その1%は助ける価値があるか? (その2)
《最初にめざしたもの》
高校進学率が99%と聞いても
いまは誰も驚かない
高校に行くのは当たり前だから
戦後70年
日本は豊かになった
高校進学率99%
最初にめざしたものまであと1%
◇
昭和24年4月30日
文部省学校教育局
『新制中学校・新制高等学校 望ましい運営の指針』
[第一四 入学者の選抜]
新制高等学校で入学者の選抜を必要とする場合は、民主的かつ教育的で、その収容力の実情に最も即した選抜方針をもたなければならない。
1. 学校は、選抜を根本的には望ましくないものであると考えているかどうか。
新制高等学校は、入学者の選抜はそれ自体望ましいものであるという考えをいつまでももっていてはならない。
入学希望者をできるだけ多く、全日制か定時制かのどちらかに収容することが、結局のところ望ましいことなのである。
新制高等学校は、その収容力の最大限度まで、国家の全青年に奉仕すべきものである。
これまで一部の人々は新制高等学校は、社会的経済的および知能的に恵まれたものからよりぬいた者のためにのみ存在するきわめて独善的な学校であるべきだと実際に信じていたが、学校の教師・校長または教育委員会の委員や教育長が理論的にも実際上にもこの考えに同意するようではいけない。
選抜をしなければならない場合も、これはそれ自体として望ましいことでなく、やむをえない害悪であって、経済が復興して新制高等学校で学びたい者に適当な施設を用意することができるようになれば、直ちになくすべきものであると考えなければならない。
◇
最初にめざしたものまであと1%
「入学希望者をできるだけ多く、全日制か定時制かのどちらかに収容することが、結局のところ望ましいこと」
まで、あと1%
「その収容力の最大限度まで、国家の全青年に奉仕すべきものである」まで、
あと1%
「社会的経済的および知能的に恵まれたものからよりぬいた者のためにのみ存在するきわめて独善的な学校」でなくなるために、
あと1%
「やむをえない害悪」をなくすために、
あと1%
「経済が復興して新制高等学校で学びたい者に適当な施設を用意することができるように」なったのだから、
あと1%
いま、その1%を「いない」ことにして扱う社会に私たちはいる。
その1%が「みえない」時代に、私たちはいる。
その1%は助ける価値があるか?
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