日常

木村秋則「すべては宇宙の采配」

2013-09-26 01:46:50 | 
青森(2013-09-17)山崎隆「奇跡のりんごスープ物語」(2013-09-20)の流れの中で、

木村秋則さんの「すべては宇宙の采配」東邦出版 (2009/7/23)

を再読しました。いやはや。面白すぎる・・・。事実は小説より奇なり。



Amazonで改めてみてみたら、新装版として(2013/5/24)に再販されていました・・。
しかも、新装版は777円!!(2009年当時の本の定価は1429円でした。)


==============
<内容紹介>
隠れている真実を追究する者だけが、ものごとを成し遂げられるのです。
その過程で味わう桁外れの失敗、噛みしめた挫折の量が成功のもとです。
見ることのできない地下部との格闘でかいた汗は、裏切ることなく地上部に現れてきます。
(本書より)

不可能と思われていた無農薬でのりんご栽培を成し遂げるまでの、
木村秋則の苦難に満ちた人生と、その途上で遭遇した不可思議な体験の数々。
農業にかけるひたむきな思い、地球環境との真摯な向き合い方など、
“奇跡”を起こした男がみずからの魂の変遷、思想と哲学を赤裸々に綴る。
==============
▼目次
第1章 不思議の始まり
 マンダラ/別の時間/たった1度の1等賞/就職・見合い
 きっかけ/初めて見たUFO

第2章 泥沼にて
 親父/書店の奇跡/儀式/ハガキ/ラパウル
 運転手/言霊/家族愛/出会い/父親参観

第3章 許された日々
 35歳の夜/自然の楽園/微生物/活かして生きる
 木に話す/癌と仲良く/金属にも魂/約束
 農業ルネッサンス/名誉回復/世界一

第4章 まだ足りない
 拉致/一致/龍、再び/共鳴/気づいていないわたし
==============


木村さんは、不可能と思われていた無農薬りんご栽培を成し遂げた偉大な農業人です。
木村さんの一連の著作を読むと分かりますが、農業人という言葉では収まらない宇宙的なスケールの大きさがあります。
木村さんは新時代へ向けた思想家でもあり実践家でもあり、そして偉大なる芸術家でもあると思っています。



そんな木村さんですが、無農薬リンゴへと至る道はおそろしい苦難の連続。10年近くも極貧生活を強いられ、自殺未遂すら経験しています。
そんな先の見えない闇夜をくぐりぬけた人だけが書ける、魂の叫びのような本だと思いました。


上の目次からも分かりますが、色んな不思議な話も満載。
写真のオーブ、龍、幽霊、臨死体験、UFO・・・そういう話が無農薬リンゴ栽培と同じ次元で語られていて、それがまた面白い。

常識を打ち破って一つ上の次元に進むと言う事は、頭を柔らかく柔軟にしないと到達できない世界なのでしょう。
不思議な世界も偏見なく当り前として捉える事ができるようになれば、「不可能」は「可能」へと次元転換していくようです。






======================
大事なことは目に見えない部分にあります。
あなたの表に出ていない、自分自身の土壌と根はどうなっているでしょうか。
======================






木村さんが龍を見た時。その様子をこのように表現している。
======================
人間が感じている時間と、そうでない時間、その両方を認識できたのではないかと思います。
その中間地点に入ったのかもしれません。
======================






人間は「思う」だけではなく、「言葉」として外部に発することが大事のようだ。
「言霊」として古来から信じられていたように、すごい力を持つらしい。

木村さんは、ありがとうと話しかけたリンゴの木と、話しかけることができなかったリンゴの木を比較している(隣の畑に近いリンゴの木は、頭がおかしいと思われたくなくて、以前はリンゴの木に話しかける事ができなかったらしい)。
結果、言葉をかけなかったリンゴの木だけが枯れる、という経験をされている。
もちろん、これは厳密な対照実験ではないからいくらでも否定の材料を見つけることができるかもしれないが、この事実が伝える本質が重要なのだ。


その経験から、言葉は人だけではなくすべてのものに作用することを知る。
リンゴに話しかけ続けることが重要だとおっしゃる木村さん。それを本当に実行することにこそ意味がある。

木村さんは、頭ではなく心の底からそういう言霊の力を実感している。だからこそ強い説得力を持つ。
======================
タヌキがどう思っていたのかは分かりませんが、「お前たちが住む場所を奪ってごめん。これをあげるから、もう荒らさないでくれよ」という気持ちでトウモロコシを積んでおいたら被害がパッタリやんだのは事実です。
======================






木村さんは岩木山でUFOをよく見ている。
======================
そもそも津軽は神秘的な土地柄で、日本最古の文字といわれる『津軽草文字』、幻の中世都市である『十三湊=とさみなと』、奇書とされる『東日流外三郡誌=つがるそとさんぐんし』など、興味の尽きない地域なのです。
======================

確かに、青森は古代文化が手垢がつかない形で残っていて素晴らしいと思った。古代世界から学ぶことはたくさんある。縄文文化もそのひとつ。現地に行かないと分からないことはある。現地に行って初めて感じる事もある。
神秘的な場所では、共鳴現象のように神秘的な現象が起きるようだ。そして、そういう場所に引きつけられるように不思議な人も自然と集まる。(^^

⇒*『神代文字(じんだいもじ、かみよもじ)』(Wikipedia)
⇒*佐治芳彦『謎の神代文字』(松岡正剛 千夜千冊)
⇒*『十三湊』(Wikipedia)
⇒*『東日流外三郡誌』(Wikipedia)





======================
キュウリのヒゲは指を差し出すと、子供とか無垢な人には向こうから絡んできます。
巻き付いてこないときは、優しく撫でてあげると、しーっと絡んでくれる事もあります。
======================

自然は、そうして互いに共鳴する存在を求めている。





======================
わたしが一度、「りんごの無農薬をやめよう」と弱音を吐いた時、長女は烈火のごとく怒りました。
自分たちはなんのために貧乏に耐えて頑張ってきたのか、と。
======================
我が家は人口18000人の町で「岩木一貧乏な家」と言われていました。

35歳になろうかというわたしを、世間は「まともな人間」として認めてくれなくなっていました。
======================


授業参観での木村さんの娘さんの作文は「お父さんの仕事」というもの。
そこには『わたしのお父さんの仕儀とはりんご作りです。しかし、わたしはまだ一度もそのリンゴを食べた事がありません。』と書かれていて、そのことを
担任の先生から聞き、父親の木村さんは愕然とする。


======================
その日から無口になりました。女房とは話せず、子供たちとは目を合わせる事さえ辛くなりました。
家に帰ると無言で飯を食べ、みんなが寝静まった後、ひとり家の前の小屋のなかで過ごすようになりました。
======================
その後も女房の心配をよそに毎日真っ暗な小屋の中で、成す術もなく数時間を過ごしていました。
ついに心の限界が来たようです。
======================


その後、木村さんは自殺を決意して岩木山に登る。
ただ、首つり用の紐が木にうまくかからず、その落ちた紐を探している時、山の中で自生しているりんごの木を見たのが転換点となる。(後に、これはどんぐりの木だったことが判明するのだが・・・・)

そこで木村さんはハタと気付いた。
大自然の中では、人間が手を入れなくとも勝手に自生している豊かな野菜や果物が存在している。
人間が行おうとする無農薬リンゴのヒントも、自然そのものの中に既に答えが存在しているのではないか、と。

そして、その本質は土の中という見えない世界にあることに気付く。
言ってしまうと簡単なことのようだが、それはコロンブスの卵と同じ。そこにはコペルニクス的な視点と意識の大転換があった。






======================
数えきれないほどの種類のバクテリアがいるわたしの畑は、いわば多民族国家のようなもので、いろんな種類の人がいるから、どんなタイプの人にとっても、すぐに慣れて暮らしやすいのです。
国家としての懐が深く、まさに受け入れる土壌がるというわけです。
======================
気付いたのは、自然と共に生きると言う事は、ただギャートルズのように自然と同化して走り回ることではなく、「自然を活かして生きる」という考え方がとても重要だということでした。
======================
自然のバランスや営みを知った上で、その仕組みに逆らうことなく、自分たちがうまく生きていけるように活かしていくわけです。
宇宙のエネルギーを集めるのではなく、すでに土の中に存在しているエネルギー、土が持つパワーをいかに活かすか、人にはそれが許されているだけです。土に働いてもらうのです。
======================


「自然」の中に全て答えはある。
あとは、僕らが自然に対して適切な「問い」を立てる事ができるかどうか、なのだと思う。







======================
いまは人も言葉も殺伐としすぎている世の中です。
経済の発展=心の崩壊といいますが、言葉の崩壊でもあると思います。
だからこそ、すべての人や物に愛のある言葉をかけるということは、とても大切なことだと思うのです。
======================
人間がすごいのは、「思い」や「気持ち」の持ちようで、いくらでも物事を変化させられることです。心の眼が開くのです。
その力は、だれにでも、いつでも発揮できます。
======================
食べ物は、人間のからだだけではなく、心も作っているのです。
======================


自分もそう思う。
「こころ」は誰もが当り前のように持っているからこそ、それは灯台もと暗しになりやすい。
自分の心を耕す事を忘れてしまいがちだ。

ブッダも言っている。
------------------------
「ブッダの真理のことば(ダンマパダ)」(岩波文庫)
『ものごとは心にもとづき、心を主とし、
心によってつくりだされる。
もしも清らかな心で話したり行ったりするならば、
福楽はその人につき従う。
 -影がそのからだから離れないように。』
------------------------








無農薬でのリンゴ栽培への道は、読んでいて涙が出てくるほど、壮絶な貧乏生活や既存業界からの激しい誹謗中傷との闘いだった。



北海道のりんご裁判というのがあったらしい。
それは、福岡正信さんの「自然農法」に憧れて北海道で無農薬りんご栽培をしていた方が、隣でりんご裁判をする原告に「農薬散布をしないことによって、自分の畑にも被害が出た」と損害賠償を求められた事件のこと。
こんな事件が起きていたとは衝撃だった。
木村さんは裁判に出て、被告側(無農薬でリンゴ栽培をしていた方)の弁護に立った。


======================
虫たちは、むしろ農薬を使っている畑からこちらに避難していたわけですが、被告が「あなたの畑は病害無視の巣だ」と非難されている姿は、とても他人事とは思えませんでした。
======================
大きな川の流れを変えるのは並大抵のことではありませんが、わたしが行おうとしているのは、チョロチョロと流れている自然栽培という源流を本流にして、やがては大河にすることです。
======================
ひと口に無農薬といっても、わたしが「無」という言葉を得るまでは、決して簡単な一本道ではありませんでした。
りんごが実るまでに自然相手に惨憺たる思いを味わい、さらに、それと同じくらい、世間とも格闘していたのです。
======================


こういう辛い苦しい日々を乗り越えた人だからこそ、木村さんの笑顔は美しい。そこには神聖さがある。







======================
実父は無農薬を続けることに、「いつになったらやめるんだ」とずっと反対していましたが、実母はこっそり言いました。
「一生は一回しかないんだから、悔いのない一生を送れ」
「踏まれても踏まれても、負けない雑草になれ」
======================


木村さんには守られるかのように、必ず味方がいた。時にはUFOの宇宙人までもが味方をしているように。

ただ、これは木村さんだけではないだろう。僕らにも必ず味方がいるのだ。目に見える存在から目に見えない存在に至るまで、無数の味方に囲まれているからこそ生きている事を忘れてはいけないと思う。そんなことを木村さんの生きざまを見ていると、強く感じる。







木村さんの人柄からなのか、UFOや宇宙人によく遭遇している。
その時に宇宙人が木村さんに語ったとされた内容もすごく興味深かった。

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
UFO「地球で発見されている元素は120くらいですが、実際に使われているのは30くらいでしょう。しかし我々は256ある元素をすべて使っているのです。」
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
「我々は時間と時間の中を歩いて移動しているのです」
私は高校生のときに見た、足を上げたまま固まったオヤジさんを思い浮かべました。この世で普通に歩くとき、片足を上げてから着地するまでの時間は0.5秒くらいでしょう。0.5秒のあいだに、50秒進む別の世界があるとしたら、それが龍のいた次元ではないかと思うわけです。高校2年生のわたしはその高次元に首をつっこみ、龍が現れてから天空に飛び立つまでの50秒を、そちらの世界で過ごしたわけです。100倍速い世界。
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%


確かに。
僕らが想像も出来ないような世界も科学技術も、未知の元素がたったひとつ見つかるだけで全て簡単に解き明かせてしまうものかもしれない。
ただ、そんなすごい技術も知識も、要は使い方次第。
すごいパワーを秘めたものは、地球を救うものになりえると同時に、使い方を誤ると地球を滅ぼしてしまうものにもなりえる。それは原子力技術が原爆を作ったことで証明している。だから、人類がそれなりに進化するまで、そういう知識や技術は隠されているのかもしれない。
そう思えば、未知の世界に心を開きつつ、偏見や先入観を持たずに自由な心で森羅万象に接したいと思える。そして、まずは自分の心を丁寧に育み耕していくことが、今自分にできる精いっぱいのことだと思える。







すごく面白い本です。
常識を揺すぶられますので、是非とも自由な心でお読みください。
色んなヒントがたくさん詰まっているはずです。


木村さんを筆頭に、農業で大きな変革が静かに起きているように、医療でも大きい変革が起き始めているのを感じます。それは、すべてのジャンルで起きているのかもしれません。そういう価値観の転換が起き始めているのを感じさせてくれる素晴らしい本でした。自分も無農薬の野菜や果物を食べたい!それが当り前で普通になるような時代にしたい!
木村さんの奇跡のリンゴを食べてみたい方は、是非弘前まで足を延ばしてレストラン山崎に行ってみてください。これだけは、自分が体験してみないと百万言を尽しても説明できないものなのです。


*********************
本書の帯より
*********************
『隠れている真実を追求する者だけが、ものごとを成し遂げられるのです。
その過程で味わう桁外れの失敗、噛み締めた挫折の量が成功のもとです。
見る事の出来ない地下部との格闘でかいた汗は、裏切ることなく地上部に現れてきます。』
*********************
『作物がうまく育たないとき、それを土のせいにはしません。
ずっと前から存在している土の方が、突然来た作物を嫌がっている、わたしはそう考えます。』
*********************




<動画>
木村さん(17動画)

NHKプロフェッショナルより

東京中小企業家同友会[東京社長TV] 奇跡のりんご

奇跡のりんご 木村秋則 × べてる 弘前市岩木町

<参考>
福岡正信 2006 自然農法60年の歩み「粘土団子世界の旅」

福岡正信 自然農法家

耕さない田んぼが環境をかえる(2003年11月15日)

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
木村さんの言葉 (スイッチ)
2013-09-27 20:16:56
目に見える地上のことはわずかだけど、
地中に目を向ければ根っこがどうなっているのか、
土の中のバクテリアはどんな状態なのか
栄養状態はどんな感じなのか

わかるんでしょうね。

人も、同じなんだと思います。
目に見える部分は、根っこの部分に起因している。
見えるところではなく、根っこの方に。

頂いた「人は死なない」を
ゆっくりゆっくり読んでいます。
どこか木村さんと近い思想を感じます。

木村さんの農園をべてるの向谷地さんが訪れた動画で、
「農薬は日本が一番多く使う。次が韓国と言ってましたが、精神科の薬も多く使うのは日本が一番で次が韓国なんです」
という言葉を聞いて衝撃を受けました。

向谷地生良さんのファンなので、彼の著作は何回も繰り返し読んでますが、木村さんと向谷地さんの出会いだなんて、地元ですごいことが起こってたんだなーって思いました。(^-^)p

返信する
べてると木村さん! (いなば)
2013-09-27 22:42:10
そうですよね。根っこが大事ですよね。

一般的には目に見える表面(肩書き、見た目、・・・・)で判断する傾向がありますが、やはりその土台こそが重要で。自分も、そこを耕すように努めています。


木村さんでYoutube見ていて、動画を見て驚きました!木村さんとべてるが既に出会っているんですね。やはり仕掛け人は医学書院の白石さんなのかなぁ。どんなものにでも、表面上では異質に見えても、根っこでつながっている人たちをつなげていく隠れた人たちがいるものですよね。



ご存知かもしれませんが、自分も大学6年の時(10年前!)にランディさんとべてるの家に訪れているんです。医師の川村先生と対談しています。(本名フルネームで検索してみてください。医学書院のサイトでいまだに読めます・・・)

ちょっと前も、よりみちパンセ!の編集長の清水さんと話していて、偶然に川村先生の話が出てきました。なんだかんだ、つながる人同士がつながってるんだなぁ、としみじみ思いました。しかも、リンゴの木村さんとべてるもつながってるとは!



向谷地さん、自分も10年前に初めて直接お話を聞いてからのファンです。素晴らしいですよね。

医療も含め、そろそろいろいろなジャンルで同時的に価値観の転換が起きていくのではないかと思っていますが、木村さんはもちろん時代の旗手になると思いますね。
べてるの人たちもそうです。「精神疾患」とされている人たちの扱いが反転していくのではないでしょうか・・・。そういう人たちこそ、違うほんとうの現実を見ている選ばれた能力者を感じます・・・。沖縄のユタや、古来のシャーマンも同じですよね。


色んな異質な人たちがつながりだすと、本当に面白い時代がきそうですねー!
返信する
Unknown (スー)
2013-09-28 21:44:01
「ソウルメイト」と言う本が一番、木村さんの肉声に近い気がします。
返信する
ソウルメイト (いなば)
2013-10-01 20:28:33
タイトルもずばりそのものですし、この本も面白いですよね。木村さんの本は繰り返しも多いですが、どれ読んでも面白い。気(波長)があうのを感じます。
返信する
映画も観ました。 (みみ)
2016-02-11 21:56:57
阿部サダヲ主演の
映画も観ました。

木村さんの一途だが、
柔軟性のある生き方や考え方、
偏見のないまなざし。

自然の中で
無理強いせず
忍耐強く待つ木村さん。

リンゴの木に
語りかけ、声かけする。

想いを声に出す、言葉に出す。
「言霊」ですね。
返信する
いのち (INA)
2016-02-19 17:31:37
>みみ様
コメントありがとうございます。

そうですね。
植物もリンゴも・・・ただの「物」だと思えば、そこに何か心の交流は起きにくいですが、「いのち」を見出して、「生きている」ということを感じれば、深い世界での交流が起きます。
そういう意味で、この世に存在するものはすべて「生きていて」「いのち」があると思います。(^^
返信する