ふと出かけた犬山城下 ふと通った路地で 目の端に桜色が入ってくる
そこは寺内町という通りで、ここにこの木が三百年も花をつけていることを
何も知らずに私は この木に出会ったのだ。
もう日も暮れかけている。門の中の枝垂れ桜は肩先だけを通りすがる人に見せている。
桜は甍に似合う。甍は桜に似合う。
思いがけず、桜と出会う。その「在る」ことも知らず、咲く時も知らぬ桜に、道の先で出会う。ずうずうしくも、待っていてくれたのかと思えてしまった。
名のある桜を尋ねて歩くのも楽しかろうが、桜を見る本当の喜びは、このような偶然の出会いである。大勢の花見も愉快であろうが、由来も知らぬ桜を一人見上げる時、桜とはこのような木であったのだなあ、と思う。
そこは寺内町という通りで、ここにこの木が三百年も花をつけていることを
何も知らずに私は この木に出会ったのだ。
もう日も暮れかけている。門の中の枝垂れ桜は肩先だけを通りすがる人に見せている。
桜は甍に似合う。甍は桜に似合う。
思いがけず、桜と出会う。その「在る」ことも知らず、咲く時も知らぬ桜に、道の先で出会う。ずうずうしくも、待っていてくれたのかと思えてしまった。
名のある桜を尋ねて歩くのも楽しかろうが、桜を見る本当の喜びは、このような偶然の出会いである。大勢の花見も愉快であろうが、由来も知らぬ桜を一人見上げる時、桜とはこのような木であったのだなあ、と思う。