ワニなつノート

普通高校に絶対に入れない子を作り出すための計画(その2)


普通高校に絶対に入れない子を作り出すための計画(その2)


明らかに、理不尽で不正義なことが、
子どもたちに行なわれているのを目の当たりにして、
そのことを変えようとしないのはなぜでしょう?

「変えられない」理由、条件が一つもないのにです。

建物もある。
無償化という予算もある。
教員も余っている。

むしろ、「変えない」ために、
莫大な予算を使っているのです。
しかも、「養護学校の教育環境は最悪の事態」だというのです。
(神奈川県特別支援学校校長会)

後期中等教育は、
小学校中学校の教育と同様に子どもに保障されるべき
というのが、世界の子どもの人権の中身の一つです。

だからこそ、少し前まで「就学猶予・免除」をして、
「教育の対象外」と見てきた障害児に対しても、
小中の9年間はもちろんのこと、
その後の3年間、後期中等教育の保障を実現しているのです。

それでも、障害のない子どもたちには、
1%の「普通高校に絶対に入れない子」を作り出すための
「競争」を強制するのです。

なんのために?

どういう教育的意味があって、それを行なうのか。

意味などないことを、本当はみんな知っています。


12年前の国会の文教委員会の議題は、
《中高一貫教育の推進に関する法律案》でした。

      □     □     □

「12歳から18歳の心身の重要な発達段階における教育が、
地獄とも言われる受験競争から解放され」(民主党藤村議員)

「中高一貫教育の最大のメリットは、
子供の発達にとって極めて不安定な思春期に、
15の春を泣かせる高校入試がないということ」(自民党大野委員)

「ゆとりの中で生きる力をはぐくむためには、
過度の受験戦争の緩和、
これが何よりも必要だと思っております。」

「高校進学率97%、生徒の減少する現状からいいましても、
ほぼ全入が可能になってきております。(自民党大野委員)


「同じ義務教育でありながら、
中等教育学校に入れた一部の生徒は、
高校受験のないいわゆる安定的な学校生活や
効果的な一貫教育などを享受し、
ほかの多くの生徒は、これまで同様、
高校受験の重圧にさらされる中学校生活を余儀なくされる。」

「今こそ高校進学に当たっての選抜をなくすべきであります。
そのために、高校入学を希望する者すべてに
高校教育を保障すべきであります。」
 
「今、中学生の人口は減少しており、
高校を新たに建設しなくとも可能であります。
高校希望者全員入学を実現し、中学校と高校教育を
一貫性のある豊かなものにすべきであります。」
(日本共産党・山原委員)



      □     □     □


こうして、12年前に中高一貫校ができました。

私がここで繰り返し書いていることは、
12年前に、国会で話し合われて、
国会で了解されていることです。

「中高一貫教育の最大のメリットは、
子供の発達にとって極めて不安定な思春期に、
15の春を泣かせる高校入試がないということ」
なのです。

12年が過ぎても、そのメリットは、
他の子どもたちには与えられようとはしません。

むしろ、1%の生け贄をささげつづけることで、
このバカげた仕組みを守り続けたい人たちがいるのです。


原因は、こうした大人たちの脳の中に出来上がった
「思考障害」です。

体罰が子どものために必要だと、肯定する人と同じです。

脳に障壁が作られているために、
自分が子ども時代から馴染んでいるやり方以外には、
耳を傾けようとしません。


     □     □     □


1・伝統的な教育方法には、はるか昔から
「選抜」がその一部として含まれていますが、
これは苦しみとつらい思いの否認につながるものです。

受験やそこで決まってしまう自分の人生への恐れや
不安を感じた15歳の自分の感情を、
なかったことにしてしまいます。
または、たいした苦しみではなく、自分にとっていい試練で
良い思い出の一つにしてしまいます。
自分はがんばったから、勝ち残ることができたのだと、
自分を誉めて守りたいのです。


2・この否認は、子どもが生き延びるために
やむを得ない行動ですが、これがのちに感情の動きを
見えなくしてしまうことになります。


3・このように感情の動きが見えなくなりますと、
脳には障壁が作られ(いわゆる「思考障害」です)、
危険を防ごうとします。

(これが防ごうとする危険とは、精神的外傷と呼ばれるもので、
子どもの心を深く傷つけた出来事です。

つまり、もし自分が15の時、受験に失敗していたら…
という恐怖に縛られているのです。
これはすでに起こってしまっており、
もはや起こる危険はないのですが、
しかし起こったことが否認されているため、
いつでも起こりうる危険として脳内に刻みつけられているのです。
そして自分が運よく勝ち残った証を残すためには、
「受験」そのものをこの世からなくすわけにはいかないのです。)


4・こうして生ずる思考障害のために、
青少年あるいは大人は、新しい情報に接しても
それを学習してわがものとし、
「古い、役に立たなくなったやり方を捨てる能力」を
発揮できなくなるのです。


5・ところが、身体は無理強いされたつらい思いについての
完全な記憶をもっており、そのために、
かつて経験したことが無意識に次の世代に
再び無理強いすることになります。


6・しかし、思考障害のために人間は
この繰り返しを全くやめられない、
あるいは少なくとも、やめるのが非常に困難です。

自分をむりやり動かす理由が
自分の子ども時代の経緯(いきさつ)の中にあることを
認めようと決めない限り。

しかし、そのような決心はむしろ珍しいので、
ほとんどの人がご先祖様のおっしゃった通り、
子どもはどうしても「選抜」の試練と恐怖と、
「誰か、犠牲になる者」が必要だという決まりを、
繰り返すことになります。
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