2010年度 111冊目
『奈良 歴史ロマンを歩く』
平城遷都1300年祭公認ガイドブック 平城京遷都ストーリーから世界遺産の美仏まで完全網羅
平城遷都1300年 実行協会
サンエイムック
三栄書房
2010年5月
128ページ 1,260円
『奈良 歴史ロマンを歩く』を読む。128ページ、写真も多いので手軽に読めると思っていたが、甘かった。
小学生の高学年以上なら楽しめるが、結構まともな歴史書。
ところどころに思い出したように「パワースポット」だの「ミステリアス」だのの詞を多用している所等は、商業ペースに乗せようという狙いが見え隠れする今流行としか言いようがない。
重厚な内容が急に薄っぺらく感じてしまうが、これが皆の好みなのかとほくそ笑む。
イラストでわかる平城京遷都までストーリーは15分で読めるがうたい文句。だが、細かな説明も多い。表面を滑るのならまだしも、複雑に入り込むと到底15分では読み込めない。そこに写真が加わるものだから、時間は相当オーバー。不動産業界の地図で「駅徒歩5分」が実は8分だったという具合だ。
平城京 斑鳩 信貴山 飛鳥 藤原京 葛城 吉野 宇陀等が載っていたが、実はわたしは宇陀という土地になじみがない。是非とも脚を運びたいと感じた。
実はこの本には附録が付いているとのこと。図書館でお借りした本書にはそれはない。
付録に参加型ミステリー小説「朱都の記憶」がついている。この小説では最後まで犯人が明かされず、読者が7月20日~11月7日の間に、1300年祭のメーンイベントが開催されている平城宮跡内で示されたヒントを手がかりに謎を解くようになっており、殺人犯を解き明かした正解者には、抽選で商品が当たるという。さあ、あなたも平城京を舞台に犯人探しをしてみては?
そうか、今まさしく奈良は1300年祭なんだ。ところが3月になっても6月になっても7月になっても地元住民の生活にはさほどの変化はない。
平城京の華やかなイベントもさほど興味を覚えず、素顔の神社仏閣や祭や風習などに興味が向かう。
奈良の各地で見ることのできるせんとくんの旗も強雨にさらされる。
1300年祭ってこんなものだったのかとため息まじりに毎朝散歩をする。