軽音楽談話室(廃屋)

「琥珀色に魅入られてしまった人生・・」

Tow Sides Of Peter Banks / Peter Banks

2012-10-09 02:00:00 | 音楽
Peter Banks : Guitar, Synthesizer [Mini-moog], Piano [Fender]
Jan Akkerman : Guitar
Steve Hackett : Guitar
John Whetton : Bass
Ray Bennett : Bass
Phil Collins : Drums
Mike Hough : Drums

1.Vision Of The King
 The White Horse Vale
2a.On The Hill
2b.Lord Of The Dragon
 Knights
3a.The Falcon
3b.The Bear
4.Battles
5.Knights-Reprise
6.Last Eclipse
7.Beyond The Loneliest Sea
8.Stop That!
9.Get Out Of My Fridge
1973

「Yes」のバンド名を名付けた張本人であり、初代(厳密には2代目)ギターリストであるピーター・バンクスのソロアルバムです。昔からこの作品の存在は知っていましたし、雑誌等での紹介も結構ある作品でしたが「有名になる前のYesの初代ギターリスト、スティーブ・ハウの前任者」と言う辛い立場、触手は当然伸びませんでした。ヤン・アッカーマンとスティーブ・ハケットと言う個性派であり自分よりは有名所のギターリストを起用しての作品、最近になってようやく興味が沸いてきました。時代がかった工夫のないジャケット、裏ジャケットの雰囲気がとても素晴らしいので何となく期待が持てるような気がします。

1曲目 フワフワと幻想的に漂う2本のギター、ボリューム奏法を駆使した短い序曲ですね。良い雰囲気の状態から、騒がしくなり、次の曲へと雪崩れ込みます。

2曲目 アコギのため息、無茶苦茶素敵な雰囲気のアコギパートは、まるでアンソニー・フィリップスのPPPシリーズの様。イギリスのホワッとした湿度のある田園風景を想い浮かべさせる音世界は途轍もなく美しい。哀愁も漂わせ、2本のアコギが優しく寄り添うように漂う雰囲気・・・・素晴らしすぎる。ボリューム奏法やオクターブ奏法を用いながらもイギリス原風景の雰囲気を壊すことなく、軽快さを増しても全く揺るぎのない演奏はまさに名曲・名演。後半の弛んだような幻想的な雰囲気も、聞き手が音世界にジワリと溶け込んでいくようで・・・・白魔術の世界。(イエス的なリフは余計だったかな・・・)

3曲目 一転クリムゾンの世界のような激しい展開。目眩くハードなリフの繰り返しの後は、幻想的な雰囲気が支配する天空世界。それにしてもこの人はボリューム奏法が好きだなぁ。ベースとドラムだけのシンプルなバックに、シンプルなギターの音色がそれほど飽きさせないのも不思議な事ですが。段々と勢いを増し・・・このソロパートはアッカーマンとのソロ回しか??音色が似すぎて区別が付かないが、アッカーマン特有の早弾きは独特だから。再び攻撃的な展開となりお終い。曲構成としては問題有りですが、ギターの聞き所は満載です。

4曲目 激しいリズム隊、特にベースのラインは中々アグレッシブ。ライン的にはウエットンではなくベネットでしょうね。しかし・・・リズム隊が激しいのにギターは超シンプル、本来なら完全に負けてしまいそうな組み合わせなのに・・・何故か見劣りがしない。

5曲目 前の曲と間隔無くいきなり(無理はない)始まります。攻撃的なギターのコード・カッティングに今度は独特の籠もったウエットンのベースライン。イエス調の間奏を挟んで、延々と続くハードな曲展開は少し工夫が無いけれど、ここ曲のポイントはバンクスが操る幸薄めのキーボード群(なんだそれは・・・)なのでしょうね。折角の激しいテーマが少し生かされずに残念。

6曲目 再びボリューム奏法で漂う曲展開。メインのギターとバックのアコギだけの、哀愁がタップリとこもった演奏は・・・・飽きそうなのに・・・飽きが来ない。何でしょうか、この人のギターの魔力は。単調なフワフワ演奏なのに・・・・エンディングも今一なのに。

7曲目 アコギのしっかりとした音色が、スパニッシュな展開で哀愁をふりまき、バックに漂うベースとボリューミーなエレキが、フロントとなり、アコギはアルペジオで力強くバックを固める。スパニッシュ風の技巧が目を引く曲ですが、もう1ライン、ギターか何かが絡んでも良いのではと・・・・・

8曲目 バンドの演奏です。当たり前だ、リズム隊がグズグズの展開で雰囲気を作り上げますが、クリムゾンの幻想的かつ混沌とした曲展開に近い感じもしますが。少し混沌とし過ぎていて、と言うか、ベースのタイミングの外し方が下手すぎ・・・それに反してバックに関係なく漂うギターは独特の世界観を持っていますねぇ。ノーマルにギターと絡み合うベースラインは中々良いですよ。と褒めたいところですが、クリムゾン調で無理に攻めるのは??? 勢いを感じる面白い曲なのに・・・構成も纏まりがないし、長すぎてたるみ過ぎ。本当に混沌じゃ駄目だろう・・・・

9曲目 明るいベースソロ(ラインだけ)、少しお間抜けなベースラインに、カントリー的なコミカルな展開で、ギターが躓きます。ギターのソロ回しが延々と、特に必要の無い曲かな。。。。ギターの指動いていないし。

久々に70年代初期のイギリスの素敵な音に触れることが出来ました。大変品の良い音色のギターを駆使する人ですね、そして超単調でシンプルな演奏なのに、全く飽きが来ない。アンソニー・フィリップスもそうですが、人柄がギターの音色に表れていると言う事なのでしょうか。

ううん・・・この辺の音が自分自身のテリトリーだったのに・・・いつの間にかボーダーレスが染みついてしまって。よし「原点回帰」だ。





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