ワニなつノート

教育長への要望書


こっちは、教育長への要望書(^^)v



高校入試に係る「定員確保の遵守」と
「障害者差別の解消」を求める要望書



貴職におかれましては、日頃より千葉県公立高校に在籍する障害児の学校生活充実のためご指導、ご尽力いただいておりますことに敬意を表します。

私たちは1989年以来、希望するすべての子どもに後期中等教育の保証を求め活動してきました。

これまで当会から143人が受検し、117人の障害児・者が高校で学ぶ機会を得ました。

しかし平成25年度から28年度にかけて、障害のある○君に対しA高等学校で連続5回、B高等学校定時制で連続7回、計12回定員内不合格という判断がなされました。

これまで千葉県教育委員会は、高校の入学者選抜の結果については「校長判断」であり、その結果はすべて正当で瑕疵なきもの差別なきものとみなしてきました。

これまで校長判断に障害者への無理解がなかったかを検証する手段、仕組みもありませんでした。

しかし現在千葉県の高校進学率は98.6%に達しています。

この数字は、不登校や貧困、中退、障害児等、学びのために様々な支援を必要とする子どものために、「セカンドチャンス」「セーフティネット」「学び直し」のための配慮を行ってきた結果であり、教育機会の平等を「すべての子ども」のために積み上げてきた結果です。

高校入試の合否の権限は校長にあります。
しかし一高等学校の校長判断の結果、中学校卒業生のために用意した「千葉県の定員」からこぼれ落ちる15才の子どもが168人(平成27年度)もいる現状はあまりに無残です。

その168人は、千葉県が15才の子どものために用意された「教育の機会」=「定員」から切り捨てられたと感じる他ありません。


校長が一高校の入学を許可できないと判断するとき、それは「すべての子どもの教育機会の平等」を考慮しての判断ではありません。

同じ千葉県の教育に関わる校長・教員でも、中学校の姿勢はまったく違いました。

定員が空いているにも関わらず不合格という報告を聞いて、驚き、落胆、絶句、涙する校長や担任の先生が中学校にはいました。

「え、定員は空いていたんですよね」そう言って、子どもと一緒に泣いてくださる先生が中学校にはいました。

その先生方の思いは、私たちが子どものために願って活動してきたことが間違いではないと確信させ支え続けてくれました。


一校長が「教育の機会を与えることができない」と判断した15歳の子どもに対し、どのような「学校体制・人員・設備・配慮」があれば、「定員確保」が可能かを判断し真の教育のセーフティネットを構築・調整することは教育委員会の責務であると考えます。

「すべての子どもの人権と教育機会の平等」を判断するのは、県民全体に責任をもつ教育長であるべきです。

現行法が、当該高校の入学許可の権限を校長に委ねているとしても、その校長判断の尊重とすべての子どもの教育機会の保障をする公平性を、両立調整する役割は教育長教育委員会に託された責務です。

「定員確保の遵守」通知は、その目的のための一つであるはずです。

また2016(平成28)年4月からは、障害者差別解消法が施行されました。

同法は、障害を理由とする差別的な取り扱いを禁止するため、障害者への「合理的配慮の不提供の禁止」という形で障害者に対する配慮を義務付けています。

対応指針には、学校などにおける「不当な差別的取扱い」の具体例として、「学校への入学の出願の受理、受験、入学……等を拒むこと」「試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外」することなどを例示しています。


障害者差別禁止条例においても障害者差別解消法においてもインクルーシブな教育環境が求められる現在、定員が大幅に空いている全日制・定時制高校において、障害をもつ生徒が4年にわたり計12回定員内不合格にされるという「校長判断」について、ひとことの説明責任もない現状が正当化されるべきではありません。

特に平成28年度B高等学校定時制においては追加募集23人のところ、○君一人が受検した結果、「合格者なし」とした校長の判断を、このまま誰ひとり検証・確認することなくすませるべきではありません。


千葉県では、定員内不合格の理由・根拠等については説明されてきませんでしたが一般的な「理由」としてあげられてきたのは、受験時の途中退室や喫煙や受検妨害等です。

しかし今回の○君のケースにはあてはまりません。

他に定員内不合格の理由として、福岡県議会での以下のような答弁がありました。

[2002年11月5日平成13年度決算特別委員会]=
『今泉高校教育課長:それでは、幾つか定員内不合格の主な理由について列記させていただきます。
例えば未成年であるにもかかわりませず、例えば校舎内で喫煙する、さらに校舎内を土足で歩くこういうような高等学校への入学の意思がない、意欲がないというふうに見られるものとか、あとは携帯電話を所持していて、それを指導した教員に対して暴言を吐くというような、高等学校に進もうとする生徒という観点からはどうしても好ましくないような方、もしくは、例えば面接の際に薬物を使用したことがあり、または使用することについて容認するようなことを言うような規範意識の低さ、かようなものが定員内不合格の理由の一例でございます。』


[2015年11月2日 決算特別委員会]=
『中島教育庁高校教育課長:個別の合否につきまして詳細は申し上げられませんけれども、面接において高校に入学したいという意思が全く感じられない者や、学力検査中机に伏しているなど回答の意思がなかった者について、定員内不合格にしたとの報告が上がっております。』


ここには、定員内不合格の理由が詳細に述べられていますが、○君に当てはまるものは一つもありません。


また、高校進学には「高校で学ぶに足る学力が必要」とされた時代もありましたが、2007年に改正された学校教育法施行規則において、不登校や中退者に対して『その実態に配慮した特別な教育課程』の編成が認められたこと、および新たに高等学校学習指導要領(2013年から全面実施)でも『義務教育段階での学習内容の確実な定着を図ること』があげられており、平成28年度の受検において76点という成績の○君が定時制高校を「定員内不合格」にされる理由にはなりません。


千葉県内のすべての小学校、中学校で実践されているすべての子どもへの教育が、同じ千葉県の定時制高校でなぜ行うことができないのか。
私たちには理解する術がなく、これこそが「障害」による「不利益」であり、これこそを「障害者差別」ではないのかと感じています。


 上記のように、考えうる限りにおいて○君が「定員内不合格」とされる理由は何ひとつなく、それでもなお○君を「定員内不合格」としたB高等学校(定時制)の「校長判断」の中に、「障害を理由とする差別的な材料」が含まれているかどうかを検証するのは、障害者基本法に定められた「地方公共団体」の責務であると考えます。

教育行政の公平性に基づきすべての公立高等学校が「定員確保」を遵守するため、平成27年度から28年度の受検において、B高等学校定時制の7回連続で障害のある渡邊君が「定員内不合格」にされた「総合的判断」のなかに、
(1)エレベーターがないなどの施設上の問題が判断材料に含まれたか否か、

(2)医療的ケアの実施のための看護師等の人員配置の問題が判断材料に含まれたか否か、

(3)あるいは「試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外」されていないかどうか等、合理的配慮に係る問題と「総合的判断」の中身ついて検証を要望致します。


障害者差別解消法で義務付けられた合理的配慮は、あらゆる教育現場で提供されるべきものであり、他の生徒との平等と教育の機会均等の保障のため、障害のある生徒も公立高校で「確保されるべき定員」の一人として敬意ある対応及び教育の機会が保障されることを要望いたします。



               記


① 希望するすべての中学卒業生が、高校進学の機会を得られる高校定員の設定と定員確保遵守を実施して下さい。


② 「障害者差別解消法」に基づき、千葉県内の公立定時制高等学校において、障害のある生徒に繰り返された「定員内不合格」の実態の検証を求めます。
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