夜の風に、かすかな涼しさが乗り始めた。
秋の虫の音も。
「金の鈴を振るような」とは、美しく澄んだ音の形容だが。
本当に、鈴を振っているように聞こえるのは鈴虫だろうか。
油蝉の鳴き声が聞くだけで肌にじんわりと汗を浮かばせるように。
秋の虫の音は、聞くだけで涼しさを感じさせる。
窓を開け、その合奏を聞きながら眠るのも乙な物である。
んが。
耳元で鳴かれてみぃ。
やかましくて眠れないんじゃぁっ!
その羽根で飛んできたのか。
それとも、家の壁をよじよじと上ってきたのか。
窓枠にでもいるんじゃなかろーかという近さはもはや拷問である。
一匹だけでも侮るべからず。