ワニなつノート

ようこそ就学相談会へ  2023秋

【つながりの自己肯定感】
 
 
「―――地元の学校は、ふつう学級と支援級とどちらでも、親が自由に授業を選択できる、と言われてるんです。」
 
昨日の就学相談会でそんな声を聞いた。へー、今はそこまで巧妙なんだと感心した。
そのやり方なら、「支援学級籍」の子が増えるわけだ。
 
                       □
 
《―――はじめから無理させず、ふつう学級と支援級を両方利用して徐々に慣れさせていくのがいいですよ》
 
《―――ふつう学級で、できないことや失敗が多いと、自己肯定感が持てなくなりますよ》
 
療育先でもそんなふうに言われてる。
 
「―――それを聞いてもっともだなと感じて、その方がいいのかと思っていたけれど、今日の話の中で「できた!」という自己肯定感もあるけれど、「所属の自己肯定感」という話を聞いて、それも大切だと感じてどうするのがいいのか・・・」
 
                       □
 
私はこんなふうに話してみた。
 
たしかに、はじめは教室に入れない子や、45分座っていない子はいる。だから、ふつう学級と支援学級、どっちでも好きな方でいい、というのは魅力的に聞こえる。
 
でもそれが許されるのは「障害児」だけ、なとき。同級生とのつながりはどうかなと思う部分もある。子どもに《自分の所属》を迷わせることもあるんじゃないか。『ぼくはどこの子なの?』と思う子もいる。
 
私が出会った「45分座ってない子」たちは、自主的に自由な行動をしながら、給食には教室に戻ってきたり、自分のやりかたで、教室を安全な居場所にしてきた。そうした、子ども自身の力を信頼してもいいんじゃないかな。
 
 
                       □
 
すると、そのお母さんがある場面を思い出したといって教えてくれた。
 
療育の関係で、最近幼稚園に通い始めたのだが、はじめは教室に入れなかった。子どもが、教室の入口に貼ってあるクラス写真に「ぼくの写真がない」と伝えたところ、先生がすぐに写真を撮って顔を丸く切り取り、みんなの横に貼ってくれた。それで、彼は教室に入れた、と。
 
            □
 
私が「説明」するまでもなく、すでに4歳の子どもが、「ぼくには確かな所属が大切なんだよ」と伝えていたのだ。これだから就学相談会はやめられない。
 
「母親ってすてきですよね」という小夜さんの言葉を思い出すのはこういうときだ。
 
相談会に来る親は「迷っている」と言いながら、「ふつうがいい」ことをすでに知っている。ただそれを「肯定」する物語がない。だからここに来る。でも、本当は、ここに来る前に、「子どもが伝えている」のだ。
 
「おかあさん、わたし、みんなといっしょがいいな」
 
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