urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

米澤穂信『春季限定いちごタルト事件』創元推理文庫

2006年06月18日 | reading
ネタバレ一応注意。

《「それがわかってて、あんたなんで言うのよ」/もっともな知里先輩の言葉に、小佐内さんは顔を赤くした。/「場を、繋ごうと思って……」》(139p)

ということで小佐内さんが実にかわいらしい。実写化の際には是非、堀北真希でお願いしたいものです。早くしないと育っちゃうよ!
で、一作目に立ち返ったわけです。全体としては日常の謎の連作短編ですが、連作としての仕掛け、各話のミステリとしての強度、そしてスウィーツの描写、どれを取っても「夏」に軍配が上がってしまう感はありました。まあ前述の通りにキャラクタは良く描けているので、顔見せ的な第一作と捉えれば及第点でしょう。
解説の極楽トンボって人が言ってる、ミステリ要素を失くして青春小説(…つまり純粋ラノベね)にした方が良いって話は、次作のミステリとしての高い達成で見事に覆されますが、この本に関しては割と当たっているのでは。大して面白い解説じゃないところも、かつて法月がハードボイルド畑の人に書かれてた解説を思い出します。

作品の評価はBマイナス。

春期限定いちごタルト事件春期限定いちごタルト事件
米澤 穂信

東京創元社 2004-12-18
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