《「障がいのある人の性的自立」とは何か?》(その2)
面白すぎる良い本なので、思いつくままにもう少し書いておきます。
著者の坂爪さんの初めの問いは3つでした。
① 「障がいのある人の性的自立」とは何か」?
② 「なぜ性的自立が社会の中で生きていくために必要不可欠な原動力になるのか」?
③ 「性的自立を支援するということは、いったいどのようなことを指すのか」?
(「障がいのある人の性 支援ガイドブック」坂爪真吾 中央法規)
◇
何をどう答えればいいのか私には分からない。
それに、「ふつう学級」の相談会で話すには、少し問題意識が違うのかなと思ったりもした。
訂正(-ω-)/
私の感覚が、時代遅れでした。
この本に書かれていることは、私にとって、「ふつう学級」の話そのものでした。
◇
【「性的に自立できる人」と「できない人」の違いは、障がいの軽重だけではなく、本人の自尊感情の有無にあります。
自尊感情こそが、他人とコミュニケーションをとるため、そして社会に出ていくための重要な原動力なのです。
つまり障がいのある人にとって、性の支援は自尊感情を育むための支援であると同時に、性的自立、社会的自立を実現するための支援でもあるのです。】
◇
この言葉で、「あれっ」と思いました。
「障がいの軽重だけではなく」
「自尊感情」
「コミュニケーションをとるため、社会にでていくための重要な原動力」
これらの言葉は、就学相談会と《同じことば》だと感じたのです。
さらに、『二次性徴による心と身体の変化をどう教えるか?』を読んで、その思いは確信に変わりました。
◇
【まず知っておくべきことは、「思春期になってからいきなり性教育」は、現実的に不可能だということです。
思春期の子どもは、周囲の大人と物理的・心理的に距離を取るようになります。
そうした子どもに対してコミュニケーションを取ること、しかも人前で話しづらい性の話を持ちかけることは非常に困難です。
そのため、思春期に入る前、理想を言えば幼児期から性教育の「土壌」を作っておくことが大切になります。
幼児期から性教育、というと何やらハードルの高そうなイメージを持たれてしまうかもしれませんが、特殊な方法が必要なわけではなく、「当たり前のことを当たり前に伝える」ことができれば十分です。】
◇
『幼児期から…』
『特殊な方法が必要なわけではなく…』」
『「当たり前のことを当たり前に伝える」こと』
この言葉は、どう考えても、「ようこそ就学相談会へ」の言葉です(>_<)
読み進めていくと、「性教育」というテーマでは考えてこなかったけれど、「ふつう学級」で大事にしたいと願ってきたことは、かなりの部分で重なることでした。
(つづく)
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