がんばってきたMさんが、被った今回の差別的な判定と、
A高校校長の差別発言に対し、
私たちは総身の怒りと悲しみを持って抗議するとともに、
Aさんの被った不利益を回復する手立てを要求いたします。

     記

1.A校長の、16名募集でただ一人受検に望んだ生徒を
  不合格とした判断は誤りであり、その判定の取消を求めます。

2.A高校定時制において
 16名分の教育を行なうという県民との約束に対し、
 ただ一人の教育を行なうこともしない姿勢は、
 公立高校としてあまりに不誠実であり、
 また障害への無理解偏見による判断を下に下した
 不利益を回復するため、
 再度の追加募集の実施を求めます。

3.A高校校長の差別発言に対する処分及び
  本人への謝罪を求めます。


                          以上
2008年3月31日
県教育委員会教育長様

コメント一覧

ワニなつノート
抗議文、原文を送ります。
県連の今回の会報にも原文が載っています。

「定員内不合格」という「子ども差別」「障害者差別」の問題は、もっともっと広く知らせて、
「問題」なのだということを知らせていきたいですね。

通信の大幅な定員内不合格って………、
有り得ないですよね。

momomama
抗議文参考にさせていただきます。

香川は、通信を受けた子も不合格になりました。

彼女は足に軽い障害があり、地域の小学校に通っていたのですが、高学年でいじめをうけ、近くの知的の養護学校に転校しました。その子に合った教育をしてくれると言うので、親もそのほうがいいと思ったそうです。
しかし、昨年、高等部1年になって自分には知的障害がないということに気づき、自分がいるべき学校でないと思い、1年の夏に退学して、高校に行くことにしました。が、知的の養護学校だったので、中学校の義務教育をうけていません。教科書も持っていない状態で受験用のテキストなどを会の人があげたりして、家庭教師をつけて受検に望みましたが、不合格でした。大幅な定員内不合格でした。
 そして、今年、通信制高校を受検、不合格でした。。
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