ワニなつノート

ハンセン病とともに心の壁を越える




「差別」についてのノート(1) ≪ハンセン病≫

私は、いま、思っている。

≪特別支援教育を受けさせない親は差別者≫だと、
条例で親を脅迫する行政に対して闘わないで、
どうやって、差別をなくすことができるだろう。

「障害者差別禁止のための条例」????
≪特別支援教育を受けさせない親は差別者≫
だという解釈が文言として、入っている限り、
私は、
この「条例」こそが「差別」だと思う。


その「差別」の問題を考えるために、
ハンセン病のことをまず書いておきたい。
なぜ、100年近く、
≪国の差別≫が見過ごされてきたか。


≪国家が生み出した差別感ということについて≫

『ハンセン病は病変が顔や手足など
 人の目に触れる所に現われ、
 身体的変形が後遺症として残る。
 このため、「業病」「天刑病」などと恐れられ、
 古来から偏見差別の対象とされてきた。

 ところが、明治以降になると、
 差別感は明らかに性格が異なってくる。

 国の患者収容の徹底強化によって、
 過度の恐怖心を持つようになった。

 その結果、社会的な差別偏見が増強された。

 社会防衛のため、
 僻地・離島に作られた療養所自体も。』
 (熊本地裁判決より)
                    (p160)


≪「人生被害」という言葉≫

言語に絶する人権侵害に対し、
判決は人生被害という言葉を使った。

…杉山正士裁判長は、のちにこう語っている。

「隔離被害が長期化した原告には、
 そのような表現しか見当たらなかった」
                     (p160)


≪医師・専門家の責任について≫

「ハンセン病は隔離の要件を満たす病気でもない
 にも関わらず、日本は隔離政策を維持し続けた。

 その原因は『専門家』と言われる
 医師の不勉強、怠慢に尽きます。

 中には、志ある医師もいたが、
 学会では異端児扱いされていたことが
 あらためて分かった。」

「(国賠訴訟の判決後も)
 残念ながら、少しも変わっていない。
 『結果として隔離は悪かったが、
 当時はやむを得ない面もあった。
 われわれは、患者たちのために
 最善の努力を尽くしたんだ』
 との意識がいまだにぬぐえていない」
                       (p143)


≪宗教者の責任について≫

宗教者たちの根底にあるのは「救らい意識」

世の中で最も哀れな人たちに、
救いの手を差し伸べなければならないという思い。

入所者には隔離の現実を受け入れて、
ここで一生を終えることこそが、
あなたたちにとって救いなのだと。

隔離に抗うのではなく、
受忍、受容、救済という意識へ導かれた結果、
入所者は内面に自ら囲いを作らされた。

隔離も試練へとすり替えられた。
隔離の中での救済という自己完結に陥ってしまった。

断種、堕胎、などの人権が奪われていく隔離の現実に、
覆いをかぶせて見えなくした。

ある意味、
これこそが究極の人権侵害だと思います。
                       (p150)


≪メディアの責任について≫

…こんなひどいことを、
なぜ新聞記者は見逃してきたのか。

…社会の欠陥や法の足りない部分を指摘し、
問題提起するのが記者の役目だとすると、
担うべき役割を放棄してきたと言わざるを得ません。

…多数を相手にしていて、少数の問題に冷たい。
世論が、関心を持って初めて取り組むという
悲しい現実がある」
                         (p153)


国がなぜ強制隔離を続け、
差別政策を取ってきたのか。

私たちはハンセン病問題から、
十分汲み取っていないし、
学ぶべきものは多い。

どういう社会を作っていくかを考えるときも、
大切なヒントを与えてくれるだろうし、
教訓化しないままかこのこととして
忘れてしまうのはもったいない。
                       (p157)


以上、引用は、
『ハンセン病とともに心の壁を越える』
熊本日日新聞社編
岩波書店 より。





私が、この本から学んだこと。

国も、
国会議員も、
医者も、
宗教家も、
弁護士も、
新聞記者も、
「ごく少数者の人権侵害」には
鈍感であるということ。

だから、誰も耳を傾けないとしても、
当事者が声を上げ続ける以外に
道はないということ。

そして、この子たちは
永遠に声を上げることのない
子どもたちだということ。

道はどこに?

コメント一覧

やすハハ
そっか、千葉の条例のもやもやがすっきりしてきました。どうもです。
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