urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

米澤穂信『氷菓』角川スニーカー文庫

2006年06月19日 | reading
ネタバレ一応注意。

米澤のデビュー作かつ「古典部」シリーズの第一作。
学園モノ日常の謎ミステリで、その意味では「小市民」シリーズとも類似的ではあるが、相対的にロジックの緊密さ、スリリングさを欠く。そして何より、ラノベ的な筆致が鼻につく部分が多かった。
各人の行動理念を示す格言とかキャッチフレーズみたいなもの、その他愛もなさが俺がラノベ的小説を嫌いな最大の理由なんだけど(頻出するよね、実際。その典型が高里椎奈だが)、「小市民」では気にならなかったそれらがこのシリーズでは出てしまっている。「薔薇色/灰色」だの「ジョークは即興に限る、禍根を残せば嘘になる」とか、そんなん繰り返さなくていいんですよ。どーでもいいから。「小市民」ではうまくカリカチュアされてると思ったから、腕が上がったということなのでしょう。
ミステリとして取り上げて語れる部分は特にないが、「芸術科目は2クラス共同でやる」とかの伏線が、今は遠き高校時代を思い返させて懐かしかったです。まあ俺のその記憶の中には男しかいないけどね。

作品の評価はCプラス。

氷菓氷菓
米澤 穂信

角川書店 2001-10
売り上げランキング : 5078

Amazonで詳しく見る
by G-Tools