日常

仕事と使命とメタファー

2014-06-07 23:01:48 | 考え
メタファーというものは大事だ。
僕らは、何かを新しく理解するとき、適切なメタファーがないと理解できないからだ。

仕事や使命というもの。
遠い彼方からやってくるものではなく、教わるものでもなく、それはいますでにやっていることの中に含まれている。

無意識のうちに、生まれた時から既にそのプロセスは進行している。
あとは、それを意識的に理解するだけ。
思い出す必要がある。その時にメタファーの力を必要とする。
文学や芸術は、メタファーの感受性を高めるものでもある。


いまやっている仕事も同じ。
仕事は他者と比較するものではない。あえて言えば、昨日の自分と比べるものだ。

眼の前の狭い概念にとらわれず、社会や地球規模での「メタファー」として、仕事やお役目を捉える必要がある。





自分は心臓を専門とする医療の仕事についている。
そのことを、目の前の個人レベルだけではなく、社会的な次元でも考えてみる。
それがお役目になり、使命になることに気付く。

プロであるということは、そのことのプラスもマイナスも両面理解しているということ。



医療のメタファー。
個人だけではなく、社会や自然をよりよくする、癒す、処方箋を出す、元に戻す、生命力を高める・・・、そういう使命も同時に見つめる。
その場合でも、常に自然治癒力や自己治癒力の観点が大事だ。無理やりするものではない。


心臓のメタファー。
心臓は、循環のメタファー。
ドロドロの血液を循環させても各臓器へいい影響はない。質の高い血液を、社会に循環させ続ける必要がある。

心臓は誕生から死ぬまで働き続ける。循環させ続ける使命がある。
そして、調和をはかる。
むかしは、心が宿るといわれていた、バランスを司る臓器でもある。
心臓は、社会という全身へ、熱をつたえ、血をつたえる。




心臓だけでは人体は存在できない。
脳、腎臓、肝臓、腸、目、皮膚、耳、血管、膵臓・・・・すべての調和が必要だ。
それぞれの臓器も、すべてメタファーがある。
色々と考えてみると興味深い。




人間をひとつの人体として捉えるのは当然だけど、
社会や宇宙全体をひとつの大きな人体と捉える。
そんな視点も同時に必要。




どんな仕事もお役目も同じ。
社会や地球全体へのメタファーとして捉える。

それぞれの仕事についている人は、その仕事が社会に示すメタファーを考える。
そのことがお役目や使命(氏名)につながる。


経済に携わる人。
心臓と同じようにエネルギーの循環に携わる。いいエネルギーを世界に循環させるお役目がある。
現実に循環しているお金は、物質的な側面だけであり、それがすべてではない。そのことを見据える必要がある。

アートに携わる人。
様々な異質の世界を、魅力的でワクワクと楽しく、笑いも交えながら見たこともない形で僕らに提示してくれる方々。
それは社会への存在でも同じ。
異質なものを結合し、化学反応を起こし、創発し、創造し続ける仕事、社会への花火を上げ続ける。

政治に携わる人。
政はまつりごと、祭り事。元は神事。ひとを束ね、よりよい社会を創造する。
古代は天体などの自然そのものの動きすらも、為政者のこころの動きを反映するととらえられていた。
そういう天地相応のくらいのVisionを求める。

主婦の方。
いのちを生み、伝えてきてくれた方々。社会をはぐくみ、育てる。
暖かい無償の愛で包み込む。
英気を養わせ、ひとびとがよりよい日々を送れるよう、縁の下で支えてくれる。
社会や地球全体をひとつの体としたときの、体を構成する食を支えている。帰るべきホーム。戻って行くルーツ。

寝たきりの人。
存在のメタファー。社会に対して、行為(Doing)ではなく存在(Being)の重要性を示す。
基本的なメッセージは存在としてのメッセージ。
花、石、木、、、あらゆる自然物の非言語のメッセージ。
非言語で様々なことがやり取りされている。そのことの重要性を示す存在。
そして、彼らは無意識の深い深い底で、存在物がひとつにつながっていることを、社会に対して示す。
沈黙のメッセージ。
存在はメッセージを放つ。
地球は一つの星であり、宇宙船地球号。存在からのメタファー。


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すべての職種に対して、日々こういうことを感じている。





ひとつの人体は100000000000000個の細胞が調和的に在り続けることで、存在している。
それは社会全体を一つの人体としてとらえたとき、大きな示唆を含むメタファー。

「自分」と言う存在も、だからこそ、すでに愛と調和のメタファーでもある。



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アリストテレス『詩学』
「もっとも偉大なのはメタファーの達人である。
通常の言葉は既に知っていることしか伝えない。
我々が新鮮な何かを得るとすれば、メタファーによってである」
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