乱鳥の書きなぐり

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「付 信太妻」   ( 以前にも読んだ「説経節」(東洋文庫)より「月 信太妻」を読む。  (恋しくば 尋ね来てみよ 和泉なる 信太の森)

2024年09月04日 | 説経節、幸若舞、舞の本等

「付 信太妻」

 以前にも読んだ『説経節』(東洋文庫)より「付 信太妻」を読む。 

恋しくば 尋ね来てみよ 和泉なる 信太の森の  うらみ葛の葉 

 

 

 

  以前読んだ時の記録はこちら ↓

説経節』(東洋文庫)より「付 信太妻」 樟の葉と恋に陥った安倍保名の本名は、安倍権太左衛門保名。子は、安倍晴明。

 

「信太妻」と云えば、歌舞伎で言うならば、『葛の葉』

 この演目もわたくしは好きで、色々な役者でさんのを見たし、説経節の「信太妻」の動画も見たことがあるが、中でも中村扇雀さんの『葛の葉』は感動に値した。

 

 ところで今回「付 信太妻」を読み、新たな発見をした。

 

    恋しくば

    尋ね来てみよ

    和泉なる

    信太の森の

    うらみ葛の葉

 

 この歌は、葛の葉が子をあやしながら、障子に文字を書く。

 子(後の安倍晴明という設定)がぐずるので

      あやす

      左手で書く

      口に筆をもって書く

      後ろ向きに書く

などの趣向を凝らされてはいるが人形浄瑠璃や説経節では、子は布団に寝かされたまま、葛の葉が障子に右手で書くというといった形になっている。

 

 

    恋しくば

    尋ね来てみよ

    和泉なる

    信太の森の

    うらみ葛の葉

 

 説経節の「付 信太妻」を書く前に、それをにおわす記述が丁寧に書かれている。

 

 

    恋しくば

    尋ね来てみよ

    和泉なる

    信太の森の

    うらみ葛の葉

 

 この部分は柳田國男をはじめ、多くの民俗学者が注目し論じている所である。

 

 概ね共通している所は

    葛の葉が狐たる理由(信太の背景)

    (ここでは割愛させていただきます)

 

 

 うらみ葛の葉

    うらみ = 裏見(うらみ)

          恨み

 

 うらみ葛の葉

 うらみ = 裏見(うらみ)

  クズの葉の後ろを見れば、クズの葉の裏には白い毛が生えている。

  つまり、クズの葉の裏は狐(葛の葉=自分自身)に見立てられている。

    

 

このように考えれば、

   

    恋しくば

    尋ね来てみよ

    和泉なる

    信太の森の

    うらみ葛の葉

     

は切なく悲しい。

 

 涙を呑んで別れゆく葛の葉の気持ちが伝わってくるのである。

 

 

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