《今年の就学相談会のためのメモ》(その1)
《安全とつながりのために》
長い間、私たちが「ふつう学級」という名前で呼んできたものは、「子どもたちが安全を感じられるつながりの場所」だった。
「ここは安全だ」と子どもが全身で感じることのできる場所の名前を、私たちは「ふつう学級」と呼んできたのだった。
時に「いるだけでいいのか?」という決まり文句に、「いるだけでいい!」と返しながら、私たちが握りしめていたのは、「ここは安全なところだ」と感じている子どもたちの笑顔だった。
「ここにいる」ことができなくて、他にどの社会に行けというのか。
「学びが大切」だと脅す。
「自信が大切」だと脅す。
「将来が大切」だと脅す。
どれも、「いまここ」が「安全」な場所であると感じてもらうことから始まるのに、脅しと安全は両立しないよ。
「ここにいること」に怖れを抱いたままで、何を学べるというのだろう。「みんながいる場所」を警戒したままで、どんな自信が身につくというのだろう。怖れ、警戒し、防衛することにエネルギーを注ぎ続ける子ども時代の先に、幸せな将来を見ることが私たちにはできなかった。
□
今ならちゃんと言葉にできる。
「いるだけでいいのか?」
「自己調整の能力や、人とともに協働調整する能力は、《いること》で獲得するものだから。まずは、安全であることを、教えてあげてください。」
「学びはいらないのか?」
「安全を感じていなければ、人は学ぶことができません。背後に熊の気配を感じながら、よく学べる人間がいると思いますか?
それでも耐えて学ぶのが学びだというなら、それはいらないと答えるしかありません。」
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